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おまけの俺、それぞれの戦場へ

朝食を終え、

食後の飲み物で一息ついたところで――


親父殿が、ゆっくりとレネオス王へ向き直った。


「さて、レネオス王」


低く、しかし柔らかい声。


「この後はどうする?」

「戻るなら馬車は用意する。

警護は来た時と同じく、ライルたちを“冒険者”として付けよう」


ちらりと視線を送る。


「ライル、頼めるな」

「はっ」


ライルが胸に手を当て、短く応じる。


レネオス王は、しばし沈黙し――

深く息を吐いた。


「……我らは、王都には戻らぬ」


その一言に、空気が引き締まる。


「元騎士団長のもとへ向かう」


視線を上げる。


「すまぬが、そこまで護衛を頼みたい」


親父殿は即座に頷いた。


「了解だ」

「馬車はこちらで用意しよう」


一拍置いて。


「……行くのは王だけか?」

「いや」


レネオス王は首を振る。


「妃たちとイリアも同行させる」


フィオナ妃が、穏やかに微笑む。


「私たちも、ただ守られているだけではいられませんもの」


ロザリア、ティアナも静かに頷く。


(……完全に“動く側”に戻ったな)


親父殿は満足そうに頷いた。


「よし」

「だが――いつでも戻れるようにしておけ」


真剣な目。


「何かあれば、すぐにこちらへ来い」

「この戦を止めるには――王が必要だ」


レネオス王は深く頭を下げる。


「感謝する」


静かな声。


「戦を止めたい気持ちは、我らも同じだ」

「その時は……頼らせてもらう」


親父殿は立ち上がり、


レネオス王の前へ歩み寄る。


そして――

片膝をつき、その手を取った。


(……対等、か)


二人は小声で何かを交わす。


その表情は真剣で――

互いに、すでに“戦う覚悟”を決めていた。


やがて、親父殿が立ち上がる。

そして、俺たちの方へ振り返った。


「それで――シュウイチたちはどうする?」


迷いはなかった。


「俺たちは王都に戻る」


全員の視線が集まる。


「カイトの眷属――黒衣の神官を排除する」


一拍。


「そのための情報を集める」


(ここが本命だ)


そのとき。


ロウガが一歩前に出た。


「シロガネ」


短く呼ぶ。


「お前はシュウイチたちに同行しろ」

「王都のアジトも任せる」

「了解した」


シロガネが静かに頷く。


(助かるな……あいつは信用できる)


親父殿の視線が、リュミナへ向く。


「リュミナはどうする?」


答えは、聞くまでもなかった。


「とうぜん!」


一歩前へ出る。


「シュウイチと一緒にいく!」


迷いのない声。

親父殿は、深く息を吐いた。

そして――

娘の頭に手を置く。


「……シュウイチ」

「頼む」


その一言に、すべてが込められていた。


俺はまっすぐに頷く。


「任せてください」

「リュミナは、必ず守ります」


リュミナが嬉しそうに腕に抱きつく。


親父殿は――

大きく笑った。


「がははっ!」

「頼もしい息子だ!」


その笑い声が、場の緊張を少しだけ和らげた。


こうして――

王族は“外からの戦力”を求めて動き、

俺たちは“内側から”王都へ戻る。

二つの戦線が、はっきりと分かれた。


(……いよいよだな)


戦いは、もう目の前まで来ている。

守るものは増えた。

帰る場所もできた。


だから――

負けるわけにはいかない。


俺は拳を握り、

静かに決意を固めた。


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