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おまけの俺、黒幕の正体を知る

イリアが静かに口を開いた。


「その後、王都の状況を調べていた時――

“ルミナス教の神殿が乗っ取られようとしている”という噂を耳にしました」


フィオナが息を呑む。


「神殿が……?」

「はい。おかしいと思い、すぐに向かいました」


一拍。


「神殿の前に、黒衣の神官が二人。

何かを唱えていました」


部屋の空気が張り詰める。


「直後――中から悲鳴が上がり、

神官たちは慌てて逃げ出しました」


(……完全に黒だな)


「そのまま城へ戻り、報告しようと執務室へ向かう途中――

侍女から二つの知らせを受けました」


イリアは指を二本立てる。


「一つは、王子誕生の知らせ」


王妃たちが静かに頷く。


「もう一つは――

陛下とお母さまたちが倒れた、という知らせでした」


王と妃たちの表情が沈む。


「急いで執務室へ向かうと……

アリアお姉さまが、すでに指揮を執っていました」


その声に、わずかな揺らぎ。


「冷静で、的確で……

“さすがだ”と、その時は思いました」


だが――


「その背後に、黒衣の神官がいたのです」


王の目が鋭くなる。


「“その者は誰ですか”と問うと、

お姉さまはこう答えました」


イリアは拳を握る。


「『私の師です』と」


(……完全に入り込まれてるな)


「その直後――」


イリアの声が少し震える。


「神官が、目の前に現れました」

「なっ……!」

「そして、私の頭に手を当て――」


一拍。


「私は、そこで意識を失いました」


沈黙。

重い、沈黙。


「気がついた時には、塔の上層に軟禁されていました」


静かに続ける。


「勇者召喚が行われたこと。

その勇者に“あてがわれる”予定だったこと」


そして――


「ユウマさんとシュウイチさんに助けられ、

私は外へ出ることができました」


イリアが深く頭を下げる。


「……ありがとうございました」


辺境伯が腕を組んだまま頷く。


「……これで繋がったな」


王が拳を握る。


「アリア……」


震える声。


「何を……されてしまったのだ……」


その声は、父親のものだった。


やがて王が顔を上げる。


「カイトリア教について進言があった時、

調査を命じたな。フィオナ」

「はい」


フィオナが引き継ぐ。


「調査の結果――カイトリア教は

“カイト”という勇者を神と崇める宗教でした」


空気が一気に冷える。


「彼は邪神の力を吸収し、“亜神”へ至った存在」


(……やっぱりそっち系か)


「自らの世界を持たず、

“他世界の乗っ取り”を教義としていました」

「……」

「そして、かつてルミナス様と敵対した存在でもあります」

「私は邪教指定を進言しましたが……」


フィオナが目を伏せる。


「遅かったのです」

「その後の記憶は――

シュウイチさんに起こしていただくまでありません」


部屋が静まり返る。


そこで俺は口を開いた。


「塔の奥にあった隠し部屋――

あれはフィオナ陛下のものですか?」


フィオナが目を見開く。


「よく分かりましたね」

「ええ。あそこは妃たちの共有の部屋です」

「そこにあった魔術書、役に立ちました」


俺は軽く頭を下げる。


「カイトリアの眷属を一体、倒せました」

「「「えっ!?」」」


王と妃たちが同時に声を上げる。


「眷属を……倒した?」


王が身を乗り出す。


「相手は神の眷属だぞ……?」

「可能です」


俺ははっきりと言った。


「俺とリュミナはルミナス様の加護を持っている」


一拍。


「イリア様も同じです」


イリアが頷く。


「守護の加護をいただいています」


「……ということは」


王の声が低くなる。


「黒衣の神官は、残り一人か?」

「はい」


俺は断言する。


「ルミナス様の眷属から確認済みです」


そして――


「その神官を倒せば、アリアさんは救えます」


全員の視線が集まる。


「呪いを切ったように――

洗脳も、断ち切ります」


空気が震えた。


王が、深く息を吐く。


そして――


「……頼む」


頭を下げる。


「娘を……救ってくれ」


王ではない。

父の声だった。

辺境伯が口を開く。


「方針は決まったな」


全員を見渡す。


「第一目標――黒衣の神官の討伐」

「第二目標――アリア王女の救出」


俺は補足する。


「もう一つあります」


視線を上げる。


「勇者です」

「彼も、確実に絡んできます」


辺境伯が眉を上げる。


「同郷だろう?」

「問題ありません」


俺は迷わず答えた。


「排除しても、元の世界に戻ると約束されています」


王が驚く。


「勇者を……排除するのか」


辺境伯が腕を組む。


「ならば結論は一つだ」


低く告げる。


「神官と勇者の排除」

「そして王女の奪還だ」

「はい」


俺は頷いた。


(……ここからが本当の戦いだ)


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