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おまけの俺、戦争の原因を突き止める

ライルが静かに姿を現した。


「馬車の準備が整いました。ご案内します」


俺たちは王族を連れ、二台の馬車に分かれて乗り込む。

そのまま廃鉱方面へと出発した。

途中、何度か休憩を挟みながら進み、

夕暮れぎりぎりで砦へ到着する。

完成したばかりの砦を見て、

王が首をかしげた。


「……こんな場所に砦などあったか?」


(昨日の夜に作ったからな……)


門の前には、

普段着の辺境伯が、護衛も付けずに立っていた。

敵意はない。

そう示すための配置だろう。

王と辺境伯は静かに視線を交わし、

短く挨拶を交わす。


そしてそのまま砦の中へ。


(……よし)

(これで、任務完了――)


そう思った瞬間だった。


「シュウイチ様!」


伝令が駆け込んでくる。


「伝言です!」

「……嫌な予感しかしないな」


胸を張って読み上げる。


「『なにサボっている。すぐに応接室へ来い』

――以上、辺境伯様からです!」


(サボってない)


悠真が苦笑する。

美琴が肩をすくめる。

ひよりが小声でつぶやく。


「また怒られてる……」


(……まだ終わってなかったらしい)


俺はため息をつき、

応接室へ向かった。


「修一です」

「遅い。入れ」


(理不尽だーーー)


扉を開けると、

辺境伯の隣にエルドが座っていた。


空気が重い。

完全に“会議モード”だ。


「座れ」


言われるまま席につく。

全員が揃ったところで、

辺境伯が口を開いた。


「では始めよう」


視線が一巡する。


「まずは現状認識だ。

各陣営、それぞれの視点から話せ」


レネオス王が静かに頷いた。


「まずは私からだ」


辺境伯は腕を組み、淡々と語る。


「約2週間前。

国境付近の村が襲撃された」


部屋の空気がわずかに重くなる。


「当初は盗賊か奴隷商人の仕業と判断したが――

派遣した兵が、王国軍と交戦した」

「……王国軍だと?」


王の声が低くなる。


「さらに二つの村が襲撃され、

結果として軍同士の衝突に発展した」


一拍。


「そして――」

「娘が攫われた」


リュミナの肩がわずかに震える。


「先日、修一により救出された」


ちらりとこちらを見る。


(……こういうときだけちゃんと評価するんだよな)


「次は私から」


エルドが静かに口を開く。


「私は王国内で、亜人の保護活動を行っている」


ゆっくりと言葉を選ぶ。


「一か月前、王都で大規模な動員が発生した。

兵・物資の徴収により、貧困層の生活は崩壊」


王妃たちの表情が曇る。


「さらに二週間前から、亜人排斥が急激に進行した」

「……」

「兵士による暴力、市民の同調――

完全に“流れ”ができていた」


フィオナが息を呑む。


「そして決定的だったのが――奴隷だ」


空気が一気に張り詰める。


「十日前、王都に運ばれた獣人奴隷。

それは……幼い龍人だった」

「なっ……!」


王が立ち上がりかける。


「危害が加えられそうになった瞬間、

修一が介入し救出した」


エルドが深く頭を下げる。


「この行動がなければ、

今この場は存在しなかった」


(……やめてくれ、照れる)


「では、最後に私から」


イリアが静かに前へ出る。


その声には、


王女としての責任が宿っていた。


「一か月ほど前――

“カイトリア教”という新興宗教の存在を知りました」


辺境伯が眉をひそめる。


「慈善団体と聞き、連携を検討しましたが……」


一拍。


「実態は“人類至上主義”を掲げる危険思想でした」

「亜人排斥を煽り、社会を分断する存在」


部屋が静まり返る。


「危険と判断し、陛下へ報告しました」


王が目を閉じる。


苦しげに。


「……覚えている」


イリアは続ける。


「ですがその直後――

お父様は倒れ、私も拘束されました」


静かに、しかし確実に。


「そして王国は……変わってしまった」


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