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おまけの俺、遠征軍と合流する

「廃鉱の向こう側を押さえるのが先だな」


辺境伯の低い声が、会議室に響く。


「補給路として廃鉱を確保する。

向こう側には制圧部隊、内部には常駐警備を置け」


即座に、ライルが口を開いた。


「向こうの戦力は分隊規模。見張りは二〜三名。

交代要員込みでも十名程度です」

「なら二個小隊で十分だ」


辺境伯は即断する。


「向こう側制圧と廃鉱警備を兼ねる形で展開する。

参謀長、可能か」

「明朝までに編成いたします」

「よし」


短く頷き――

辺境伯はイリアへ視線を向けた。


「イリア殿。再び王国へ戻ることになるが、よろしいか」


イリアは静かに立ち上がり、深く一礼した。


「ドラグニア辺境伯様。

ご支援、心より感謝いたします」


その言葉に、辺境伯は満足そうに頷く。


「うむ」


そして悠真を見る。


「ユウマ殿。イリア殿を頼むぞ」

「はい」


迷いのない返答。


(……あいつ、本気だな)


最後に、辺境伯は全員を見渡した。


「――本日はここまでだ。各自準備に入れ」


張り詰めていた空気が、ゆっくりと緩む。


(……いよいよだな)


翌朝。


中庭に出た瞬間――


「……多くないか?」


思わず呟いた。

整列している兵は、ざっと見て百五十。


(……二個小隊って規模じゃないぞ、これ)


違和感を覚えたところで、

一人の兵士が駆け寄ってきた。


「シュウイチ様でよろしいでしょうか。

司令官がお呼びです」


「……全員か?」


「はい。同行者すべてとのことです」


(全員? 嫌な予感しかしないな)


俺たちは顔を見合わせ、そのまま城内へ向かった。

案内されたのは、先ほどよりも広い会議室。

扉の前で兵士が声を張る。


「シュウイチ様以下十二名、到着しました!」

「入れ!」


低い声。

扉が開く。


中に入った瞬間――

空気が変わった。


(……重い)


辺境伯のほかに、

数名の将官が並んでいる。

その中心に座るのは――

一際大きな存在感を放つ男だった。


「遠征軍司令官、バルグレイ」


辺境伯の紹介とともに、

その男がこちらを見た。


竜人。

重厚な鎧。

そして、黄金の瞳。


(……圧がすごいな)


ただ座っているだけで、空気が押されるような感覚。


「第一小隊長、ルガー」


大柄な狼獣人。

腕を組んだまま微動だにしない。


(……真正面からぶつかるタイプだな)


「第二小隊長、グレイ」


細身の狼獣人。

視線が鋭い。

常に全体を観察している。


(……こっちは頭脳派か)


「工兵隊長、グラン」


ドワーフ。

分厚い腕に、無数の工具。


(……拠点戦なら無敵そうだ)


「護衛隊長、ゼルギアス」


黒い鱗を持つ竜人。

柔らかな笑み――だが。


(……この人、やばい)


戦場の匂いがする。

笑っているのに、隙がない。


(……全員、ガチだな)


軽く息を吐く。

完全に“戦争側”の人間たちだ。


「では、そちらも紹介を」


辺境伯に促され、俺は立ち上がる。


「修一です。

こちらは――巫女のリュミナ」


リュミナがぺこりと頭を下げた瞬間、

場の視線が一斉に集まる。


(……これは目立つな)


「美琴、ひより、悠真」


三人もそれぞれ礼をする。


「そして――イリア様」


イリアは一歩前に出て、

王女としての所作で一礼した。


空気がわずかに変わる。


(……やっぱり王女は別格だな)


「ライル、エルド、ロウガ。

それとロウガ隊」


獣人たちが胸を張る。


その瞬間――

小隊長たちの目がわずかに変わった。


(……同族として認めたな)


戦士同士の、無言の理解。


こうして。

異世界人。

巫女。

王女。

そして獣人部隊。

――異色の混成チームが、

歴戦の獣人軍と対面することになった。


(……改めて見ると)


心の中で苦笑する。


(うちのパーティ、カオスすぎるだろ)


だが――

その“カオス”が、

この戦いを変える。

そんな予感が、確かにあった。


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