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おまけの俺、覚悟を示す

俺は、ふと気になって尋ねた。


「……あの“行き来できる力”って、他人も連れていけるのか?」


ルミナス様は、呆れたように肩をすくめる。


「気が早いな」


くすっと笑い、


「まあいい。影移動の応用で調整してやろう」


(……影移動の応用で“次元移動”って、どういう理屈だよ)


理解するのは諦めた方がよさそうだ。

ルミナス様は、俺と悠真を順に見た。


「だから――カイトの力を削げ。修一、そして悠真」


名を呼ばれた悠真は、迷いなく答える。


「はい! 全力でやります!」


(……あいつ、絶対あとで俺を“送迎係”にする気だな)


思わず苦笑する。

隣では、リュミナが嬉しそうに袖をつまみ、寄り添ってきた。


(……まあ、こういう未来も悪くないか)


神殿の空気は厳かで、

それでいてどこか温かい。

――俺たちの“これから”が、静かに動き出していた。


神殿から城へ戻った俺たちは、

ドラグニア辺境伯を交えて作戦会議に入った。


まず俺は、結論から切り出す。


「大規模な戦闘は避けたい。

少数で王国へ潜入し、王様たちの呪いを解除する。

その上で、こちら側につくよう説得する――これが最善だと思う」


辺境伯は腕を組み、深く頷いた。


「……理にかなっているな。

では、前線部隊には“防衛専念”を命じよう。無用な衝突は避ける」


(さすが、判断が早い)


次に、潜入メンバーの話になる。


「王家を説得するなら、イリア様には同行してもらいたい」


イリアは静かに頷く。

だが俺は続けた。


「ただ、護衛は必要だ。俺一人では守り切れるか分からない」


その瞬間――


「僕も行きます」


悠真が迷いなく手を挙げた。


「イリア様、、、いやイリアさんを守るのは……僕の役目です」


まっすぐな言葉。

イリアの頬が、ふっと赤くなる。


「ユウマさん……ありがとうございます」


(……青春だな)


そんな二人を見て、美琴がため息をつく。


「叔父さんとリュミナちゃんは今さらだけど……

なんか、あっちはずるくない?」


ひよりがくすっと笑い、

美琴の袖を引いた。


「美琴ちゃん。私も行くよ。助けたいもん」

「ひよりちゃんが行くなら、当然でしょ。私の役目だし」


そこまではよかった。

だが――

ひよりがぽつりと呟く。


「……いいなぁ。

ああやって守ってくれる人」

「えっ?」


美琴が固まる。

ひよりはそのまま、美琴に寄りかかった。


「美琴ちゃんはどう? 憧れない?」


一瞬の沈黙。

そして――


「……私は、ひよりちゃんを守る」


真剣な声。


「絶対に」

「美琴ちゃん……」


そのまま抱きつくひより。


(……なんだこの空間)


俺の横で、リュミナが胸を張る。


「シュウイチが行くところは、私も行くんだよ!」


(いや、お前は守る側じゃなくて守られる側だろ……)


空気がほんのり桃色に染まった、そのとき。


「――お前たち」


低い声が落ちた。

辺境伯だ。


「もう少し真面目にできんのか」


全員、ぴたりと固まる。


「……すみません」


(……通常運転です)


辺境伯は深いため息をつき、

俺たちを見渡した。


「……本当にお前たちで大丈夫なのか?」


誰も即答できない。


(……まあ、“たぶん”だよな)


沈黙の中、

辺境伯が俺を指さした。


「シュウイチ」

「は、はい」

「お前は、俺の息子として鍛え直す必要があるな」

「……え?」


思考が止まる。


「息子……?」


だが辺境伯は構わず続ける。


「俺も同行する」

「えっ」

「王との交渉には、こちら側の責任者が必要だ」

「ですが、それは危険では――」


言いかけた瞬間、

辺境伯の目が鋭く光った。


「危険な場所にリュミナを行かせる気か!」


(……やばい地雷踏んだ)


言葉に詰まる。

そのとき――

ふわり、と光が集まり、

ルミナス様が姿を現した。


「ガルド」


穏やかな声。


「こやつらを、信じて送り出してくれんか?」


辺境伯は眉をひそめる。


「信頼はしている。だが――覚悟が足りん」


(……痛いとこ突くな)


ルミナス様が、こちらを見る。


「修一」


静かに告げる。


「ここは“お義父さん”に覚悟を示せ」


(……今、“お義父さん”って言ったよな?)


だが、逃げるわけにはいかない。

俺は深く息を吸い――

辺境伯をまっすぐ見た。


「リュミナは、絶対に守る」


言い切る。


「カイトリアなんかに、これ以上好きにはさせない」


一瞬の静寂。


そして――

辺境伯の口元が、ゆっくりと緩んだ。


「……よし」


短く頷く。

そして、にやりと笑った。


「明日、出発だ」


その一言で、

場の空気が一気に引き締まった。


(……来るな)


決戦が、始まる。


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