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おまけの俺、王家救出を決断する

「さて――修一」


ルミナス様が、静かに俺の名を呼んだ。

それだけで、

神殿の空気がぴんと張り詰める。


「王国を実質支配しているカイトリア」


ゆっくりとした声音。

だが、その奥に確かな殺意があった。


「――やつを排除するのを、手伝ってくれんか?」


(……やっぱり来たか)


覚悟はしていた。

イリア様を巻き込んだ時点で、

この戦いから逃げる選択肢はない。


「……分かった」


俺はまっすぐルミナス様を見る。


「イリア様を巻き込んだ責任は、俺にある。

やるべきことを教えてくれ」


ルミナス様は、満足そうに頷いた。


「物分かりがいいのは助かる」


そして――


「まずは、“やつの影響を受けている者”を救え」

「影響……?」

「お前には、“神の加護を断つ力”がある」


視線が、まっすぐ俺を射抜く。


「ならば――“神の呪い”も断てる」


(……なるほど)


頭の中で一気に繋がる。


「王家にかけられているやつの力を、全部切れってことか」

「そうだ」


即答。


「王、王妃、そして王女」


淡々と並べられる名前。


「全員を解放しろ」

「ただし――順番がある」


その一言で、空気がさらに引き締まる。


「王からだ」

「……理由は?」


ルミナス様は迷いなく答える。


「呪いは“返した時”に術者へ伝わる」


(……呪詛返し、か)


「だが、お前のやり方は違う」


指を軽く振る。


「“断ち切る”だけだ。

呪いを維持したまま返すことはできん」

「つまり――」

「術者には感知されない」


(……強すぎるだろ、この能力)


「普通はな」


ルミナス様が小さく笑う。


「そんな芸当、できん」


(まあ、そうですよね)


「だが――王女は違う」


その一言で、空気が変わった。


「王女にかかっているのは“呪い”ではない」

「……違うのか?」

「“洗脳”だ。加護の形をしたな」


(……なるほど)


「切った瞬間、確実に気づかれる」

「だから後回し、か」

「そういうことだ」


俺は少し考え、問いかける。


「勇者は?」


ルミナス様は一切迷わなかった。


「最後だ」

「……やっぱりか」

「やつと完全に結びついた状態で叩く」


その目が細められる。


「その方が、カイトの力を大きく削げる」


(……神同士の戦い、か)


「確認させてくれ」


俺は一度、仲間たちを見た。


「この作戦でいいか?」


美琴とひよりは即座に頷く。


悠真は少し考え――


「その場合……神谷はどうなるんですか?」


ルミナス様は静かに答えた。


「わしが勝てば――勇者は“この世界に来なかった状態”で元の世界へ戻す」


空気が止まる。


「お前たちは選べる」


指を三本立てる。


「記憶を消して戻るか」

「記憶を持ったまま戻るか」

「――この世界に残るか」


美琴とひよりの表情が一気に明るくなる。

悠真は一瞬笑みを浮かべ――

すぐにイリアを見る。


(……完全にそういう顔だな)


その横で。

リュミナが、ぎゅっと俺の腕を掴んだ。

不安そうな目。

俺はその頭を撫でる。


「大丈夫だ」


小さく囁く。

リュミナは安心したように目を閉じ、

俺に寄り添った。


(……守るもの、増えたな)


ルミナス様が、その様子をしばらく見て――

ふっと笑った。


「……修一」

「はい?」

「お前の進路は決まっているぞ」

「……は?」


嫌な予感。


「うちの巫女の強い要望により――」


ちらりとリュミナを見る。

満面の笑み。


(あ、これアウトだ)


「お前は“こちらに残る”ことが決定している」

「……決定?」


思わず聞き返す。


「まあ安心しろ」


ルミナス様が肩をすくめる。


「カイトの力を奪えば、“行き来する力”くらいはくれてやる」


リュミナの笑顔がさらに輝いた。


(……俺の人生、だいぶ勝手に決まってないか?)


だが――

不思議と嫌な気はしなかった。


(……まあ、悪くない)


俺は小さく息を吐いた。


これで――

やるべきことは、すべて決まった。


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