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おまけの俺、仲間が覚醒する

ルミナス様が、軽く指を鳴らした。


――空気が変わる。


「さて」


穏やかな声。

だが、その一言で神殿全体が張り詰めた。


「その三人に、断ち切った加護の“代わり”を与える」


視線が、美琴、ひより、悠真へ向けられる。


「前へ出なさい」


三人が静かに歩み出る。

俺たちはその後ろにつき、

神殿の奥――巨大なルミナス像の前へと進んだ。


そこは、まるで別の空間だった。

空気が重い。

澄みきっていて、

息をするだけで身体の奥まで満たされるような感覚。


(……これが、“神域”か)


ルミナス様は三人を見渡し、ふっと笑った。


「ほう……三人とも、すでに魔術を扱えるようになっているのか」


どこか嬉しそうな声音。


「ならば話は早い」


軽く手を上げる。


「以前の加護では、魔術と競合する。

ならば――」


その瞳が細められる。


「魔術そのものを引き上げる力を与えよう」


最初に呼ばれたのは、ひよりだった。


「聖女たるひより」


びくっと肩を震わせる。


「魔術では、“失われたもの”を完全に戻すことはできない」


一歩、近づく。


「それを補う力をやろう」


その瞬間。

ひよりの身体が、淡い金色に包まれた。

優しく、温かい光。


「さらに――」


ルミナス様が指を立てる。


「回復魔術を、“単体と同等の出力”で“範囲”に拡張できるようにした」

「えっ……!?」


ひよりが目を見開く。


「そ、そんな……私が……」

「できる」


迷いのない声。


「お前だから与えるのだ」


ひよりは震えながら、深く頷いた。


次に、美琴。


「聖騎士たる美琴」


美琴は一歩踏み出し、まっすぐにルミナス様を見据える。


「そなたには、“守り”を極める力をやろう」


その盾が、淡く輝いた。


「仲間のダメージを肩代わりする能力」


さらに光が強くなる。


「そして――自己再生」

「……!」


美琴が息を呑む。


「守る者は、倒れてはならぬ」


ルミナス様の視線が、ちらりとリュミナへ向く。


「ひよりだけでなく――わが巫女も守れ」

「……はい」


迷いはない。


「必ず守ります」


美琴は深く頭を下げた。


最後に、悠真。


「賢者たる悠真」

「は、はいっ!」


明らかに緊張している。

ルミナス様は腕を組み、少し困った顔をした。


「お前……好き勝手やりすぎだろう」

「す、すみません……?」

「理の外に片足突っ込んでいるぞ」


(……言われてるな)


しばらく考え込み――

やがて、ため息をついた。


「……制限を設けるのは無意味だな」

「え?」

「ならば――」


ルミナス様が指を鳴らす。

空気が震えた。


「上限を消してやる」

「……はい?」

「魔力の上限を撤廃した」


さらっと言う。


「鍛えれば――いくらでも使える」

「……∞ってことですか?」

「そういうことだ」

「えええええ!?」


悠真の声が神殿に響く。


(……賢者、壊れたな)


そして――

最後に、イリア。


「イリア」


名前を呼ばれ、静かに前に出る。


「お前のことは、以前から見ている」


その言葉に、イリアがわずかに目を見開く。


「リュミナほどではないが……」


少しだけ、柔らかくなる声。


「自らを守る力は必要だ」


青い光が、イリアの身体を包む。


「“守りの魔法”を与える」


静かに告げる。


「そして――悠真から学べ」


悠真の方へ視線を送る。


「魔術を修めれば、それに適した加護へと昇華させてやろう」


イリアは深く頭を下げた。


「……ありがとうございます。必ず学びます」


その瞳には、確かな決意があった。


すべてが終わった瞬間。

神殿の空気が、すっと軽くなる。

張り詰めていた圧が消え、

現実に引き戻されたような感覚。


(……終わったか)


俺は隣を見る。

リュミナが、そっと手を握ってきた。

温かい。

安心したように、微笑んでいる。


(……これでまた一つ)


脅威が消えた。


そして――

仲間は、さらに強くなった。

俺はその手を軽く握り返す。


(ここからだ)


反撃の準備は、整った。


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