おまけの俺、明日すべてを変える
「じゃあ、明日、美琴たちをこっちに呼んで……加護(呪い)を切るか。
来られるかどうか、確認してみる」
「了解、連絡は任せた」
「おう、任された」
ライルたちと別れ、
俺はリュミナが使っていた部屋へ向かった。
扉を閉め、魔道具を起動する。
わずかな間のあと、聞き慣れた声が返ってきた。
『こんばんは、叔父さん』
「こんばんは、美琴。
無事にアジトまで着いたぞ。
イリア様にも会った。元気そうで何よりだった」
『イリア様に会ったんだね。
悠真くんのこと、怒ってなかった?』
「いや……怒ってる感じじゃなかったが――
様子はちょっと変だったな。何かあったのか?」
少しの沈黙。
『……詳しい話は、合流してからするよ』
(……絶対何かあったな、あれ)
「わかった。
で、美琴たちは明日、出られるのか?」
『出られるよ。
特に予定もないし……勇者様も、最近は部屋にこもりきりで出てこないから』
「それは……いいのかどうか、微妙だな」
『いいんじゃない?
正直、私たちのこと……道具みたいに見てる気がするし』
一瞬、言葉に詰まる。
『もしかして神谷くん、
私たちが“自分のパワーアップのための存在”って知ってるのかな?』
「……自分たちを道具扱いするな」
少し強めに言ってしまった。
「明日、三人でアジトに来てくれ。
そこで加護を断ち切る。
そのあと、すぐにファルドラへ移動する」
一度息を吸い、続ける。
「城にはもう戻らないつもりで来い。
必要なものは全部持ってこいよ」
『……うん、わかった。
ひよりと悠真くんにも伝えておくね』
「頼んだ。何かあったら、すぐ連絡しろ」
『うん。また明日』
通信が切れる。
部屋に、静けさが戻った。
(……明日で、全部変わる)
これまで張り詰めていたものが、
一瞬だけ緩みそうになるのを、ぐっと抑える。
ここから先は――失敗できない。
そのとき。
袖が、そっと引かれた。
振り向くと、リュミナがすぐ隣に立っていた。
「シュウイチ……」
不安そうに、でも信じるような目で見上げてくる。
「みんなで……帰ってくるんだよね?」
その言葉に、迷いはなかった。
「ああ。もちろんだ」
はっきりと言い切る。
「全員で帰る。
一人も欠けさせない」
リュミナは、ほっとしたように微笑んだ。
その小さな笑顔を見て――
胸の奥で、何かが静かに燃え上がる。
(……絶対に守る)
明日、美琴たちを救う。
そして――
全員で、ドラグニアへ帰る。
そのためなら、何だってやる。




