おまけの俺、仲間と合流する
ロウガたちの案内で、
俺たちは問題なくアジトへと到着した。
入口をくぐると──
ライルとイリア様が待っていた。
ライルが手を挙げて笑う。
「お帰り、修一、ロウガ……それに他三名。
そして──また戻ってきたんだな、リュミナちゃん。
いや……リュミナフィア殿下」
そう言って、片膝をつく。
リュミナがびくっと肩を震わせた。
「えっ……気づいてたの……?」
ライルは肩をすくめる。
「一応、ガルド閣下の部下なんでね。
殿下が隠したがっていたから、気づかないふりをしていただけさ」
「う~~~~……!
と、とにかく! “殿下”は禁止!
今まで通り“リュミナ”って呼びなさい!」
「わかったよ、リュミナちゃん。お帰り」
「うん、ただいま!」
(……“他三名”ってまとめられた俺たちは何なんだ)
まあいい。
ライルが手で示す。
「紹介するよ。この方が第二王女イリア様だ」
イリア様はスカートの端をつまみ、軽く会釈した。
「初めまして。イリア=エルディアです。
私も城から逃げてきた身ですので、
どうか“イリア”とお呼びください」
「修一です。ご無事で何よりです。
悠真が失礼をしていないか心配で……」
そう言うと、イリアはそっぽを向いた。
「ユウマさんは……とても紳士的でした」
その耳が、ほんのり赤い。
(……これは怪しいな)
(あとで悠真に“何もなかったか”確認だな)
横でロウガが小声で笑う。
「修一、顔が怖いぞ」
(……バレてたか)
イリアが気を取り直してこちらを見る。
「それで……修一さん。
美琴さんたちは無事なんですよね?」
「もちろんだ。
明日には迎えに行く。
イリア様も一緒にファルドラへ向かおう。
向こうでルミナス様と対策を考える」
イリアはほっと息をついた。
その横で、リュミナが胸を張る。
「シュウイチがいるから大丈夫だよ!」
(……いや、俺より先に自分の嫉妬をどうにかしてくれ)
アジトの空気は、
安堵と緊張、そして少しの賑やかさに包まれていた。
アジトの広間。
地図を広げたテーブルを囲み、
俺とライル、ロウガたちが集まる。
まずは確認だ。
「ライル、イリア様用の装備はあるのか?
廃坑を抜けるならドレスじゃ厳しい」
ライルは鼻で笑った。
「心配いらん。
あのドレスは“お前が帰ってくるから”って着ただけだ。
普段着も軽鎧も用意してある」
(……おい今なんか聞き捨てならないこと言ったぞ)
「イリア様は災害派遣で兵と移動した経験もある。
移動だけなら問題ない」
「それは頼もしいな」
リュミナが胸を張る。
「リュミナも修行の成果が出たよ!
戻るときも一人でできたし、
“自分の身は守れる”ってルミナス様のお墨付きだもん!」
ライルが感心したように頷く。
「なら戦力的には十分だな。
聖女、聖騎士、賢者が合流すれば、かなり安定する」
「……いや、そう単純でもないらしい」
俺は苦笑した。
「ルミナス様に言われた。
“リュミナを連れていかないと、俺は死ぬ”ってな」
場の空気が一瞬で変わる。
「それに──“暗闇に気をつけろ”とも言われた」
ライルの表情が引き締まる。
「……暗闇、か。
行きの廃坑では何もなかったんだよな?」
「ああ。
だが“帰りも同じ”とは思わない方がいい」
静かな緊張が広がる。
ライルが頭を掻きながら言った。
「なら、ロウガ隊だけじゃなくて俺も行く。エルドもだ」
「助かるが……いいのか?」
ライルはにやりと笑う。
「ああ。
どうせ首を突っ込むなら、最後まで見届けたい」
「し・ご・と・し・ろ!」
俺とロウガ、ハチヤのツッコミが重なった。
ライルは肩をすくめる。
「仕事だよ。
王家と主家が絡んでる案件だ。
関わるのが俺の役目だろ?」
(……まあ、確かにそうなんだが)
そのとき、リュミナが俺の袖をつまむ。
「シュウイチ。みんなで行けば大丈夫だよ」
その言葉に、少しだけ肩の力が抜けた。
「ああ。全員で行って──
全員で帰る」
短く言い切る。
その瞬間。
アジトの空気が、静かに引き締まった。




