表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
53/83

おまけの俺、巫女と共に再び旅立つ

カレンナを救出してから、二日。


 その間、リュミナはルミナス様のもとで、

“巫女として自分の身を守れるように”修行を積んでいた。


(……本当に強くなったな、リュミナ)


 そして今日。

 俺たちは再び、エルディア王国へ向かう。

 美琴たちの呪い──いや、“加護”を断ち切るために。

 その手段は、もう手に入れている。


 ロウガたちと出発の準備を整え、

 朝、城門前に集合すると──

 そこに、リュミナが立っていた。


「リュミナ、見送りありがとうな。

 ちょっと美琴たちを救って、連れ帰ってくるわ」

「……うん。じゃあ行こっ」

「いや、“じゃあ”じゃないだろ」


 思わずツッコミが出る。


「今回は危険かもしれない。

 俺としては、ここで待っててほしいんだけど」


 そう言うと、リュミナはぶんぶんと首を振った。

「イヤ!」

 即答だった。


「私がいかないと、シュウイチが死んじゃうって

 ルミナス様が言ってたもん。絶対ついてく!」

「……俺が死ぬ?」


 思わず聞き返すと、

 リュミナは真剣な顔で頷いた。


「“暗闇に気をつけろ”って。

 私がいないと、気をつけても死んじゃうんだって」


(……暗闇?)


 その言葉に、背筋がわずかに冷える。


「そうだよ。そう言ってるじゃん」


 背後から声がした。

 振り返ると、いつの間にかルミナス様が立っていた。


「ルミナス様……リュミナは必要なんですか?」

「必要だね」


 あっさりと断言された。


「リュミナも最低限は戦えるようになった。

 連れていきな。そして──」


 一拍置いて、こちらを見る。


「必ず帰ってきな」


 その言葉に、自然と背筋が伸びた。


「……はい。リュミナは、必ず守ります」


 次の瞬間、コツン、と額を弾かれる。


「お前が死んでもダメなんだよ」

「……はい」

「二人で帰ってきな」

「……はい」

「それと」


 ルミナス様が続ける。


「勇者の“贄”たちも連れてきな。

 カイトの縁を断ったあと、私が加護を与える」

「わかりました。全員、連れて帰ります」


 その言葉に、リュミナが嬉しそうに腕にしがみついた。


「シュウイチと一緒なら、どこでも行くよ」


(……ほんと、この子は)


 少しだけ笑ってしまう。


 ロウガたちも頷き、馬車の準備を終える。


 こうして──

 俺たちは再び王国へ向かう。

 今度こそ、美琴たちを救うために。


 そして──

 “暗闇”と呼ばれる何かと向き合うために。


 馬車で廃坑まで戻り、

 前と同じ詰所で一泊。


 翌朝、俺たちは再び廃坑へと入った。

 中は相変わらずの暗闇。


(……ここか?)


 ルミナス様の言葉を思い出し、警戒を強める。


 だが──

 何も起こらないまま、通り抜けた。


(……違うのか。じゃあ“暗闇”って何だ?)


 廃坑を抜けると、王国側の兵士が警備していたが──

 見張りは酒盛り中だった。


(……緊張感ゼロだな)


 念のため《遮断の外套》を発動し、

 そのまま監視の隙をすり抜ける。


 こうして、再び王国へ侵入した。


 その日の夜。


 野営の準備をしながら、魔道具で美琴に連絡を入れる。


「こんばんは、美琴」

『こんばんは、叔父さん』

「そっちはどうだ?」

『イリア様をライルさんに預けたあとは、あまり変化なし。

 神谷くんは……別の貴族の娘をもらったみたいで、訓練にも来てないよ』


(……あいつ、本当に何してんだ)


「お前たちは?」

『悠真くんが上級魔術の本を持ってきてくれて、

 三人で夜に練習してる。結構楽しいよ』

「それは……いいのか?」


 苦笑するしかない。


「それより──」


 本題に入る。


「お前たちの加護、切れるようになった。

 今、王国に向かってる。明日にはアジトに着く」

『ほんとに!?』

「着いたらまた連絡する。

 城を抜ける準備をしておいてくれ」

『わかった。ひよりと悠真くんにも伝えるね』

「頼んだ」


 通信を切る。


(……よし)


 焚き火の火が、ぱちりと弾けた。

 明日には、美琴たちを救える。

 そのはずだ。


 隣を見ると──

 リュミナが、俺の袖をそっとつまんでいた。

 不安そうで。


 でも、どこか嬉しそうに。


(……絶対、守る)


 そう心の中で誓いながら、

 俺は静かに炎を見つめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ