表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
52/83

巫女は彼のお嫁さんになりたい

side:リュミナ


 私は、リュミナフィア・ドラグニア。

 親しい人からは、ただ“リュミナ”って呼ばれている。


 龍人族の姫で、ルミナス様の巫女(見習い)。

 年齢は四十歳──でも、龍人は五十歳で成人だから、

 私はまだ子どもみたいなもの。


 母様のことは、あまり覚えていない。


 私が十歳の時、

 母様──先代のルミナス様の巫女は、殺された。


 その日から、

 私は巫女を継いだ。


 でも──


 巫女といっても、

 ルミナス様とおしゃべりするくらいで、

 修行らしい修行は、何もしていなかった。


 ルミナス様も、


「大人になったら修行だよ」


 そう言ってくれていたから、

 私はずっと、安心していられた。


 だけど──半月ほど前。


 ルミナス様にお花を届けようと思って、

 護衛の騎士たちと、侍女のカレンナを連れて外に出たとき。


 賊に、襲われた。


 騎士たちは必死に戦ってくれた。

 でも、数が多すぎて──


 馬車は、すぐに囲まれそうになった。


 そのとき、カレンナが言った。


「リュミナお嬢様。このままでは追いつかれます。

 私がおとりになりますので、服を交換して逃げてください」


 私は、嫌で首を振った。


 でもカレンナは、

 涙をこらえた顔で、叫んだ。


「お嬢様、早く!」


 そして──


 自分のメイド服を脱いで、

 私に着せてくれた。


「囲まれる前に止めて!

 お嬢様は反対側から森へ!」


 そう言って、

 賊のいる方へ走っていった。


 私は──


 カレンナの言う通りにするしかなかった。


 森の中を、必死に走った。


 息が苦しくて、足が痛くて、

 それでも止まれなくて──


 やっと街道に出たとき、

 馬車が見えた。


 助けてもらえると思った。


 でも──


 その人たちは、賊と同じだった。


 眠り薬を飲まされて、

 そのまま連れていかれた。


 目が覚めたとき。


 私は、ロープで縛られて、

 知らない馬車の中にいた。


 四日ほど進んだあと、

 外に引きずり出されて──


 柱に繋がれて、

 酔った男に斬りかかられた。


 怖くて、寒くて、

 もう……終わりだと思った。


 その瞬間──


 シュウイチが、来てくれた。


 あの時のことは、

 今でも、はっきり覚えている。


 怖くて、壊れそうだった私を抱きしめた、

 あの腕のぬくもり。


 それは──


 ルミナス様と同じくらい、

 あたたかかった。


 だから分かったの。


(この人は、きっと……特別な人だ)


 それから──


 何度も助けてくれて、

 一緒に逃げてくれて、


 ドラグニアまで、連れて帰ってくれて。


 そして今──

 カレンナまで、助けてくれた。


 だから私は、ルミナス様にお願いした。


「私は……シュウイチのお嫁さんになりたいです」


 ルミナス様は、少しだけ考えてから──

 優しく笑った。


「まあ、修一の寿命を伸ばせばいいだけだしな。

 可愛いリュミナの願いだ、叶えてやろう」


 そして、少しだけ真面目な顔になって続けた。


「ただし──巫女としての修行はちゃんとやること。

 もう、巫女を失うのは見たくないからね」


 その言葉を聞いたとき、

 胸がぎゅっとなった。


 ルミナス様は、

 どこか母様みたいで──


 私は、ルミナス様が大好き。


 そして。

 

龍人は長命だ。

大人になってからも、ずっと、ずっと長く生きる。


それでも私は思った。

それでもいい。

シュウイチと一緒にいたい。


シュウイチのことも──


 私は、

 大好き。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ