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おまけの俺、第2王女を救う計画を立てる

小屋の中に、静かな緊張が満ちていく。


『ひよりを呼んできたよ』

美琴の声に続き、すぐにもう一つの声。


『こんばんは、修一さん』

「こんばんは」


全員が揃ったのを確認し、俺は口を開いた。


「じゃあ……悠真くんの相談を聞こうか」


魔道具の向こうで、息を整える気配がする。


『遠征から戻ったあと、僕たちは部屋に戻りました。

でも……神谷くんだけ、王女様に呼ばれたんです』


(……嫌な予感しかしないな)


『勇者強化の話かと思って……

僕、ねずみを神谷くんの近くに配置しておいたんです』


(さすがだな、悠真)


『そこで聞こえた会話なんですが……』


一瞬、言葉が詰まる。


『神谷くん、“ご褒美が欲しい”って言い出したんです』

空気が凍りつく。


『……“メイドは飽きたから、他の女をくれ”って』

『……最低』


ひよりの震える声が重なる。


悠真は続けた。


『王女様は少し考えたあと、後ろにいた黒ずくめの人物と話して……

それから――こう言いました』


わずかな間。


『“妹はいかが?”って』

「……!」


美琴が思わず声を上げる。


『妹って……第2王女、イリア様!?』

『はい』


悠真の声は重かった。


『修一さんが見つけた……あの人です』


(……アリア、完全に壊れてるな)


俺は小さく息を吐いた。


『正直……神谷くんにやる気を出されても困ります。

それに、第2王女様は……修一さんが言っていた通り、

“助けるべき人”なんですよね』

「ああ。あの人は、この状況を変える鍵になる」

『居場所は……だいたい聞いてます』

「直接会ったのか?」

『いえ、ねずみを送り込んだだけです』

「なら、一度本人の意思を確認した方がいいな」


その時、ひよりがぽつりと呟いた。


『……神谷くんが、あんな人だったなんて……』


声が震えている。


『少し前に、“相談があるから部屋に来ないか”って言われたんです。

でも……美琴ちゃんと一緒じゃないと行かないって言って、断って……』


言葉が途切れる。


『もし……一人で行ってたら……』

『ひより、そんなことあったの!?』


美琴の声に、怒りと不安が混じる。


『絶対に一人で行っちゃダメだよ!』

「そうだな」


俺も頷く。


「ひよりちゃんと美琴は、できるだけ一緒に行動してくれ」

『……うん』

『わかった』


二人の声が重なる。


少しの沈黙。


そして、悠真が口を開いた。


『……僕、第2王女に会ってきます』


空気が変わる。


『もし……“逃げたい”って言われたら、

その時は協力してもらえませんか?』


迷いのない声だった。

美琴がすぐに答える。


『当然、手伝うよ』


ひよりも続く。


『……私も、やります』

『ありがとうございます』


悠真の声に、わずかな安堵が混じる。


「くれぐれも無茶はするなよ」

『了解です』

『わかった』

『わかりました』


三人の声が、重なった。


魔道具越しでも、その決意ははっきりと伝わってくる。


(……神谷の暴走)

(アリアの狂気)

(そして、カイトリアの計画)


勇者パーティは、すでに綱渡りの上に立っている。


だが――

まだ、終わっていない。

俺は静かに息を吸った。


(イリア様の意思を確認する)

(美琴たちを守る)

(そして……カイトリアの計画を止める)


影が、足元で静かに揺れる。

新たな一手が、確かに動き出していた。


「――ここからは、救出作戦だ」


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