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おまけの俺、旅の第一歩を踏み出す

ライルは地図を広げ、

俺たちを囲むようにして説明を始めた。


「さて、ここからファルドラへの道だが……

普通の街道は軍が抑えている。リュミナを連れての移動は、さすがに危険だ」

「だろうな」


俺は短く頷く。

ライルは地図の一点を指差した。


「ここに“廃坑”がある。昔、山の両側から掘り進めた結果、

地下で繋がってしまってな。領地争いの火種になった鉱山だ」


ロウガが続ける。


「今は掘り尽くされて放棄されているが……中には魔物が棲みついている」


「だが、その坑道を抜ければドラグニア領の端に出られる。

街道を避けるなら、ここしかない」


ライルが腕を組む。


「ロウガと、護衛を三人つける。これで通れるはずだ」


俺は深く息を吸い、静かに言った。


「助かる。ロウガ、よろしく頼む」


ロウガは牙を見せて笑う。


「あぁ、任せておけ。一緒に行くのはコマチ、ハチヤ、シロガネだ。出てこい」


扉の奥から、三人の犬耳の獣人が現れた。


どれも精悍な顔つきだ。


「修一だ。よろしく頼む」


三人は揃って礼をする。


「明日の朝、出発でいいな?」

「了解だ」


――その時だった。


「シュウイチ、今日は一緒に寝れるね」

「……え?」


リュミナが当然のように腕に抱きついてくる。


尻尾はぶんぶん。

目はキラキラ。


ロウガは吹き出し、

エルドは苦笑し、

ライルは肩をすくめる。


「……お前ら、明日出発だぞ?」


俺は少し照れながら、リュミナの頭を軽く叩いた。


「……まぁ、今日は特別だな」

「やった!」


その笑顔は、これからの危険な旅を忘れさせるほど眩しかった。


その夜。

リュミナと同じ布団で眠った。

小さな体が、俺にぴったりとくっつく。

すぐに安心したように寝息を立て始めた。


(……こんなに落ち着くのは、久しぶりだな)


リュミナの体温が、不思議と心を静めてくれる。

張り詰めていた神経が、ゆっくりとほどけていく。


(リュミナ効果……すごいな)


気づけば、俺も深い眠りに落ちていた。


翌朝。


準備を整えた一行は、すぐに出発した。

目的は――廃坑の突破。

軍に見つかる前に、ドラグニア領へ入る必要がある。

先頭を進むシロガネが、ふいに手を上げた。


「……止まれ」


全員が即座に身を低くする。


「前方に兵士。廃坑の入口を見張っている」


ロウガが舌打ちした。


「やっぱりか……向こうと繋がってるなら警戒するよな」


俺は小声で聞く。


「どうする?」

「夜まで待って潜入だ」


俺は首を振った。


「いや……ここだけなら抜けられる」


ロウガが目を細める。


「六人、全員か?」


「試してみるか。全員、俺に触れてくれ。リュミナは背中に乗れ」

「うん♪」


リュミナが嬉しそうにしがみつく。


ロウガたちも、無言で手を伸ばした。


俺は深く息を吸い、影に意識を沈める。


(いける……)


「――行くぞ。影転移」


――すっ。


全員の身体が影に溶けた。

次の瞬間、廃坑入口の影へと移動している。

ロウガが低く唸る。


「……全員、通せるのか」

「まだ行くぞ。今のうちに奥まで抜ける」


影が再び揺れる。

そのまま、さらに深く――

廃坑の奥へと、一気に転移した。


「――ここから先は、俺たちの道だ」


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