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おまけの俺、最強の賢者と連携を組む

影が揺れ、

俺の身体を包み込む。


城内の探索を終え、

そろそろ悠真を迎えに行こうと、

俺は禁書庫へと戻った。


影からそっと抜け出すと――


「……でね、君はこっちを見張ってて」


悠真が、

掌に乗せた“ねずみ”に向かって話しかけていた。


(……は?)


「悠真、もう本はいいのか?」


俺が声をかけると、

悠真は振り返り、ぱっと表情を明るくする。


「あっ、修一さん。おかえりなさい。

これ、本を読んだ成果ですよ」


掌の上のねずみは、

まるで本物のように鼻をひくひくさせている。


「そのネズミ……おとなしいな?」

「これは魔術で作ったねずみです。

僕の“目”として使えますし、

手紙を咥えて運ばせることもできます」


(……おいおい、完全にスパイ道具じゃないか)


悠真は楽しそうに続けた。


「ほかにも、ゆっくり落ちる魔術や、

水中で呼吸する魔術、

モノと自分の位置を入れ替える魔術もありました」

「ゆっくり落ちる?

空を飛ぶんじゃなくて?」

「飛行魔術もあるみたいなんですが、

まだ習得できていません。

難易度が高いので……まずは基礎からですね」


(いや、それでも十分すごいだろ……)


悠真はさらに一冊の本を掲げた。


「あと、光魔術の本も見つけました。

これは白浜さんと桜井さんへのお土産ですね。

回復や光の盾の魔術が載っていました」


(美琴とひよりが喜びそうだな)


俺も情報を返す。


「こっちは黒衣の神官を王女の執務室で見た。

カイトリアらしき“黒い球”に報告してた」


悠真の表情が引き締まる。


「……接触したんですか?」

「いや、話を聞く前に気配を読まれた。

危うくバレるところだった」

「そうですか……」


少し考え込んだあと、悠真は頷いた。


「でも、このねずみ魔術があれば、

こちらも安全に情報収集ができそうです」

「それは期待できるな」


ねずみがキュッと鳴き、

悠真の肩へと飛び乗る。


(……完全に相棒だな)


「さて、戻るか」

「はい」


俺は悠真の手を取り、

影魔術を発動する。


――すっ。


二人の身体が影に沈み、

城の廊下へと滑り出た。


(悠真もだいぶ慣れてきたな)


影から抜け出し、

悠真の部屋の前に降り立つ。


「今日はここまでだ。よく頑張ったな」


悠真は少し照れながら頷いた。


「ありがとうございます。

……修一さんも、気をつけてください」

「おう。お前も無茶するなよ」


悠真を部屋へ送り届け、

俺は再び影へと沈む。


(ねずみ魔術……これは本当に使える)


禁書庫での成果は大きい。

そして――黒衣の神官の存在も、より明確になった。


(次は……カレンナさんの手がかりだ)


影が揺れ、

俺の身体を包み込む。


夜の城を、

再び影が走る。


――その後。


俺はさらに二時間ほど、城内を探索した。


だが――


(……決定的なものは見つからないな)


黒衣の神官の部屋も見つからず、

カレンナさんの痕跡もなし。


(王女の執務室……

あそこに軍の報告書がある可能性が高い)


そう判断し、

俺は一度、探索を切り上げることにした。


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