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おまけの俺、少女の正体を知る

話を終えると、

ライルは腕を組んで低く唸った。


「……やはり、王家は乗っ取られているな」


エルドが静かに続ける。


「黒幕は……カイトリア神の神官だろう」

「神官?」


エルドは頷いた。


「この街にも教会があったが……最近、ルミナス神殿が追い出された」

「そのまま、カイトリア側が乗っ取ったらしい」

「乗っ取った……?」

「黒ずくめの服に、指先の出た手袋をした若い男だ」

「妙に不気味でな。街の連中も近づきたがらない」


(黒ずくめ……手袋……)


脳裏に、あの光景がよぎる。


(召喚の時、王女の横にいたやつ……)


確信に変わる。


(あいつか)


「城に戻ったら、そいつを探る」


ライルが頷いた。


「気をつけろよ」

「“眷属”の可能性が高い」


(……だろうな)



話が一区切りついたところで、

リュミナが俺の袖を引いた。


「ねぇ、シュウイチ」

「さっきの影のやつ……見せて?」


(影魔術か)


「いいぞ。見てろ」


足元の影に意識を落とす。


影が揺れ――

身体が沈む。


そして次の瞬間。

部屋の隅の影から、ひょいと現れる。


「わぁ……!」


リュミナの目が輝いた。


「すごい! 影の中に入ったの?」

「まあ、そんなところだな」


リュミナは勢いよく手を握ってきた。


「私も……入ってみたい!」


(……できるのか?)


少し迷う。


だが――


「やってみるか」


手を繋いだまま、影へ沈む。


――すっ。


(……入れた!?)


二人とも、影の中にいた。


静寂。

外の気配が、遠い。


「……すごい」


リュミナが小さく呟く。


「ここ、落ち着く……」


(適性あるのか……?)


影から出る。

リュミナは満面の笑みだった。


「また一緒に入ろうね!」

「お、おう……」


(これで確定だな)


影魔術は――


“他人も連れていける”。


(悠真も、いける)


図書館に連れて行けば、

解析は一気に進む。


(次は悠真だな)



アジトを後にし、

森の出口へ向かう。


その時だった。


「シュウイチ、待って!」


リュミナが袖を掴む。


「どうした?」

「……ちょっと、こっち来て」


手を引かれるまま、森の奥へ。

静かな場所。

木漏れ日が差し込む。

リュミナは足を止めた。


そして――

小さく息を吸う。


「シュウイチ……」

「私、隠してたことがあるの」


(……隠し事?)


胸の前で手を握りしめる。

少し震えている。


「私の本当の名前は――」


一瞬、間を置く。


「リュミナフィア=ドラグニア」

「ファルドラ自治連邦国……ドラグニア辺境領の領主の娘」


(……は?)


思考が止まる。


(領主の娘……?)


(ってことは……)


「……お姫様?」


思わず口に出た。

リュミナは慌てて首を振る。


「ち、違うよ!」

「やめて……“お姫様”とか呼ばないで」

「シュウイチにそう呼ばれると……」


一瞬、言葉が詰まる。


「……さみしくなるから」


その笑顔は――


いつもの無邪気なものじゃなかった。


少しだけ、弱い。

少しだけ、怖がっている。


(……俺が守る相手は、ただの少女じゃなかった)


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