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おまけの俺、神に逆らう力を手に入れる

俺は寝台の周囲を慎重に調べ始めた。


豪華な装飾。

王家の紋章。

壁にかけられた古い絵画。


その中で――


ひとつだけ、妙に“新しい”壁飾りがあった。


(……浮いてるな)


そっと押す。


カチリ。

壁がわずかに沈み――

横へとスライドした。


(隠し扉かよ……!)


奥には、暗い通路。


《虚無視界》を発動。


慎重に足を踏み入れる。



通路は狭い。

人ひとりがやっと通れる幅。

壁には、古い魔法陣のような刻印。


(……カイトリアのものじゃない)


《虚無視界》が反応しない。


(つまり――別系統の力)

(誰のだ?)


通路を抜けた瞬間――

視界が開けた。


(……なんだここ)


巨大な空間。

天井まで届く本棚。

古い紙の匂い。

中央には魔法陣が刻まれた机。


(隠し図書館……?)


明らかに――

“意図的に隠された場所”。

一冊、手に取る。


《魔術基礎理論──神の加護を使わない力》


(……魔術?)


ページをめくる。

そこに書かれていたのは――

魔法=神の加護によって発動する力

魔術=神に依存せず、世界の理で発動する力


(……は?)


思わず息を呑む。


(神に頼らない力……?)


さらに読み進める。

魔術は本来、この世界に存在した技術。


だが――

カイトリア神の出現後、急速に衰退。


(……排除されたのか?)


別の本を取る。


《世界創生史──ルミナス神の光より始まる》


(ルミナス……リュミナの神か)


そこには書かれていた。

この世界はルミナス神によって創られた。


そして――

後から現れたカイトリア神が、

“加護”と引き換えに支配を広げた。

魔術と旧信仰は排除された。


(……完全に黒じゃねえか)


ここは――

“カイトリアに都合の悪い真実”の保管庫。


(王様が隠したのか)


机に目を向ける。

そこには、走り書きのメモ。


《カイトリアの加護は強すぎる》

《このままでは国が飲み込まれる》

《魔術を復活させねばならない》

《しかし……誰を信じればいい?》


(……気づいてたんだな)


王は理解していた。

カイトリア神の危険性を。

だからこそ――

この知識を隠し、残した。


(……使える)


思考が加速する。


(美琴たちの力は“加護”依存)


つまり――

カイトリアに逆らえば、奪われる可能性がある。


(でも魔術なら違う)


神に依存しない。

自由な力。


(これがあれば……)

(対抗できる)


美琴。

ひより。

悠真。


(全員、助けられる)


本を数冊選ぶ。


《遮断の外套》を強化。


静かにその場を離れる。



塔を降りる。


(王家は封じられている)

(アリアは操られている)

(王族の子供たちは行方不明)


そして――


(カイトリア神が、国を乗っ取ろうとしている)


怒りが、静かに燃える。


(守る)

(美琴たちも)

(リュミナも)


そして――


(この世界の真実も、暴く)


夜の城へ戻る。


静かに。


確実に。


状況は、変わり始めていた。


「――神だろうが、ぶっ壊す」


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