おまけの俺、神に逆らう力を手に入れる
俺は寝台の周囲を慎重に調べ始めた。
豪華な装飾。
王家の紋章。
壁にかけられた古い絵画。
その中で――
ひとつだけ、妙に“新しい”壁飾りがあった。
(……浮いてるな)
そっと押す。
カチリ。
壁がわずかに沈み――
横へとスライドした。
(隠し扉かよ……!)
奥には、暗い通路。
《虚無視界》を発動。
慎重に足を踏み入れる。
◆
通路は狭い。
人ひとりがやっと通れる幅。
壁には、古い魔法陣のような刻印。
(……カイトリアのものじゃない)
《虚無視界》が反応しない。
(つまり――別系統の力)
(誰のだ?)
通路を抜けた瞬間――
視界が開けた。
(……なんだここ)
巨大な空間。
天井まで届く本棚。
古い紙の匂い。
中央には魔法陣が刻まれた机。
(隠し図書館……?)
明らかに――
“意図的に隠された場所”。
一冊、手に取る。
《魔術基礎理論──神の加護を使わない力》
(……魔術?)
ページをめくる。
そこに書かれていたのは――
魔法=神の加護によって発動する力
魔術=神に依存せず、世界の理で発動する力
(……は?)
思わず息を呑む。
(神に頼らない力……?)
さらに読み進める。
魔術は本来、この世界に存在した技術。
だが――
カイトリア神の出現後、急速に衰退。
(……排除されたのか?)
別の本を取る。
《世界創生史──ルミナス神の光より始まる》
(ルミナス……リュミナの神か)
そこには書かれていた。
この世界はルミナス神によって創られた。
そして――
後から現れたカイトリア神が、
“加護”と引き換えに支配を広げた。
魔術と旧信仰は排除された。
(……完全に黒じゃねえか)
ここは――
“カイトリアに都合の悪い真実”の保管庫。
(王様が隠したのか)
机に目を向ける。
そこには、走り書きのメモ。
《カイトリアの加護は強すぎる》
《このままでは国が飲み込まれる》
《魔術を復活させねばならない》
《しかし……誰を信じればいい?》
(……気づいてたんだな)
王は理解していた。
カイトリア神の危険性を。
だからこそ――
この知識を隠し、残した。
(……使える)
思考が加速する。
(美琴たちの力は“加護”依存)
つまり――
カイトリアに逆らえば、奪われる可能性がある。
(でも魔術なら違う)
神に依存しない。
自由な力。
(これがあれば……)
(対抗できる)
美琴。
ひより。
悠真。
(全員、助けられる)
本を数冊選ぶ。
《遮断の外套》を強化。
静かにその場を離れる。
◆
塔を降りる。
(王家は封じられている)
(アリアは操られている)
(王族の子供たちは行方不明)
そして――
(カイトリア神が、国を乗っ取ろうとしている)
怒りが、静かに燃える。
(守る)
(美琴たちも)
(リュミナも)
そして――
(この世界の真実も、暴く)
夜の城へ戻る。
静かに。
確実に。
状況は、変わり始めていた。
「――神だろうが、ぶっ壊す」




