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おまけの俺、この国の闇を知る

俺は続ける。


「敵国って言われてるファルドラだが……」

「実際に攻めてるのは、このエルディア王国の方だ」


一度、言葉を区切る。


「王女の言ってることは矛盾だらけだ」

「この国……完全におかしい」

『叔父さん……』

「やばいと思ったら、すぐに連れて逃げる」

「そのつもりでいてくれ」


少しの沈黙。


『逃げるって……獣人の国だっけ?』

「ああ、ファルドラだ」

「一応、つても作った」

「できればお前らが戦争に参加する前に連れて行きたいが……準備がいる」

「行ける目処が立ったら、すぐ連絡する」

『……わかった』

「無理はするなよ」

『りょーかい』

「今日はもう休め」

『叔父さん、おやすみなさい』

『修一さん、おやすみなさい』

「おう。おやすみ」


魔道具の光が消える。

静寂が戻る。


(……時間がないな)


俺は立ち上がり、窓の外の城を見下ろした。


(王族の裏……全部暴いてやる)



翌朝。


早めに食事を済ませ、部屋を出る。


《遮断の外套》を発動。


(さて……情報屋としての本番だ)


廊下は静まり返っている。

衛兵の足音だけが響く。


だが――


誰も俺に気づかない。


(チートすぎるだろ、このスキル)

(ダルガス、マジで助かってる)


苦笑しながら、王女の部屋へ向かう。

衛兵が二人。

だが関係ない。

そのまま横を抜け、扉に耳を寄せる。


「勇者様たちの訓練は順調ですか?」


王女の声。


「はっ。勇者ソウタ様は素晴らしい力を」

「そう……」


一拍。


「では、あの“巻き込まれた男”は?」


(……俺だな)


「いつでも処分可能です」

「勇者様が旅立つ時に、排除しなさい」


(……確定か)


胸の奥が、冷える。


(この国、終わってるな)


勇者は利用される。

邪魔者は処分。

亜人は奴隷。

戦争は侵略。

王女の声が続く。


「勇者様たちには“邪神討伐”という名目で」

「獣人国を攻めてもらいます」

「勇者の力があれば、抵抗など容易いでしょう」

(……美琴たちを、戦争の道具にする気か)


怒りが、静かに燃える。


(絶対に逃がす)

(全員だ)


俺はその場を離れた。



次に向かったのは訓練場。


《虚無視界》を発動。


壁の向こうが、ぼんやりと透ける。


(マジで見えるのかよ……)


中では――


颯太が剣を振っていた。


「ははっ! 俺、最強じゃね?」


(……ダメだこいつ)


美琴は黙々と剣を振る。

ひよりは回復魔法。

悠真は魔法陣を展開。


(ちゃんとやってるな……)


だが――


教官の声が響く。


「もっと強く!」

「邪神の信徒、獣人どもを叩き潰すために!」


(……完全に洗脳だな)


胸が痛む。


(こんな連中に任せてたまるか)



城の裏手へ回る。


そこには――


捕らえられた獣人たち。

馬車に押し込められている。


「このガキ、売れるか?」

「珍しい種族だ、高く売れるぞ」


(……最悪だな)


リュミナの顔が浮かぶ。


(あいつも、こうなるところだったのか)


拳を握る。


(絶対に許さない)



城を出る。

街のざわめき。


「また獣人の村が焼かれたらしい」

「勇者が来てから戦争が激しくなってる」

「邪神討伐って言ってるけど……本当は侵略じゃないの?」


(……気づいてるやつもいるのか)


王国は――

“正義”の仮面をかぶった侵略者だ。


勇者たちは、その武器。


(ふざけるなよ)


俺は拳を握りしめる。


(絶対に守る)

(全員、連れて逃げる)

(準備を急がないと――)


「……もう、迷う理由はない」


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