おまけの俺、異形の勇者を切り崩す
ダルガスによって、黒衣の神官から神力が回収された。
胸の奥が、熱い。
(……来てるな)
力が、満ちる。
身体の奥から、確かな手応え。
俺はそのまま前へ出ながら、声を張った。
「美琴! 勇者を抑えろ!」
「了解!」
「悠真は牽制! 隙を作れ!」
「任せてください!」
「ひよりちゃんはフォローに回れ!」
「はい!」
三人の声が重なり、戦場が一気に引き締まる。
(よし……形はできた)
俺はリュミナの元へ駆け寄り、その頭に手を置く。
「リュミナ」
「うん」
真っ直ぐな瞳がこちらを見る。
「神力を分ける。
あの勇者の周囲を“神域”にできるか?」
リュミナは拳を握りしめ──
力強く頷いた。
「……できる。やる」
「頼む」
軽く頭を撫でる。
「……また子ども扱い」
頬を膨らませるが、
その目は、しっかり前を見ている。
「今のうちだけだ。許せ」
「……もう」
小さく息を吐き、
リュミナは両手を胸の前で組んだ。
深く、息を吸い込む。
「──《せいいき》」
光が、広がる。
静かに。
だが確実に。
地面を這うように、神域が拡張されていく。
美琴たちも──
異形の勇者も。
すべてを包み込む。
(……よし)
神の領域。
これで、相手の“神性”は鈍る。
「行くぞ」
《遮断の外套》を発動。
存在を消す。
次の瞬間には──
勇者の右側面。
(まずは削る)
「──《神威の滅剣》」
一閃。
狙いは、右側三本の腕の“根元”。
刃が走る。
ズンッ──
重い手応え。
(通った)
次の瞬間。
異形の右腕三本が、地面へと落ちた。
(……やっぱりか)
違和感が、確信に変わる。
(こいつは“神力で構成された存在”だ)
なら──
(落としたパーツも再接続される可能性がある)
放置は危険。
即座に判断する。
俺は落ちた腕を掴み、
そのまま影へ潜る。
ひよりの背後へ。
「ひよりちゃん!」
「は、はいっ」
「これ、戻らないように拘束できるか?」
ひよりは一瞬だけ迷い、
すぐに答えようとした。
「えっと……防御魔法で──」
その時。
落ち着いた声が割って入る。
「それはこちらでお預かりいたしますわ」
振り返る。
オフィーリアさんだ。
手をかざし、穏やかに詠唱する。
「《プロテクションロック》」
光の膜が展開され、
腕が完全に封じ込められる。
「これで再接続は防げるかと」
「助かります」
素直に頭を下げる。
「もう三本、落としてきます。
引き続き、お願いします」
オフィーリアさんは優しく微笑んだ。
「ええ、お任せください」
その一言だけで、背中が軽くなる。
(……頼れるな)
俺は再び影へ沈む。
次の瞬間には──
異形の左側面へ。
(残り三本)
視線を固定する。
「全部落とす」
呼吸を整える。
(神力の塊なら──)
「分解できる」
足を踏み込む。
「──次だ」




