↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
103/122

賢者は勇者を圧倒する

Side:悠真


そろそろ作戦開始の時間だ──そう思いながら街道を走っていた、その時だった。

森の奥から、鋭い剣戟音が響いた。


(……っ!?)


胸の奥が、一気に冷える。


(バレた……?

それとも、もう接敵してるのか……!)


嫌な予感が背筋を走る。


(みんなは……無事か!?)


考えるより先に、身体が動いた。


「──《ウィンドムーブ》!」


風をまとい、一気に加速する。

地面を蹴り、森へと飛び込んだ。

視界に飛び込んできたのは──


「……美琴さんと……神谷!」


(やっぱり……!

しかも単騎で来たのか)


すぐに美琴の隣へ駆け寄る。


「美琴さん、大丈夫ですか!」


美琴は盾を構えたまま、ちらりとこちらを見た。


「うん、大丈夫。

神谷くんが来たけど……」


わずかに笑う。


「そんなに変わってないから、なんとかなるよ」


その言葉に、少しだけ肩の力が抜ける。


「……よかった」


だが、すぐに気を引き締めた。


「ここは僕がやります」


はっきりと言い切る。


美琴さんは一瞬だけ目を細め──

小さく頷いた。


「そうだね」


声を潜める。


「(神谷くんの聖剣は、私の“全力”で止められる。

だから悠真くんなら……余裕を持って受けられるはず)」


その言葉に、静かに頷く。


「……任せてください」


美琴さんは一歩下がり、ひよりさんのもとへ移動した。


「じゃ、がんばって」


その瞬間──

颯太が鼻で笑った。


「はっ。逃げたか」


歪んだ笑み。


「まぁいい。

その“おたくくん”を先に潰してやる」


剣を肩に担ぎ、こちらを見る。


「そのあとで、お前らは俺のものだ。

逃げずに見てろよ」


美琴さんが即座に言い返す。


「悠真くんがあんたなんかに負けるわけないでしょ」


腕を組み、余裕の笑み。


「私たちは観戦してるから。ね、ひよりちゃん」


ひよりさんも小さく頷いた。


「悠真くん、がんばって」


その声に、自然と力が入る。


(……応えないと)


颯太が剣を構える。


「言っとくけどな──一瞬で終わるぞ!」


踏み込んできた。


(来る)


一瞬で思考を切り替える。


左手に魔力を集中。


(《ウォーターシールド》──範囲最小、強度重視)


同時に、右手と周囲に魔力を展開。


(《ファイアランス》……三本、待機)


冷静に、準備を整える。


颯太の剣が振り下ろされる。


(……単調)


フェイントもない。


力任せの一撃。


(見える)


左手を前へ。


ガッ!!


重い衝撃。


だが──


(止まる)


盾は、びくともしない。


その瞬間、反撃へ移る。


右手の槍を突き出す。


「っ!」


炎の槍が、颯太の胴を貫いた。


「ぐぁっ!?」


颯太が吹き飛ぶ。


距離が開く。


(今だ)


空中に待機させていた三本を解放。


ドン、ドン、ドン──!


爆炎が弾ける。


煙の中で、颯太の身体がさらに弾き飛ばされる。


(……え)


一瞬、思考が止まる。


(こんなに……差がある?)


違和感。


だが──


「悠真くん!」


美琴さんの声が飛ぶ。


「追撃! 一気に決めて!」


迷いが消える。


「はい!」


《ウィンドムーブ》で加速。


一気に距離を詰める。


右手に風を収束。


(《ウィンドブレード》)


刃を形成し──


振り抜く。


ザシュッ!


斬撃が走る。


次の瞬間──


颯太の両手ごと、

聖剣が宙に舞った。


「……は?」


颯太の目が、理解できないというように見開かれる。


(これで──終わりだ)


僕は、静かに次の一手を構えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。