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魔界のイレギュラー~正体バレたら人生終わります!?  作者: 夢巡つむぎ
【第一章】正体バレたら即終了!? なのに初日からやらかしました
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009. 氷雪の新入生

しん――と静まり返った中庭。


嫌な予感がして、ボクは慌てて周囲を見回す。


すると。


大量の雪をかぶっているウルティアちゃんを発見した。


「ウルティアちゃん!?」


ボクは急いで駆け寄る。


「だ、大丈夫!?」


もしかしてやっちゃった!?


ヤバい!


入学初日に殺人とかシャレにならない!


「……いたしましたわ」


「え?」


小さすぎて聞き取れない。


ボクは少しかがみ込む。


「何?」


次の瞬間。


ガバッ!


「感服いたしましたわ!!」


「うわぁっ!?」


急に両手を握られた。


近い近い近い!!


ウルティアちゃんの顔がすぐ目の前にある。


「わ、分かったから!

 とりあえず落ち着いて!?」


「私(わたくし)は、貴方様との決闘に勝利することばかり考えておりましたわ」


ウルティアちゃんは真剣な表情で言う。


「その結果、周囲への被害にまで気が回らなかった……」


あ。


そっち?


「ですが、貴方様は違いましたわ!」


キラキラした目で見つめられる。


なんだろう。


急に距離感変わった?


様付けだし!


「貴方様は燃え広がった炎を、見事な魔術で消してしまわれましたわ!」


「え、あ~……」


いや。


あれ半分くらい事故なんだけど。


「素晴らしい洞察力に判断力、魔術制御も見事でしたわ!」


そんな立派なものじゃないです。


「遅くなって申し訳ありません。

 貴方様のお名前を伺っても?」


「え?

 ハクレだけど……」


「ハクレ様!」


今度は何!?


「今回の決闘、私(わたくし)は敗北を認めますわ」


雪まみれなのに、妙に堂々としていた。


「ですが――

 次の決闘では、必ず私(わたくし)が勝ちます」


その瞳は真っすぐだった。


悔しさより、

むしろ楽しそうに見える。


「それまで、誰にも負けないでくださいまし」


そう言って、ウルティアちゃんは優雅に歩き去っていった。


……なんか。


すごい悪魔だったなぁ。


まぁ、仲良くなれた、のかな?


その直後。


「うおおおおおおおお!」


中庭が一気に騒がしくなる。


「今の魔術なんだ!?」

「ネクスフィーに勝ったぞ!?」

「やっば!!」

「オレ賭け負けたんだけど!?」


賭けしてたの誰!?


でも。


……知らなかった。


ボクの魔術。


誰かを楽しませることだってできるんだ。


怖がられない。


気味悪がられない。


だったら――。


もう。


「――おい」


「ひゃいっ!?」


真後ろから声がした。


振り返る。


そこには、一人の教師が立っていた。


鋭い目つき。


「入学式直前に、何を騒いでいる」


ひっ。


絶対怒ってる。


周囲も一瞬で静かになった。


「まぁいい」


先生はじっとボクを見る。


うぅ。


目が怖い。


「貴様」


「は、はい!」


「後で覚えておけよ」


怖い怖い怖い怖い!


完全に怒られるやつじゃん!


「もうすぐ入学式が始まる」


先生は周囲を見渡した。


「新入生はさっさと移動しろ」


声は大きくない。


なのに。


生徒たちは一斉に動き出した。


すごい圧。


ボクも慌てて移動しようとして――。


ちらり。


先生の方を見る。


まだこっち見てる!?


目が合ったとたん、先生の口元がにやりと笑った。


怖すぎる!!


結局ボクは、その先生の姿が見えなくなるまで、その場から動けなかった。

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