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魔界のイレギュラー~正体バレたら人生終わります!?  作者: 蒼凪しな
【第一章】正体バレたら即終了!? なのに初日からやらかしました
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氷結《フリーズ》

「おい、聞いたか?」

「理事長の孫とネクスフィーが決闘するらしいぜ」

「マジで? ってか、理事長の孫って事前テストにいなかったよな」

「なんか飛び入りらしいぞ」

「初日から決闘とかヤバすぎるだろ……」



……めちゃくちゃ目立ってる。


中庭を囲むように生徒たちが集まり、視線が全部こっちに向いていた。


うぅ……帰りたい。


いや、帰る場所ないんだけど。


一方その頃、ウルティアちゃんはというと――。


「ごきげんよう」


なんか優雅に周囲へ手を振っていた。


すごい。


完全に慣れてる。


というか、人気者っぽい。


それに比べてボクは、決闘の流れに流されるままここまで来ちゃっただけなんだけど!?


……どうしよう。


そんなことを考えていると、ウルティアちゃんがゆっくりこちらへ向き直った。


「あらあら、ずいぶん緊張していらっしゃるようね」


余裕たっぷりの笑み。


「怖くなったのなら、今ここで負けを宣言してもよろしくてよ?」


「いや~……」


ボクは首を傾げる。


「負ける気はしないんだけど」


「……は?」


「どれくらい加減した方がいいのかなって」


ざわっ――。


周囲が一気に騒がしくなる。


「おい、今なんて……」

「ネクスフィー相手に手加減?」

「マジかあいつ……」


え?


なんでそんな反応なの?


確かに、ウルティアちゃんは強いと思うけど……


「貴方……!」


ウルティアちゃんの額に青筋が浮かぶ。


「まさか、この私に向かって手加減をするおつもりで?」


「え? うん、そうだけど?」


「その必要はございませんわ!」


次の瞬間。ウルティアちゃんの周囲に、いくつもの火球が浮かび上がった。


熱風が吹き抜ける。


「事前テスト魔術成績一位――」


火球がさらに増えて、大きくなる。


「それがこの(わたくし)、ウルティア・ネクスフィーですわ!」


おぉ……すごい。


綺麗。


(わたくし)を甘く見たこと、後悔させて差し上げます!」


その瞬間、火球が一斉に飛んできた。


「わっ!?」


速い!


ボクはとっさに後ろへ跳ぶ。


ドォン!!


地面が爆ぜて、炎が広がる。


「ちょっ、危なっ!?」


でも、休む暇もない。


次の火球。

さらに次。


しかも、全部正確にボクを狙ってくる。


「すご……」


思わず声が漏れる。


「避けるので精一杯ですの?」


ウルティアちゃんは余裕の笑みを浮かべていた。


「貴方は魔術が使えない。ならば、近づかせなければ(わたくし)の勝ちですわ!」


その言葉と同時に、さらに火球が増える。


すごい魔力制御。


どうやってやるんだろ。


……あれ?


魔術?


あ。


そっか。


ここ、魔界だった。


ボクはぴたりと動きを止めた。


「――もらいましたわ!」


ウルティアちゃんの火球が迫る。


でも。


ボクは、少しだけ笑っていた。


――ここなら。


気にしなくていいんだよね?


氷結(フリーズ)


瞬間。


飛んできた火球のすべてが、空中で凍りついた。


「……え?」


ウルティアちゃんの目が見開かれる。


火球は、氷塊の中へ閉じ込められていた。


「どうして……」


「う~ん、やっぱりそっか」


ボクは凍った火球を見つめる。


「消えそうになかったから、氷に閉じ込めるしかできなかったな~」


「なっ……」


「ほら」


ボクは指を鳴らす。


すると、氷の透明度が上がり、中の炎が見えるようになった。


透き通った氷の中で、赤い炎が揺れている。


……わぁ。


なんか綺麗。


ランプとかにしたらオシャレかも。


「氷と炎では、炎の方が圧倒的に有利ですわ!」


ウルティアちゃんが叫ぶ。


その頭上に、さらに巨大な火球が現れた。


「多少魔法が使えたとしても、(わたくし)の勝利は揺るぎませんわ!」


次の瞬間。ボクらの二倍以上ある巨大火球が飛んでくる。


「うわっ!?」


ドゴォォォン!!


爆炎が中庭を包む。


「飛んだ!?」

「いや、羽が……!」

「出てないぞ!?」


あ。


ボクは、とっさに地面に冷気を叩きつけ、その反動で跳んでいた。


つまり、ただの大ジャンプ。


……って。


「ヤバくない?」


燃えてる。


中庭のあちこちで炎が燃え盛っている。


「これだいじょばないよね!?」


このままじゃ学園が火事になる!


ボクは中庭に向かって手をかざす。


吹雪(ブリザード)!」


次の瞬間。


轟音と共に、激しい吹雪が中庭へ降り注いだ。


――静寂。


気づけば。


辺り一面、雪景色になっていた。


中庭も。


木々も。


……ついでに生徒たちも。


全部、真っ白。


ボクはふかふかの雪の上に着地した。


……あれ?


これ、もしかして。


やりすぎた?

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