見えない魔力
「あの~……ディウムさん?」
「ん~?」
「すっごく目立ってません?」
周囲からの視線が痛い。
めちゃくちゃ痛い。
「ハクレちゃん」
ディウムさんがにっこり笑う。
「僕のことは”おじいちゃん”でしょ?」
いや、気にするのそこ!?
「うっ……はい」
恥ずかしい!
「あ!いたいた、理事長!」
突然、バタバタと先生らしき悪魔が駆け寄ってきた。
「まったく、探しましたよ!」
「え~、もうちょっとだけ~」
「ダメです」
ぴしゃり。
先生、強い。
「ハクレちゃ~ん!
またあとでね~!」
そのままディウムさん――いや、おじいちゃんは連行されていった。
そして一人取り残されたボクへ、周囲の視線が集中する。
ひそひそ。
ざわざわ。
……うん。
そうだよね。
ボクもおじいちゃんが理事長だったなんてさっき知ったよ!?
どうりで入学手続きやらなんやら異常に早いわけだよ!
「そこの貴方」
突然、声を掛けられた。
振り向くと、
そこには金髪のツインドリルのお嬢様が立っていた。
制服のアレンジすごっ!
大体の生徒の制服は黒基調のブレザーみたいな感じでボクのも一緒。
なのに、
高級感が全然違う。
なんなら色も違うし、
フリルもリボンも多いし、
制服っていうよりドレスみたい
おじいちゃんもこういう感じの制服好きそうだけど
ボクの制服がシンプルなのは、アンさんのおかげなんだろうなぁ……。
「理事長とはどういうご関係ですの?」
うわぁ。
なんか友好的じゃない。
「あら?
まさか、どこかから拾われた庶民の方でしたの?」
グサッ。
何気に強い。
「……それに」
お嬢様が目を細める。
「”魔力”が見えませんわ」
「え?」
「ご存じありませんの?」
お嬢様は呆れたようにため息をつく。
「通常、悪魔は魔力量に応じた魔力を纏っていますの」
そういわれて周りを見る。
……言われてみれば。
みんな、それぞれ見えている魔力の量が違う。
あれ?
このお嬢様この辺りにいる悪魔の中で一番大きいんだけど?
「ですが、貴方にはそれが一切ない」
お嬢様の視線が鋭くなる。
「貴方ほど若くして、それほど完璧な魔力制御ができる悪魔など存在しませんわ」
……あれ?
これ、もしかしなくてもヤバい?
「貴方、いったい何者なんですの?」
さっそく正体バレそうなんだけど!?
いや、
”人間です”
とは言えないよね!?
「まぁ、いいですわ」
お嬢様はふっと笑った。
「貴方の正体くらい、このウルティア・ネクスフィーが突き止めて差し上げますわ」
ツインドリルのお嬢様、ウルティアちゃんは優雅にスカートをつまむ。
「私との決闘、もちろんお受けになりますわよね?」
「決闘!?」
うわぁ。
断れない空気がすごい。
周りの視線も集まってるし。
ここで逃げたら、
さらに怪しまれるよね。
「……分かった」
ボク小さく息を吸った。
「相手になるよ」
売られた喧嘩、
じゃなくて決闘だけど、は
買ってあげないとね!




