人間、悪魔学園へ
朝日と同時に目が覚める。
……うん、今日もいい朝だ。
さて、今日のご飯は何にしようかな~。
昨日の晩ご飯、美味しかったなぁ。
毎日あんなの食べられたら幸せなのに――
……って、いけないいけない。
時間は有限。
ダラダラしてたらもったいない。
そう思って目を開けて――固まった。
「……あ」
豪華な天井。
ふかふかのベッド。
広すぎる部屋。
……そうだった。
ボク、魔界に迷い込んだんだった。
それからディウムさんに拾われて、
ご飯食べて、
泊めてもらって――
「……これから、どうしよう」
ここにいたら、
ボクは”ご馳走”らしい。
昨日は勢いで「ここで生きたい」なんて言ったけど……。
「……うん!
ご飯食べてから考えよう!」
悩んでもどうにもならないしね!
――コンコン
「おはようございます、ハクレ様」
「あ、おはようございます!
昨日はありがとうございました!
何から何まで……」
アンさんが微笑む。
「当然ですよ。
ハクレ様はディウム様の”お孫様”になるんですからね」
……やっぱりまだその設定続いてるんだ。
でも、昨日よりちょっと雰囲気が柔らかい気がする。
昨日はもっと、
こう……目が怖かった。
「おっはよ~、ハクレちゃん!」
後ろから元気な声が飛んできた。
「よく眠れた?
怖い夢とか見なかった?」
「は、はい!
こんな立派なお部屋まで用意していただいて、ありがとうございました」
「も~、そんな堅苦しくしないの~」
ディウムさんは楽しそうに笑う。
「なんたって、ハクレちゃんは僕の”孫”なんだから!」
「あ、あはは……」
……いや。
この空気で
「やっぱ帰ります」
とは言えないよ!?
「……」
ディウムさんがじぃっとボクを見つめている。
え?
ボクなんかした?
「ハクレちゃんの髪、真っ白な雪みたいできれいだね~
昨日よりも輝いてるよ~」
「っ!!」
やばっ!
昨日、お風呂に入れてもらったから、髪色が露骨になっちゃってた!?
「それに、瞳も満月みたいにきれいな黄金ですよね」
「うんうん!
それじゃあ朝ごはんにしよっか!」
ディウムさんがパンっと手を叩く。
あれ?
それだけ?
「今日もいっぱい美味しいもの食べてね~。
食べたいものがあったら何でも言って!」
優しい。
ボクの人間離れした容姿を見ても何も言ってこない。
ここでなら大丈夫、なのかな――
「今日は初登校なんだから!」
「……はい?」
今、なんて?
「あの~、初登校って?」
「ん?
言ってなかったっけ?」
ディウムさんは首を傾げる。
そういえば昨日、アンさんとそんな話をしていたような……
「ハクレちゃんには、悪魔学園に通ってもらおうと思って~」
「…………え?」
悪魔学園。
今、悪魔学園って言った?
「ええええええっ!?」
思わず叫んでしまった。
「学園⁉
悪魔の!?
しかも今日からですか!?」
「うん、そうだよ~」
軽っ!?
「昨日のうちに手続きしちゃった。
いや~、楽しみだなぁ~」
入学手続きって、
そんな勢いでやるものなの!?
というかこれ、
完全に後戻りできないやつでは!?
「ちなみに――」
アンさんが真顔になる。
「くれぐれも不用意な行動は控えてくださいね。
学園側には、何も公表してないので」
「あ、はい……」
つまり。
”人間”だとバレた瞬間、
学校生活終了。
いや、人生終了!?




