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魔界のイレギュラー~正体バレたら人生終わります!?  作者: 蒼凪しな
【第一章】正体バレたら即終了!? なのに初日からやらかしました
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3/8

孫が欲しかっただけらしい

「おいし~!」


テーブルいっぱいに並んだ料理を、ボクは夢中で頬張っていた。


見たこともない料理ばっかりなのに、全部めちゃくちゃ美味しい。


というか、このスープ、なんでちょっと光ってるの!?


ボクはあの後、そのまま悪魔さんの家へ連れて来られた。


まぁ、原因は途中で鳴ったボクのお腹なんだけど。


そして連れて来られた先は――想像以上だった。


お城!?

ってくらい大きな屋敷。


しかも今、豪華すぎる晩ご飯をご馳走になっている。


……やっぱり食欲には勝てないね!


「いや~、君は本当に美味しそうに食べるねぇ~。

 おかわりいる?

 普通、人間は魔界の料理を食べると魔力酔いをおこすんだけどねぇ~」


「え……」


そうだった。


ここ、魔界だった。


そしてボク、人間だった。


つまり――食料側。


ご飯に夢中ですっかり忘れてた……。


「あ、あの!

 ご飯ありがとうございました!

 こんなに美味しいもの、初めて食べました!」


「いいのいいの~。

 困ったことがあったら何でも言ってねぇ~」


――ダンッ!


突然、大きな音が響いた。


びくっと肩を震わせる。


見ると、猫耳のメイドさんがテーブルに手をつき、悪魔さん――ディウムさんを睨んでいた。


「ディウム様。

 先ほどは食事を優先させましたが、そろそろ説明してください」


めちゃくちゃ怒ってる。


「なぜ仕事帰りに迷い子を連れて帰ってくるのですか。

 普通なら人間界へ帰しますよね?」


「え~、いいじゃな~い」


ディウムさんはのんびり笑う。


「この子、僕の家族になりたいって言ってたし~」


「言ってません!」


思わず叫んでしまった。


「帰りたくないとは言いましたけど!

 家族になりたいとは一言も!」


「似たようなものだよ~」


違うと思う。


「そういう問題ではありません!

 そもそも、どうやって人間を匿うおつもりですか!?

 正体がバレれば大問題ですよ!

 普通なら絶対に許されないんです!」


「そこはアンがどうにかしてくれるでしょ~」


丸投げ!?


「はぁぁぁ……」


アンさんが深いため息をつく。


……なんか、このやり取り慣れてるなこの人。 いや悪魔か。


アンさんは気を取り直したように、こちらへ向き直った。


「初めまして。

 私はアンと申します。

 貴方のお名前は?」


「あ、えっと……ハクレです」


「では、ハクレ様」


様付け!?


「ここは魔界です。

 そして貴方は人間。

 もし正体が知られれば、命の保証はありません」


真剣な声だった。


さっきまでの空気が、一気に冷える。


「……それでも、ここで生きていきますか?」


うっ。


その言葉は、思ったより重かった。


しかもアンさん、すごい”帰ったほうがいいですよ”オーラ出してる。


「ちょっとアン~。

 ハクレちゃんが怖がってるじゃない~」


するとディウムさんが、楽しそうに口を挟む。


「そ・れ・に!

 ようやく僕にも”孫”ができるんだよ!?」


「……はい?」


「これでやっと孫自慢ができる~!」


その場が静まり返る。


アンさんが、こめかみを押さえた。


「……ディウム様、まさかとは思いますが

 この子を連れ帰った理由って……」


「孫欲しかったから!」


即答だった。


……あれ?


もしかしてボク、すごい軽い理由で人生決まった?


「それじゃあ、これからよろしくねぇ~、ハクレちゃ~ん」


ディウムさんが満面の笑みでそう言った。


「ディウム様、そもそも学園に通わせるおつもりですか?」


「あ、バレた?

 だ~いじょうぶ!

 書類は僕の方でやっておくから♪」


……いや、待って。


ボク、本当に魔界で暮らすの?

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