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魔界のイレギュラー~正体バレたら人生終わります!?  作者: 夢巡つむぎ
【第二章】イレギュラーな学園生活
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020. 不穏な足音

 ボクがデモンズアカデミアに入学してしばらくがたった。打ち解けた、まではいかないものの、魔界での生活にもだいぶ慣れてきた。



「ハクレちゃん、いつもありがとうねえ。」


「いえいえ~、お気になさらず。ボクも好きでやってることなので。」



 朝はユオ君と登校し、授業の合間でいろんな人のお手伝いをする。それが、ボクのルーティーンとなっていた。おかげで、かなり知り合いが増えた。



「ハクレちゃん、こっちもお願いしていいかな?」


「はーい、もちろんです!」



 まぁ、人間のボクが呑気にこんなことやってていいのか、とは思うけど。いつまでもビクビクしてるのは、もったいないしね。それに、ここにいる悪魔は、みんな優しいし。



「いや~、ほんと、ハクレちゃんは手際がいいね。家でもなんかお手伝いしてるの?」


「あ、ええっと、今の家だと、アンさんに止められますね~。」



 アンさんって、四六時中ボクを監視してるわけじゃないよね、って思うくらい、すぐバレる。唯一許されてるのは、朝のお弁当くらい。あの悪魔、どれだけ優秀なんだろう。



「へぇ~、じゃあ、掃除とかは初めてだったりするの?」


「いえ、前は……。」



 これって言っていいことだろうか。いや、おじいちゃんの家に来たのは最近って事にすれば……。いやでも、勝手にそんなことはしない方がいいだろうし。



「時々、アンさんがやってるのを見て、見よう見まねで。」



 とりあえず、誤魔化しておこう。



「すごいね。まぁでも、あの悪魔の真似なら納得がいくなあ。」



 おじいちゃん同様、アンさんもけっこう有名らしい。もしかしてだけど、アンさんも物凄い悪魔なんじゃ。



「ありがとう、ハクレちゃん。今日はここまででいいよ。」


「え、でも。いつももうちょっと向こうまで運んでますよね?」


「いいの、いいの。本当は一人でやらなきゃいけない仕事だし、これまでも一人でやってたし。」



 あ、確かに。



「それに、あそこにいるの、クラスメイトじゃない?」



 用務員さんが指さした先には、木の陰に隠れてじっと様子を伺っている悪魔が。こちらが気づいたところですごく慌てているのが見て取れる。



「それじゃあ、お言葉に甘えて。」



 ボクは、持っていた荷物を用務員さんに渡して、その悪魔の方へ歩いていく。

 でも、誰だろう? ウルティアやノアなら普通に声をかけてくるだろうし、ゼフィアかセオドアかな。まじで、最近よくからかわれるんだよね。あと、関わりのあるクラスメイトは、ユオ君とシオン君だけど……。あの二人は、違うだろうな。ユオ君は、多分どっかでまた寝てるだろうし。

 ボクは、その悪魔が隠れていた木の裏を覗き込んだ。



「ええっ!?」



 そこにいたのは、予想の遥か斜め上。ザーク・シジェロ君だった。



 「えっと……、ザーク君、だよね?」



 ザーク君は、見つかることを諦めていたようで木陰に座り込んでいた。こんがりと焼けた肌が特徴的で、背はノアよりも少し高いくらい。かなり引き締まった筋肉に夕日みたいなオレンジの髪。かなりヤンチャな印象を受けてたんだけど、思ってたより大人しい?

 すると、ザーク君は睨むようにボクを見上げた。



「っ!?」


「お前、いつもあんなことしてんのか?」


「……はい?」



 威圧的な態度に思わずビビっちゃったけど、やっぱり見た目があれなだけでいい子なんじゃ……。



「なにじろじろ見てんだよ。こっちがきいてんの。さっさと答えろ!」


「え、あ、うん。あんなことって、お手伝いの話?」



 それ以外に心当たりが無い。



「それ以外に何があんだよ。」



 ですよね~。



「毎日やってるよ。それがどうかした?」


「俺――。」


「おっ、やっと見つけたぞ、シジェロ。」



 ザーク君の言葉を遮って、茂みの向こうから一人の男子生徒が現れた。



「って、ヴォルト君!?」


「む? ハクレか。こんなところで会うとは、奇遇だな。」



 悪魔って距離感こんな近いんか? ボク、君と話したのこれが二回目くらいだと思うんだけど。奇遇って、そんな仲良し設定だったのか。いや、嬉しいけど!

 すると、ザーク君が立ち上がり、さっきとは比べ物にならないくらい強くヴォルト君を睨んだ。

 あれ~? もしかして、この二人相性悪い? 二人ともボクに対してここまで強く当たられたことない気がする。



「ほう、随分とやる気ではないか。」


「違う。俺はお前が嫌いなだけだ。」


「なら、その思い、我にぶつけてみよ。」


「……。」



 何々!? この一触即発な空気。この二人、どういう関係?



「はあ、お前は分かっていない。だから、嫌いだ。」



 ザーク君はため息をついてそう言うと、どこかへ歩いていこうとする。



「待て。また逃げるつもりか?」



 ヴォルト君が、そうザーク君に問うと、これまでで一番強い威圧のこもった視線が送られてきた。これは、本気でない。けれど、殺気、というには十分だった。そんな強い殺気を浴びてヴォルト君は、笑っていた。



「ようやくやる気になったか。よいぞ。ここは見通しが悪い。場所を変えるとしよう。」



 この二人、放っておいたらまずい気がする。

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