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魔界のイレギュラー~正体バレたら人生終わります!?  作者: 夢巡つむぎ
【第二章】イレギュラーな学園生活
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015. ティエンフーの正体

「やっほ~、ハクレちゃん

 どうだった、使い魔召喚」


理事長室に案内されたものの……やっぱり軽い!


いつでもニコニコしてるし


「なんかオル先生におじいちゃんのとこ行って来いって言われて――」


「久しいのう、ディウム」


私の後ろからティエンフーが姿を現す

さっきの大きさだと大きすぎて移動がしにくかったのか、さっきよりも一回り小さくなっている

それでも、ボクと同じくらいの大きさなんだよな


おじいちゃんが一瞬目を見開くもすぐにいつもの表情に戻る


「あれ~?

 ティエンフーじゃん、久しぶり~」


やっぱり知り合いなんだ

ってか軽っ!


オル先生が敬語だったから、おじいちゃんも敬語になったりするのかなとか思ってたら、全然普通だった


「其方(そなた)は相変わらずじゃのう」


「いやいや、それを言うならティエンフーもでしょ~」


たいぶ仲良しだな


オル先生はおじいちゃんにも敬語だったし、似たような類なのかな


……


そしたら、ボクのおじいちゃんってとんでもなくヤバい悪魔なんじゃ……


「もしかして、ティエンフー

 ハクレちゃんに召喚されたの~?」


「そのようじゃな」


「そっか、そっか~

 さっすが僕のハクレちゃん

 ティエンフーを召喚するなんて~」


「あの~、ティエンフーってすごい魔獣なんですか

 なんか他の悪魔たちがみんな驚いてたんですけど……」


神話がどうとか言ってたし


「あぁ、ティエンフーは魔王様の使い魔だったからね~」


あぁ、なるほど

だから、神話級……


神話……?

魔王……?


「えぇぇぇぇぇぇ!?」


えっ?

ボク、魔王の使い魔を召喚しちゃった?

人間なのに?


そんなのってありなんですか?


「血の契約は絶対だからね~

 契約解除は難しいから、仲良くしてあげてね~」


それってさ、昨日に続きめっちゃ注目されちゃうじゃん


「あの……

 名前ってあるんですか?」


「え?」


「いや、ティエンフーって種族の名前じゃないですか

 悪魔って言うのと同じで

 だから、個々の名前ってないのかな、って思って」


使い魔の認識が合ってるのか、分からないけど

ペットみたいな感じなら、なんか変な気がする


「存在せんぞ」


「え?」


「悪魔は他人に興味がない生き物ぞ

 ゆえに、妾(わらわ)のような使い魔にはわざわざ名などつけぬ

 物に名づけはせぬだろう」


そっか

悪魔にとって、使い魔は強さの象徴のための道具にすぎないんだ


でも、それって――


「寂しいね」


ティエンフーとおじいちゃんが視線を交わす


「じゃあ、ボクが君に名前を付けるのはオッケー?」


ボクはこうやって会話ができるのが大きいのかもしれないけど、少なくとも物っていう捉え方はできないからさ


それに、もっと仲良くなりたいし


「よかろう

 其方(そなた)とは長い付き合いになりそうだからのう」


「本当!?」


そう言われると嬉しいなぁ


誰かと長い時間一緒にいることって無かったし


そうなると呼びやすい名前がいいよね


印象が強いのは、白――


「ユキ」


「!?」


「っていうのは、どうかな」


ティエンフーがかなり驚いた反応をする


やっぱ、単純すぎたかな


「まぁ、よい

 妾(わらわ)はこやつと話をする故、先に戻って良いぞ」


「分かった!

 また後でね、ユキ」


私は、理事長室を後にする


とりあえず、使い魔召喚は成功、ってことでいいのかな?


魔力測定じゃ記録なしだったし、昨日よりはまともな記録が残ったよね!



――――――――――――――――――――――――――――――



ハクレがいなくなった理事長室には、ディウムとティエンフー、ユキだけが残された


全く、どこまでも危機感の無い娘よ


妾(わらわ)を召喚したということの重大さが分かっておらんようじゃのう


「どう~、ユキ

 僕の自慢の孫は」


ディウムの孫か


やはり主犯はこ奴じゃったか


「あれ?

 あんまり驚かないんだね」


「あんな化け物を好き好んで拾ってくるもの好きはお主くらいであろう」


使い魔は主人の魔力量に比例する


すなわちあの娘は妾(わらわ)を召喚する魔力量を保持しておることになる


それは、かつて魔界を統べたあやつと同等ということである


「え~、じゃあやっぱ気づいてるんだ

 ハクレちゃんのこと」


「当然じゃ

 そもそも、どこで拾ってきたのじゃ?

 あちらの世界へ渡るのは、我々には不可能じゃろう?」


「それが、分かったら苦労しないよ~

 本人は、迷ったって言ってるけどね~」


なるほどのう


やはり、あの娘は何かと爆弾を抱えていそうじゃのう


「ユキは、これからどうするの~?」


「そうじゃのう

 なにやら、面白い予感もする故、あの娘を見守ろうぞ

 お主も同じであろう」


ディウムは不敵な笑みを浮かべる


「まぁね」


あの娘も面倒な悪魔に目をつけられたものじゃ


優しい仮面を被っておるようで、この様子じゃ伝えてすらないのだろう


ならば、妾(わらわ)も伝えはせん


その時が来るまで、楽しみに待つとしようかのう



―――――――――――――――――――――――――――――――――――



使い魔召喚をやっていた建物に戻ると、もうそこに悪魔の姿は無かった

近くにいた用務員さんに話を聞くと、

今日の予定は使い魔召喚のみでこの後は自由行動らしい


「教えてくれてありがとう、用務員さん」


「はいよ

 また何か分かんないことがあったら、なんでも聞いてね

 おじさんは大体、外で何かしてるから」


「は、はーい……」


外は広すぎて未だに迷子になりそうなんですが


用務員さんの持ってる手押し車の中にはたくさんの苗が積んである


「この苗、どこかに植えるんですか?」


「あぁ、丁度そこの花壇にね」


用務員さんが花壇の一角を指さす


結構な量あるけど、これ全部一人でやるのかな


「お手伝いしましょうか?」


「え?

 いいのかい?」


「はい!

 全っ然大丈夫です

 むしろボク、お手伝い大好きなんです」


この後、自由行動っていうことは暇だろうしね


「じゃあ、お願いしようかな」


「はい!

 任せてください!」


人間界でもよくしたな、お手伝い


目的はお小遣い稼ぎだけど


これをやんなきゃ、生活できなかったし


誰かの役に立てるのは、いいことだしね


花壇の花植えが終わった後も

掃除とか、購買の店番とか、荷物運びとかを手伝っていたらいつの間にか夕方になっていた


はぁ~、疲れたけど、楽しかった~


……


魔界に来てから、毎日が充実しすぎでは?


美味しいご飯をお腹いっぱい食べられて、

ふっかふかのベッドで寝られて、

最高すぎないか


ってヤバッ!


また考え事しながら歩いちゃってた


これやってるから、いつも迷子になるんだよ


ここはどこだろう?


キョロキョロとあたりを見回す


あれ?

向こうにまた大きな建物があるけど、なんだろう


そこには、城ような大きな建物があった


見上げるほど大きくて豪華なドアには何重にも鎖が掛けられていた


何年も封印されているんだろうけど、何のために?


それに昔の建物にしては綺麗な気がする


無意識のうちに扉に触れようとする


キーンコーンカーンコーン

カーンコーンキーンコーン


どこかでチャイムが鳴り響く


そろそろ帰んないとかな


ユオ君はまだ学校に残ってるのかな


それにユオ君の使い魔も気になるなぁ

どんな子なんだろう


途中、すごく背の高いガタイの良い悪魔とすれ違った


もはやあれ制服じゃなくない?

すでにビリビリなんだけど

そういうデザイン?


先輩だったら、どうしよう


用務員さんが明日はクラス発表だって言ってたし、

すごく楽しみ


ちょっと気になってたんだよね


学園なのにクラス分けとか無いのかなって


ユオ君と同じクラスになれたらいいなぁ


後は、ウルティアでしょ

ノア君とももっと仲良くなりたいな


他にも、いろんな悪魔と話してみたいな


今から楽しみになって来た


いざとなったら、ユキもすごく強いだろうし

頼もしい子を仲間にできたな



――――――――――――――――――――――――――――――



その夜、職員室にて


「それでは、今年はあのクラスが復活ということで――」

「はい」


「フフフ

 楽しみだね~、ハクレちゃん」

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