↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔界のイレギュラー~正体バレたら人生終わります!?  作者: 夢巡つむぎ
【第二章】イレギュラーな学園生活
PR
13/26

013. 登校2日目

「おいあれ、特待生じゃね」

「え、マジじゃん」

「何で歩いて来てんの?」


「……はい?」


校門をくぐるや否やあっという間に囲まれてしまった。


歩いてくれば、馬車よりは目立たないかなっと思ってたのに!


家を出るとき、おじいちゃんは馬車を使って欲しそうにしてきたけど、全力ダッシュで逃げてきた。

さすがにあれはもう無理!


アンさんは遠くで呆れたようにため息をついていた。


「今日は馬車じゃないんだね」

「昨日の魔法見せて」

「連絡先交換しよー」


四方八方から質問が飛んでくる。

ボクは超人じゃないから、一気に理解できるかぁ!


人込みに紛れて、ユオ君はどこかに行ってしまった。

まぁ、こういう人込みは苦手だろうしね。

というか、うるさい。


「ちょっと!

 ハクレ様が困っていらっしゃいますわ」


周囲のざわめきを一刀両断する凛とした声の正体は――


「ウルティアちゃん!」


ボクを取り囲んでいた生徒たちの輪がウルティアちゃんに道を開けるように割れていく。


なんか昨日もこんな光景見た気がする。

魔界って上下関係厳しいんか?


「まったく、他人の事情もわきまえずに自分の欲をぶつけるとは、言語道断ですわ」


きっぱりと言い切るウルティアちゃん。

鋭い黄金の眼光がさっきまでボクを取り囲んでいた生徒たちに降り注ぐ。


蛇に睨まれた蛙とはこのことか。

朝から不穏な空気が漂ってる。


そもそもはボクのせいなんだし、ボクが何とかしなくちゃね。


「ウルティアちゃん、ボクは大丈夫だから」


「いけませんわ!」


おっ~と?


これはなかなか頑固なタイプかなぁ?


「ハクレ様は何事においても楽観視しすぎなのです!」


あれ?

おかしいな。


なんでこの流れでボクが怒られてんの?


「原典の解読においてもあのような場で明かしてしまえば、どうなってしまうか分かりませんわ」


あれは、おじいちゃんのせいだ。

ボクは関係ない。


というか、原典が人間の言葉で書かれてたって知られてたらどうするつもりだったんだよあれ!


「悪魔社会は弱肉強食。

 弱者に隙を与えては、我が身を蝕む仇となります」


やっぱ、魔界って怖すぎない!?

弱肉強食って


ウルティアちゃんが言っていることはもっともなのだと思う。


ボクは人間で周りは悪魔。


ウルティアちゃんはボクのことを強者だと思ってるみたいだけど、

がっつり食われる側なんだよなぁ。


「それでも――

 ボクはみんなと仲良くなりたいなぁ」


少しだけ周りの空気が緩む。


「せっかくここで会えたんだからさ、楽しい方がいいじゃん

 強いとか弱いとか関係なしに」


ボクは周囲を見回す。


あからさまに人間とは違う悪魔。

鋭利な角が生えた悪魔。

小さな羽が見えている悪魔。


昨日見たときは、それはそれは恐ろしい悪魔でしかなかった。


けど――


「ボクは、みんなで笑って過ごしていたい」


こんなものは理想論だ。

そんなことは分かっている。


でも――


魔法やら何やらなんでもありの世界なんだ

少しくらい夢も見たっていいだろう


ずっと描いてきた夢。

叶わないと諦めていた夢。


「あ、でも、今みたいに大人数で来るのはやめてね

 さすがに全員の相手しきれないから」


そう言うと、バラバラと悪魔たちが散っていった。


そして、ボクのそばにはウルティアちゃんだけが残った。


「……」


これ、またもやヤバいのでは!?


だってだって、ウルティアちゃんも結構な実力者だよね!?

強者側だよね!?


そんな悪魔の目の前で理想論を思いっきり話してしまったんですが


ちらりと様子を見ると――

何やら怖い顔で考えこんでる!?


独り言がぶつぶつ聞こえるし


どうしよう、これじゃあ何言っても逆効果だよね!?


「やはり、ハクレ様の思考は素晴らしいですわ!」


……はい?


「魔界の常識を覆すその思想、感激いたしましたわ」


なんか、大丈夫、そう?


「ハクレ様、私(わたくし)を配下に加えては戴けませんか?」


キラキラとした笑顔を向けてくる。


いやいやいや、配下って!?


「私(わたくし)は一度、ハクレ様に負けた身

 悪魔が決闘で敗北した相手の配下になることは至極当然のことですわ」


え!?

魔界の決闘でそんな危険なのだったの!?


じゃあ、もしボクが負けてたら……


背筋がぞくっとした。


「あれ?

 でも、昨日ライバル宣言みたいなのがあったような」


誰にも負けないでってやつ。


人間が悪魔に無敗記録を更新し続けろって、結構キツくない?


「えぇ、

 ですが、魔界のルールを無下にする訳にもいきませんの」


これ、本人が納得できて無いんだろうなぁ。


「じゃあさ、友達にならない?」


すると、ポカンとした表情になるウルティアちゃん


あれ?

ボクなんか変なこと言った!?


「友達、とは一体何ですの?」


まさかの知らなかった!?


え、魔界って友達って概念ないの?

じゃあ、ボクが造語したみたいになっちゃってるじゃん。


ウルティアちゃん、期待するような眼差しやめて


どうやって説明しよう


「えっ~と、

 友達って言うのはさ――」


いざ、聞かれると難しい


考えろ、考えろ


あっ、そうだ


「仲良しな相手ってこと!

 一緒に遊んだり、ご飯食べたり、お出かけしたり」


「なるほどですわ

 でしたら、私(わたくし)はハクレ様の友達ということで」


良かったどうにか、納得してもらえたみたい。


「そうですわ!

 ハクレ様、どうか私(わたくし)のことは、ウルティアとお呼びくださいまし」


「えっ!」


それはさすがに申し訳ない気が……


「仲良しの証、ということで」


「それじゃあ、ウルティアも呼び捨てで――」


「それはなりませんわ!」


なんで即答!?


様付けってちょっと恥ずかしいんだよ~


「お話終わった?」


「わっ、びっくりした!」


急に声を掛けてきたのは、ミルクティーみたいな髪色のゆるフワボブが特徴的なとってもかわいい悪魔。

この見た目で悪魔って……


どっちかというと天使なんだけど!


ワンちゃんみたいなたれ耳があるから、アンさんと同じ獣族なのかな?


右サイドの髪をワンポイントとして三つ編みしている。


制服もめっちゃ可愛くアレンジされている。


ブレザーには黄緑色ベースのリボンがついていて、袖口にはフリルも。

フリルがついているショートパンツに左太ももにはチョーカーみたいな飾りをつけている。

足元もルーズソックスに厚底の少しかかとが高いブーツとスニーカーの間みたいな超オシャレ靴を履いている。


全体的にリボンとフリルが多めでとことん甘い!


制服の金刺繡もいい味出してる。


この子、ボクよりも女子力高くないか?


何より――

背中でぶんぶん降ってる尻尾がかわいい。


「ノアって言うんだ、よろしくね!」


なんか、人懐っこい犬みたい。


「ハクレだよ、よろしく」


悪魔って、個性強い子多いのかな?


すると、ポシェットから何かを取り出した。


「ねぇねぇ、髪、結んでもいい?」


「ん?」


誰の?


「ボクの!?」


満面の笑みで頷くノア。


「ハクレちゃんの髪、真っ白ですっごくきれいだよね!

 ノア、昨日見惚れちゃってさ~」


髪型とかあんまり気にしたことないんだけど


すっごく期待した目で見てくる。


「貴方、そのためにハクレ様にお声を掛けられたんですの?」


「そうだよ~」


ちょっとぴりついてるウルティアとほんわかしてるノア。


「ハクレちゃんは、ポニーテールが絶対似合うと思うんだよね~

 だからほら、じゃじゃ~ん」


またもやポシェットから取り出したのは、黄色のシュシュ。


「昨日つくったんだ~」


まさかの手作りだった。


そこまでしてもらってさすがに断れないよ。


「結んでくれるのはありがたいけど、ここで大丈夫?」


校門をくぐってすぐのところで足止めをくらってたから、立ちっぱなしになっちゃうよね


「大丈夫、大丈夫!

 すぐできるから!」


ササっとボクの後ろに回り、結い上げていくノア。


あ、ボクの方が身長が低いから大丈夫なのか。


「はい、完成!」


「もうできたの!?」


下ろしていた長い髪は、ノアのシュシュにより、高い位置で結ばれ綺麗なポニーテールになっていた。


「ちょっと癖っ毛な分、ウルフっぽくなってるのがすっごく似合ってる!」


その時、遠くの方でチャイムが鳴った。


「あ、時間になっちゃった

 またね~、ハクレちゃん!」


ノアは、元気にパタパタ走っていった。


「またねー!」


ボクもノアに手を振る。


これ、ボクたちも急がないと遅刻だよね!?


「ハクレ様は、ああいうのがタイプなんですの?」


「え?」


「ノア・ソロバ

 ああ見えて、男の子ですわよ」


おとこのこ?


「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。