不可思議
「ではわたくしからお聞きします。ユーキリアス様、あなたは意図的に殿下やグラッセン様、サリュードゥ様の前で自虐的な行いをしていましたがそれは何故ですか?」
初めにアリア様がユーキリアス様に問います。ですがユーキリアス様は首をかしげ…まさか…。
「何の事ですか?濡れ衣ですか?」
「…お心当たりが、ないとおっしゃいますか?」
「ないですね。」
「で、では、いかにも故意に殿下やハリス様にぶつかりましたのは!」
「ああ、それはドジっ子アピールです!殿下やハリス様みたいな一見硬派で近寄りがたい人には笑っていただいて心を掴む事が出来るはずだったんです。カイン様はそんな私達を眺めつつ一歩引いた所から私に興味を持つ的な?」
「アピール…婚約者のいる方に行う事ではないのでは?」
「いえ?まずはお友達になりたかっただけなので。え?婚約者いると異性の友達作れないのですか?アリア様は鍛錬の時に異性のお仲間の方達と楽しそうに話したり、軽くこづき合ったりしてますよね?友達じゃないなら何ですか?浮気ですか?」
「はぁ⁈彼らは皆同僚になる者達です。友情より強く信頼関係を築けられなければ、私達は互いに背を預ける事は出来ない!」
「はいはい。それはそれは結構な事です。ハリス様は同じ騎士だからいいのでしょうが…彼らの婚約者や恋人も理解してくれていると良いですね♪」
「「……。」」
アリア様もハリス様も苦い顔をし黙ってしまいました。確かに、アリア様は時々「婚約者や恋人に嫌味を言われてしまった。」と悩まれていました。ハリス様もその事は知ってらしたので…
「では、わたくしからも宜しいですか?」
お次はロッティーナ様ですね。
「アレックス様の前に現れるユーキリアス様は血まみれな姿だったりびしょ濡れだったり、ビリビリに破れた教科書を持って来て分からない所の教えを乞うてこられたりしていたのも、何かのアピールだったのですか?アレックス様はいつも新手の嫌がらせなのではと悩まれていましたが?」
「あ、それはたまたまです!いつもデューク様達の所に行ってドジっ子してからアレックス様の所に行ってたので!ちゃんと皆平等に会いに行ってたんですよ!」
「「たまたま…」」
「皆さん、もう宜しいでしょうか?」
「「「「……。」」」」
不可思議な思考に皆何も言えなくなってしまいました。殿下、お顔!お顔が道端の芋虫でも見る様なお顔になってますよ。サーキュリー様皆さんのお話し聞いてます?お茶もお菓子もお気に召したようでよろしゅうございました。
ユーキリアス様?まだ終わっていませんわよ。




