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田舎の高校生がバイクをレストアしたら、世界が少しだけ広くなった  作者: ウシオ


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第50話 動き出す教習所の手続きと、新しい学生証の裏

バイク雑誌のカタログをパタンと閉じ、散らばったマネープランのメモをノートの間に挟み込む。車種の選択や具体的な購入資金の計算は悩ましい課題として残ったけれど、まずはすべての始まりである「免許」を手に入れなければ、どんなバイクもただの鉄の塊だ。


「そうだよね。いくら欲しいバイクのカタログを眺めてても、肝心の免許が手に入らなきゃ公道を走ることはできないもんね」


楓は膝の上のカタログを片付けながら、スッと背筋を伸ばした。


「まずは自動車学校の申し込みと、学校側のスケジュール調整だ!」


翌日、僕たちはそれぞれの高校での放課後を慌ただしく過ごした。


僕たちの通う高校はアルバイトこそ届け出を出せば認められているものの、運転免許の取得に関しては、学年末や長期休暇に入る前の事前申請や、保護者を含めたルールの確認など、いくつかのステップを踏む必要があった。職員室の硬い空気の漂うなか、担任の先生に「普通自動二輪免許取得の許可願」の用紙を受け取りに行く。


「……ふむ。バイクの免許か。しっかり学業とアルバイトを両立させること、それから交通安全には十分気をつけること。いいですね?」


担任の先生は少しだけ渋い顔をしながらも、僕が毎日のようにスーパーで真面目に働き、コツコツと貯金してきたことを知っているからか、最後には「まあ、君なら大丈夫だろう」とハンコを押してくれた。


その頃、別のクラスの楓も、職員室のカウンターで同じように許可証の用紙を受け取り、クラスメイトに冷やかされながらも誇らしげな笑顔を浮かべていたらしい。あとで古屋で聞いたところによると、「親の同意書にハンコをもらうとき、お父さんがやけに嬉しそうな顔をして自分の若い頃のバイク自慢を始めて困った」と、呆れ半分、嬉しさ半分な顔をしていた。


学校の許可が無事に下りたその足で、僕たちは市内の総合自動車学校へと足を運んだ。


夕方のひんやりとした風の中、制服のまま受付のカウンターへと向かう。ガラス張りの向こう側には、これから自分たちが乗ることになるであろう教習車や、白く塗装されたコースが見渡せ、胸の鼓動が自然と早くなった。


「いらっしゃいませ! 普通自動二輪の入所ご案内ですね?」


笑顔で迎えてくれた受付のお姉さんに案内され、僕たちは必要書類に記入していく。原付免許をすでに取得しているため、学科の一部が免除されるという説明を受けながら、用意してきた教習所代の封筒を窓口へ差し出した。


一万円札が詰まった封筒の重みは、この夏の間、スーパーのレジ打ちや品出しで流した汗と、疲れた体を奮い立たせて働き続けた日々の重みそのものだった。そのお金が目の前でスッと受け取られ、正式な「入所申込書」の控えとスケジュール表が手渡される。


「手続きはこれで完了です。週末からいよいよ適性検査と第一段階のシミュレーター、そして実車を使った教習が始まりますよ」

「……終わったね、葵」


自動車学校の自動ドアを出て、夕暮れのグラウンドを眺めながら楓がポツリと言った。その瞳には、不安よりも圧倒的な期待と高揚の色が浮かんでいる。


「うん。これで、いよいよ僕たちの新しいステージが始まるんだ」


古屋に戻り、並んで停められているGS50とポッケに今日の報告をする。


相変わらず静かに佇む二台の50ccは、僕たちが新しい免許への第一歩を踏み出したことを知っているかのように、夕闇の中で誇らしげに見えた。週末から始まる教習所の日々。いよいよ、僕たちの物語は次のギアへとシフトアップしていくのだった。

いけるところまで毎日18時に更新をしたいと思ってます!

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