表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放った言葉は、その身を焼く刃となる。~言霊家系に生まれた僕に暴言を吐かないでくれ~  作者: なつたろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/12

第4話 蓮夜の最期

 警察からの事情聴取を終えた翌朝。

昨日までのパニックがまるで嘘のように空は晴れ渡っていた。

藤坂の死、連鎖する事故。

そして、警察の介入した結果、()()()()()()

つまり、集団ヒステリーとして処理され、僕はこうして登校している。


――万が一、変なことが起きたらすぐ早退するか、校長先生に相談しな。


「変なことって……もう起きまくってるよ、ばあちゃん。」


 たった数日のうちに生徒が立て続けに亡くなったのだ。

校長はその対応に追われて、一生徒を構っている時間なんてないはず。

しかも、保護者からは学校関係者の顔は見たくないと、彼らの友人ですら、葬式には顔を出すなと拒絶されたらしい……


「嫌がらせをしてきたやつだし、行かずに済んでよかったというか……」


 何より期末試験も近づいているため、特別な理由もなく欠席するようなことはしたくなかった。


――さすがに今日は、クラスの何人かは欠席するんだろうけどな……


 そんなことを考えながら歩いていると、校門の前を歩いていた蓮夜の姿を捉えてしまう。

彼は何事もなかったかのように、ポケットに手を突っ込み、気だるそうに歩いていた。

僕的にはその態度が無性に腹立たしく感じてしまうのだが、深く深呼吸し、心頭滅却と心の中で呟く。

そんな僕の横を40代くらいの女性が通り越していった。

しかも……


「あの不良……絶対に許さない!」


 何やら物騒な独り言を吐きながら、蓮夜の元へ一直線に向かって行く。


――あれ?どこかで見たことあるような気が……あ!


 あの女性は、先日亡くなった藤坂の母親だった。

通り過ぎざまに見えた充血した瞳、振り乱した髪。

まるで息子の死の元凶は蓮夜だと、決めつけているかのように……


「唯野蓮夜ってあんたでしょ。 息子を返しなさいよ! あの子はあんたとつるんでからおかしくなった! どう責任取ってくれるの!?」


 絶叫に近い罵声が通学中の生徒たちの足を止める。

しかし、蓮夜は足を止めるどころか、鼻で笑って彼女を一瞥した。


「はっ、うざ……俺のせいだって証拠はあんのかよ?そんなに藤坂のことが大事なら、後ろにいる()()()を道連れに、会いに行ってやればいいだろが!」


 蓮夜は顎で僕を指し、息子を亡くした母親の感情を煽るような真似をした。

その瞬間、なぜか僕の時間だけがピタリと止まる感覚に陥る。

そして、蓮夜の口から放たれた言葉。

あいつ()を道連れに、会いに行けばいいだろうが』

これが頭の中で幾度となく繰り返された。


ギギキ、ギギギギギッ!!|


 風一つない快晴の空の下で、あり得ない音が聞こえてくる。

その元凶は、校門の脇に立つ、古びた鉄製の街灯だった。


「え……?」


 蓮夜が不気味な音に気づき、顔を上げた時には、すでに遅かった。

倒壊する街灯。

巨大なライトの部分が、逃げようとする蓮夜の頭上へ、吸い込まれるような精度で垂直に落下した。


グシャッ。


 嫌な鈍い音がして、重厚な金属の塊が蓮夜を地面へと縫い止める。

数秒の沈黙の後、藤坂の母親の悲鳴と、居合わせた生徒たちの絶叫が、晴天の空を切り裂いた。

一方僕は、少し離れた場所からその光景を見ている。

街灯のライトが直撃したその場所には、赤い水溜まりができ始めていた。


『悠一、お前は神本家の子だ。お前に向けて放たれた悪意は、誰にも止められんかもしれぬ』


 祖母の言葉が、耳の奥で冷たく響く。

僕は、ポケットの中で震える拳をギュッと握りしめた。


――蓮夜が()()()()()()()()()


 背筋に冷たい何かが走り、全身から鳥肌が立つ。

ゾクッ! と悪寒がした同時に、額からは冷や汗が流れるのを肌で感じた。

 

 これが、地獄の始まり。

僕が背負わされた、言霊をつかさどる神本家の逃げられない宿命の幕開けだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ