『小さなヤツ』
──そして俺は今、暗い森に1人──
深紅の血を滲ませる少女を前に、ただ一人立ち尽くしていた。
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「おいおいおい、! なんでこんな、」
彼女はさっきかけた水が赤黒い血に変わって、広く滲ませている。血生臭さ、鉄の匂いが刺すようできつい...
出血は肩の辺りからだろうか。
(早く処置を....!)
「んんん....、人、?」
意識はある、まだしゃべれるならモーマンタイだ。まだ、なんとかなるはず...
「動くなよ....いま助けてやるから。」
「.......。」
辺り一面、森だ。
あるとするなら、近くに杖が落ちている。
こんな夜中に少し青白く発光しているのがとてもきれいだ。
とにかく、自分の服をつかって止血しよう。
よく使っていた真っ白なTシャツの右下を破り、
肩の辺りに沿わせるとき、気づいた。
(......刺し傷、?)
ナイフで刺した跡だろうか、中々傷口がおおきい。 いったい、誰が....?
──かすかな木漏れ日が、夜明けを知らせる。
この子を背負って進むしかないが、どうしたものか......方向がわからない。
「な、なぁ....どっちかわかるか?」
少女の右肩から赤黒い血が滴り、自分の肩まで伝っていく。痛みに耐えて、悶だえながら
杖の方向に指を指す
カタ、カタと震え、先の方向を示すように光を放っている。
(こっち、でいいんだよな、?)
杖を拾って、示された方向へ歩みを進める。
出来るだけ負荷がかからないように忍び足で歩いた。
そもそも刺し傷をつけた犯人もわからないから
恐怖もあった。
森は、不思議な雰囲気を放っている。
人気一つもない孤独は不安を募らせ、
杖も、イマイチ信用に欠ける。
少女は痛みに身震いをして、寒そうにしているが、実際かなり体温は上昇している。
背中の辺りが大分熱がこもっているのがその証拠だ。
森の茂みの中にはトゲがあったり、根が張り巡らされていることもあって、足もボロボロだ。
足元を何度も掬われて、体勢を立て直すのがとてつもなく辛い。
──森のざわめきが遠ざかり、枝や根に引っ掛かる心配も無くなってきた。そうして、ようやく開けた土地に出ることができた。
目の前に開ける広大な敷地......
大層な鉄の門、奥行きのある豪華な邸宅。
正面玄関には大理石のような白い階段、
苔むした屋根。
どれをとっても金がかかってそうな場所だ。
(とにかく、いれて貰おう。)
と言ったものの、強固な鉄の門は開けず、インターホンもないのでどうしようもなかった。
「...おっやおや~? そこでなにをしてるのかなぁ?」
(誰っ!?)
真後ろから声がした。俺は森から抜けてきたんだ。まさか同じところから、?
だが人影が見当たらない、──どこに......
「ここだよ!ここ....!」
足元を見ると、靴の大きさくらいのちっちゃな人間?
「......ちっちゃ!? なんだよ、お前ビックリさせんな!」
そこには、橙のハーフアップの幼女。
三十センチ定規より小さいくらいだろう。
腰に短剣を装備している。
てっきり敵襲だと思った。少女は傷ついていたので、主犯かと。
「人聞きが悪いなぁ、敵だなんて、初対面で失礼なんじゃない?」
(コイツ人聞きって、本当に人なのか?)
「ごめん、色々あったから仕方ないだろ。」
ちっちゃな人間はそんな感じで頬を膨らませて目をそらしている。
みた感じ無害そうで安心した。
が、油断は出来ない。負傷者を抱えてるのもある。
──ていうか...
ここは、異世界ってことか?さすがに様子がおかしすぎる。こんな小さい人間は存在しえないはずだ。
「それで、お前、なんで敵だって思ったことがわかったんだ......?」
「....んふぅ♪ 私たちはメレース族。
その中でも私は、滝行の如く多くの困難を耐え~? かくかくしかじかで族長となったのだよ!」
「メレース族?」
「え、なに君知らないの?
......メレース族は、俗に言う小人になんだ。
見下ろされるのは少々酌なんだけどね!」
そういって見上げてくる。
「すまんね、お前より低い姿勢になれる気がしないよー。」
「んんっ!」
幼女は高く飛び上がり、俺の頬をビンタした。
とにかく、怪我人に気を遣いながら体をうごかす。
「おいおい、短気は損気だぞ?」
「今はその子がいるから手加減してやったのよ!.....」
彼女はプンスカしながらそっぽを向く。
「はいはい。それで、ここに来たのは?」
「.....んと、丁度ここの亭主様にお呼ばれしてね。結構大事な用だから軽々しくは話せないわ!」
「なるほどな。」
そんな談笑のなか、突如門が開いて、誘われるような予感がした。小さく息を飲む。
「......まさか、あんたその服といい、異邦人じゃないわよね。他所から来た人間の相手は、大分きついのだけど。」
「それは、マズイのか?」
「マズイもなにも......ふぅ、仕方ないわ、
ついてきなさい!下手なまねしないでよね!」
空気が和やかになったかもしれないが、依然怪我人がいることも、一連の異変も最悪きわまりない。
──屋敷へいこう。




