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転生したけどチートとか無かったから努力で世界最強目指します!  作者: 敬礼 なろう・カクヨムで連載中
学園

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第46話 喧嘩


昼食を食べ、準備を済ませた俺たちは、デブリがいるはずの金2クラスの教室へやってきていた。


「失礼するよ。臆病者のデブリ君はいるかい?」


喧騒に包まれている教室の扉を開き、デブリの所在を尋ねるため、俺は中に向かって声を張り上げた。


すると、何事かと思ったのか教室の中にいる多くはこちらを振り向きだした。


そして、その残りはというと、怒りに包まれた形相で、大股にこちらへ近づいている。


「一体どこの馬鹿が俺を呼んでいるのかと思ったら、不正入学のリオン君じゃないか。俺に何か用か?」


そいつは、その太った体で、顎肉をプルプルと震わせながらそう言った。


「不正入学? 根も葉もないような噂を撒き散らすのは辞めておくれよ。喧嘩を売るのなら、もっと堂々と正面から来ないと。そんなんだから臆病者呼ばわりされるんじゃないか?」


俺はデブリとの面識は無かったが、その様子から一目でその男子が目的の人物であると気付いた。名前通りその姿は丸々と肥えた豚のようで、つい笑ってしまいそうになる。


吹き出しそうになるのを抑えていると、デブリは、俺の後ろに人影が見えたのかそちらを覗いた。数秒後、デブリはミューの存在に気付いたようで、声を上げた。


「ミュレイ! 昨日はよくも、魔法を投げてくれたな。傷が残ったじゃないか。二度とそんなことができないよう、教育してやらないと」


デブリは、そう言いながら自分の顔を指した。

そこをよく見れば、火傷の跡が残っているではないか。

おそらく、昨日ミューがデブリの顔に魔法を投げてしまったと言っていた時のものなのだろう。


デブリの顔は、その傷がなければまだ見れた物だったのかもしれない。ただし、もう元に戻ることは叶わないだろうが。


「みっともないじゃないか、デブリ。そんなあけっぴろげに顔の傷を指差して、君に羞恥心というものはないのかい? 見ているこちらが恥ずかしくなってくるよ」


その不恰好な姿に可笑しいと思った俺がツッコミを入れると、デブリは怒りか恥ずかしさで顔を真っ赤にしてこう言い出した。


「おいリオン!てめぇ、何も言わないでいたら好き勝手言いやがって。決闘だ!今すぐに!」


想定外なことに、デブリは自分から決闘を持ち出してきた。タイミングを見計らって俺が決闘を吹っ掛けるつもりだったのだがこれならその手間が省ける。


「いいだろう、受けてたつさ。デブリ、お前は自分の取り巻き4人と組め。こっちは連れてきてる仲間4人がいるからな。まさか、自分から提案しておいて逃げるなんてダサいことしないよな?」


煽って煽って、デブリの逃げ道を潰す。こいつはプライドが高そうな雰囲気を出しているので、これが効くはずだ。


「ああ勿論だ。おら!さっさと訓練棟に行くぞ。生意気なお前らをわからせてやる」


 デブリはかなりやる気があるようだな。その証拠に、彼は取り巻きを連れて、俺らよりも先に訓練棟へ向かっていった。


「よし、じゃあ俺たちも訓練棟に向かおう。あいつをギャフンと言わせてやろうぜ」


 俺は、ミューたちにそう言って声をかけると、訓練棟へ足を運び始めた。



 ◆◇◆◇◆◇



「準備はいいな?正々堂々と、正面からてめぇをぶっ潰してやる。俺らの連携があれば、烏合の衆のお前らなんて一捻りだ」


 訓練棟に到着し、決闘の予約をした俺たちはコートの上に立っていた。


 先ほどの俺による煽りが効いているのか、デブリはやけに『正々堂々』と『正面から』を強調して喋っている。


 連携で一捻りだとか、俺たちのことを烏合の衆だなんて言うがどこからそんな余裕が出てくるのだろうか。

 人間一人ひとりの強さに対した違いの無かった前世の戦争では質より数が大切だったが、この世界では違う。歴史を学べば簡単にわかることだが、魔法という力によって、時として強大な個人は数を圧倒するのだ。


 そんな常識と言えるものを知らないデブリを心の中で笑いながら、俺は語りかけた。


「そう死に急ぐなよデブリ。俺たちは逃げないぞ?」


 すると、デブリは顔を真っ赤にして今にも爆発しそうなほどである。


「ここで喋ってても何も無い!始めるぞ!」


 我慢の限界を迎えたようで、デブリは戦いの開始を宣言した。


 取り敢えず、舌戦は俺の勝ちのようだな。


 この後、決闘が始まってからの動きについては、事前にみんなと共有している。デブリの性格も、俺が想像していたものとそこまで大きくかけ離れていないようなので、丁寧に遂行すれば相手を圧倒できるはずだ。

 

 デブリが開始を宣言した直後、俺は魔力操作によって身体強化を高めると、大きく腕を振りかぶり、勢いよく振り下ろした。


 刹那、デブリ達の足元が爆発する。


「うわぁ!な、なんだ?」


 デブリがその爆発に驚いて動きを止めている間に、俺は作戦通りミューに目配せを送った。


 ミューはそれを受け取ると、魔法を発動するべく魔法陣を描き始めた。


「お、おい!あいつに魔法を使わせるな!使われたら負けだと思って、死ぬ気で妨害しろ!」


 デブリは、ミューの様子を見てこれは不味いと判断したのか、取り巻きに指示を出した。

 その判断は、間違っていない。今からミューが使おうとしてるのは超火力のどデカい一発だ。しかし、威力が高い分この魔法は発動までに時間がかかってしまう。


「させるかよ!」


 態々妨害を受ける必要なんてない。相手陣営の攻撃に、こちらも応戦した。


 俺だけでなく、リベルト、リース、アレン君の魔法が取り巻き達に向かって飛んで行く。


 あくまで俺たちの目的はミューの魔法を補助することで、牽制程度に抑えた魔法だったのだが、相手はそれでも受け切ることで精一杯のようだ。

 代わり代わりに攻撃して余裕のある俺たちと、その猛攻を防ぐことだけで手一杯の相手。


 十数秒ほどそのやり取りを繰り返して、遂にミューの魔法の準備が完了した。


「みんな、下がって!」


 アレン君が、声を振り絞って俺たちに指示をだす。それに従ってアレン君の後ろに回った俺たちを確認すると、アレン君は魔法を発動した。


「『硬土壁』」


 その魔法が発動すると、俺たちの目の前に土で出来た壁が現れた。

 この魔法は、普段俺が使うような『土壁』なんかではなく、アレン君が開発したらしいオリジナルの魔法だ。


 ただでさえ硬いその魔法に、今度はリースが強化魔法を使う。この強化魔法は、教会が独占している魔法で魔法だけでなく人や物にも使えるらしい。


 そんなこんなでこちらも準備を終えたので、叫んでミューに完了したことを伝えた。


「ミュー!こっちも準備完了だ!」


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