剣士と魔導師
「テトー、これはー、ダメよー」
ヒナはテトが、リュックを開けようとしているのを注意す
る。
「テトー、ちょっと待ってて」
ヒナはリュックの口の鍵を開けて、中を確認する。
やっぱり、勝手に開けてはいけないな。
ちょっと、期待しすぎて、先走ってしまいました。
これは、ヒナへの信頼度が、レベル最下位まで、落ちてし
まったのではないか。
リュック気になるなーーーー、まだかなー。
取り敢えず、ルアーの代わりになる物は。
アーーーーーーーーー、釣り竿がないや。
「ヒナーーーー、ルアーみたいなヤツ、お願いな」
テトは雑木林の方へ釣り竿になりそうな、しっかりした木
の棒を探しに行った。
テトは、無神経すぎるよー。
何も言わず、いきなりリュックを持ち出して、中を覗こう
とするなんて、信じられない。
信じられない、信じられない、信じられない。
許さんぞ、許さんぞ、許さんぞ、許さんぞー。
鍵を掛けて置いて良かったーーーー。
鍵つきのリュックにして良かったよー。
中を見られなくて、・・・・このテトのヤツ、許せないよ
ーーーー。
テトのヤツ、テトのヤツ、テトのヤツ、テトのヤツめー。
ヒナ、怒ってたなーーーーーー。
あれは、・・・・まずかったなー。
僕と、した事が、ヒナの大事なリュックを勝手に触って、
中まで見ようとするなんて。
ヒナーーーー、ゴメンな、・・・・時間は戻せないな。
ゴメンな、ゴメンな、ゴメンな、謝るしか出来ない。
・・・・・・・・時間は戻せないな。
せめて、ヒナが歌い踊っていた時まで、・・・・謝るしか
ない。
そうだ、竿だ、この木の棒は、ポキポキ、折れて弱過ぎる
なー。
この木の棒は、長さが、足りないなー、丁度のヤツないか
なー。
あのー、奥にあるヤツは、丈も、太さも、いいな。
ヨシっ、これを使おう。
「テトーーーー、こんなヤツあるけど、どうかな」
ヒナはリュックから、母が、予備に入れていた、釣り糸と
ルアーを見せてくる。
「エーーーー何で、入っているの」
テトは、あまりの出来事にビックリしている。
「アッ、これねー、前に父と母が海に行った時に私のリュ
ックに入れた見たい」
ヒナは淡々と答えた。
「アーそうか、んーそうなんだ」
んー、んー、んー、んー、んー。
どうしたら、そうなるのか、なんか、適当過ぎる。
海に・・・・何で、ヒナのリュックがあるんだ。
海に・・・・ヒナのリュック、必要か。
もしかして、ヒナは、海に、川よりずっと大きい海に行っ
た事があるのでは、・・・・そんなー、じゃ、・・・・川
に来ても、そんなに喜んでないのでは。
もしかして、大袈裟に喜んでいるのでは、・・・・僕の為
に、いや、ヒナは、楽しんでるよー。
・・・・考えるのはよそう。
ヒナを信じよう。
信じる、信じる、信じる、信じる、信じる。
テトは、理解に苦しみながら、納得した。
ヒナに、もう一度、謝ろう。
「ヒナー、勝手にリュックを触ったりして、ごめんなさ
い」
テトは雑木林から、竿になりそうな木の棒を持って来て、
ヒナに謝った。
「ヒナーーーーーーーーーー、ゴメンーーーーーーーー」
テトはヒナを抱きしめて謝った。
「テトーーーーーーーーーー、いいよーーーー、許すよー
ーー」
ヒナはテトの顔を見て、テトの事を許した。
テトが、木の棒をヒナに見せたら、ヒナが気まずそうに
伸縮のリールのついた釣り竿を出してきた。
「テト、これ、父と母が、海に・・・・」
「ヒナーーーー、分かった、いいよ、分かった・・・・そ
れを使わしてもらうよ」
テトは、ヒナから借りた釣り竿を持って、川に入って行
く。
今でも、偶に、ピラニアが、飛び跳ねている辺りに狙いを
つけて、糸を投げ入れた。
しばらくして、直ぐに糸を引かれる。
グウーーーーーーーーーーーー。
結構、ピラニアの引きが強いな、この竿、しなりも、強さ
も一等級だから、長期戦に持ち込める。
ピラニアの飛び跳ねや、左右の動きが、続く。
そろそろいいか、ピラニアが、気力を無くしてきたな。
リールを巻いて、水面からでもピラニアが確認出来る位置
で一気に引き上げた。
それを待っていた、ヒナが陸の所で、さっきの木の棒で、
狙い打ちする。
このー、このー、このー、んー、死んだか。
「テトーーーーいいよーーーー」
ヒナは上手にピラニアからルアーを引き抜く。
エーーーーーーーーーー、ヒナーーーー、スゴーーーー。
ヨーーーーーーーーーーーーーーーーーーーシ、共同作業
だーーーーーーーーーー。
「ヒナーーーー、行くよーーーー」
テトは、川の中のピラニアに向かって、釣り糸を振り入
れ、右往左往を繰り返して、タイミングよく釣り上げ、陸
で待ってるヒナに、パスをする。
「来た、来た、来た、来たーーーーーーーーーーーー」
ヒナは、飛んで来る弱りきったピラニアが、陸に着くやな
いや木の棒で何度も叩いて仕留める。
「ヤッターーーーーー、次々ーーーーーーーーー」
ヒナはテトに次のパスを渡す。
「ソリャーーーーーーーーー、行けーーーーーーー」
テトは、釣り糸をピラニアの待っている場所へ振り入れ
る。
その作業が、五十はくだらなく続く。
二人はヘトヘトになり力尽きて、その場に立ちすくんだ。
「テトーーーーーー、フウーーーー、終わろうーーーー」
「ヒナーーーー、フウーーーー、そうだねーーーーー」
フウフウフウーーー、五十ピラニアか。
ヒナーーーー、ガンバッタなーーーー。
お疲れだー、お疲れだー、お疲れだー。
「ヒナーーーー、一緒にケアルしよう」
「うんーーーー、ケアルしようーーーーーー」
二人は、薄い水色の光に包まれた。




