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第十一話 恋の怠け

「いやあ、本当にごめんね!こんなにノート出てきちゃって…」

「お前、この量…ってかお前後輩に心配かけるんじゃねぇ。相生さんお前がどっか行ったかと思ってただろ?」

いつもネジを外す部分はマジで外れるんだよこいつ。

「ってお前。学校全然来てなかっただろ。お前に何かあったんじゃないかってみんな心配してたんだぞ?連絡も出ないで何してたんだ?」

「ああ、その件なんだけどね普通に学校サボりたくてサボってた!ごめんね。」

「お前なぁ…」

こう見えても俺に次いで2位の成績を持ってるやつ。初めてこいつに会ったのがこの場面だったら、誰も信じないだろう。

「ったく…明日には戻ってこいよ?」

俺がそう放つと急に黙り出した。

「…あのね」

登場人物

淡路涼平あわじりょうへい

高校3年生。成績優秀で人気だが、恋に無関心。最近は柑理に振り回されている。

下館柑理しもだてかんり

高校3年生で涼平のクラスメイト。涼平に恋心を抱いており何度か告白したが振られている。だが、諦めが悪く計2年間監視している。

相生凌香あいおいりょうか

高校2年生。【ほとんど】純粋だが、柑理の書いた恋愛ノートを見てしまったせいで恋に詳しくなってしまった。だけど表は優しくて思いやりのある子。

「普通に行きたくないんですよね…」

もしかしたらこいつも悩みがあるのかもしれない。俺は咄嗟に聞いてみた。

「理由はなんだ?」

ここまで暗い空気になるということはかなり重いんだろう…

「今週末マラソン大会あるよね?ただ単にそれに出たく無くて…」


心配した俺がバカだった。ただのサボりだった。

「俺だって嫌だわ!お前出なかったらどうなるか知ってるか?」

「え、どうなるの?」

「体育の平常点あげないって言ってたぞ。」

「よし!明日から学校行きます!」

こいつ…平常点だけは捨てたくなかったらしい。さすが裏表がはっきりしているやつだ。こいつが嫌がっているマラソン大会というのは、俺たちの学校で毎年5月に行っている行事で、5キロを走る。その練習が確かにこいつが怠くなる理由もわからなくはない。翌日学校では、

「いやぁ、体育ってきついね。」

俺はこいつの言葉の意味が最初は分からなかったが、体育の時間になるとその言葉の答えが明らかになる。

「おい、下館。もっとちゃんと走れ。」

「すみません!」

運動音痴であるのだ。こいつ。だから頑なに体育だけはめんどくさがる。俺は普通に体育も最高評価を取っているがこいつは平常点頼みなのである。

「ハァ…ハァ…今のタイムどんな感じでしたか?」

「これじゃ、大会終わっちまうぞ。」

この先生の言葉はおそらくこいつにめちゃくちゃ刺さったんだろうな。

「淡路くん助けて!これじゃ私学校に居場所無くなっちゃう…」

もう授業中の時点で手遅れだと思うが…まあ、こいつに恩を返しておくか。

「分かった。俺に一個案がある。前日までのお楽しみだ。」

「分かった!」

そして前日の夜。俺はその案を送り、大会当日になった。下館の姿はない。そうだ。実はあの後

「どうっしても出たくない!なんとか出来ない?」

とか言われたから、俺はなんとかしようと思ってとあることを思い出した。

「俺が1年の時にマラソン大会休んだんだけど、その時は確か平常点減点されなかったし、成績も満点だったぞ。だから、それを使えば…」

「うん!そうする!」

早い返答だ。とまあ、こんなことがあってあいつは体調不良ということで休んだらしい。一方相生は…

「あ、先輩!私学年トップでしたよ!」

こいつは運動神経がめちゃくちゃいいから、こういう行事においても優秀さが際立つ。こんなこともあって大会は幕を下ろした…のだが…

「下館さん、今年度からマラソン大会も成績に反映されることになってだな…その…」

「…へ?」

「お前は別日に変わりに持久走で成績をつける。」

「嘘…ですよね?」

「先生が嘘つくと思うか?これに出席しなかったら平常点下がると思っとけよ。」

こいつは結局、走る羽目になったらしい。

そんなこんなで、5月の行事が終わり普段の生活が戻るかと思ったが、6月頭にテストがあるんだった。

特別短編「試験勉強」

「やべぇ、テスト範囲広すぎるなこれは…」

「うん、そうだね…」

実は俺たちは中高からずっと1位と2位を独占している。だから仮に怠けてここで落とすと俺の学生生活もピリオドを打ってしまう。

「淡路くん!一緒に勉強しよ!」

「あぁ、今回となっては仕方がないな。上位守り抜くぞ。」

俺らはすぐに行動に移す。家とか寮に帰る時間がもったいので、学校の図書館へ。うちの学校は図書館が2つあり、そのうち片方は目立たない新棟の地下にある。司書の先生がいるじゃないかって?大丈夫だ。新棟の図書館は無人。借りる時も全て自動でやってくれる。

普段であれば、テストごときで焦ることはない。今回はなぜ焦っているかと言うと、テスト前日だからだ。俺らは調子に乗りまくっていて気づいたらテスト前日になっていたのだ。

「図書館の施錠時刻は17時半…ここまでなんとしてでもやらないとまずいぞ…」

「早速始めようか。」

そうすると俺たちは、猛スピードで勉強に取り掛かる。俺たちの脳は現在フルパワーで稼働中だ。

2時間後…

「やっと終わった…」

「そうだね…もう何も考えられない…」

俺たちは勉強をなんとか終え、机の上でへたっていた。

「あ、もう17時20分だった。早く出るぞ鍵が閉まるからな。」

「そうだね!」

俺たちは図書館を出ようとする。このおかげで明日のテストも頑張れそうだな。

…ガチャガチャ

「…は?」「…へ?」

「淡路くん、ドア開けないの?何焦らしてるの?」

「お前こそドア押さえつけてるんじゃないのか?」

『…』

俺は大事な事を思い出してしまった。

「今日って何曜日か?」

「確か木曜日だね。」

「木曜日は何時施錠だっけ?」

「でも、ここには17時半施錠って…ん?」

「お前どうした?」

「…下に小さく第二木曜日のみ17時施錠って書いてある…」

「今日は第二木曜日ってことは?」

「そういうことだね…」

終わった。完全に終わった。

「どうしよう!?」

「まあ、そう焦るな。ここの図書館は確かインターホンついてたよな?」

「うん、ここにあるよ。」

「それで職員室に繋がらないか?」

下館は通話を試みるが…

「繋がらないよ…」

職員室この時間先生いないんだった。守衛さん待つしかないか。でも来るのかなり遅くなるし、下館に関しては帰りが遅くなってしまう。

「とりあえず、声出してみれば聞こえるんじゃない?」

「冷静に考えてみろ。ここは地下且つ人っ子1人来ない新棟だ。声を出したどころで無駄だ。」

「そうだった…もう何も思いつかないよ。」

「大丈夫だ。俺がなんとかするから。」

というと俺は扉の前に行く。

『…あ』

〜〜〜〜

「ほんっとうにありがとう!相生ちゃん来なかったら私たちどうなってたことやら…」

「大袈裟ですよ下館先輩。守衛さんもいることですし…」

そう、俺が扉の前に立った瞬間偶ー然こいつが通りかかったのだ。しかもベストタイミングで。

「ていうかお前風紀委員だったのか。」

「そうですよ!じゃなかったらあの時間いませんし。」

「…ありがとな。」

俺たちは安心な気持ちで帰路に着いた。

翌日

「やばい、昨日の一件のせいで」

「テスト勉強の内容を」

『忘れている…』

(なお、2人はなんとかして上位を守り抜いたらしい)


十二話へ続く。

旭野です!第十一話をお読みいただきましてありがとうございました!

雲行きいい方向に転がって良かったですね。私自身も運動音痴なもので柑理の気持ちがめっちゃ分かります。また展開はこの作品っぽい感じにしましたが、いかがでしたでしょうか?

そして初めて短編エピソードを入れてみました。2人はその後裏で猛勉強してたみたいですよ。

とまあ、こんな感じで自分の中ではかなりボリュームのある話になった第十一話ですが、次の話についてはこれ書いてる時点でまだ決めてません…しっかりと明後日には出ますのでご安心を。

それではまた第十二話でお会いしましょう!!

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