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21話 リリック13歳 初任務①

 僕がこの屋敷に来て5年が経ち13歳になり正式にモルガナイト辺境騎士団への入隊が許可された。

 この騎士団は王国との対立を避ける為、団員のほとんどが平民で構成されており貴族は数名、それも親戚のみしか入隊していない。

 5年間魔獣狩りで実践を積み、魔法と剣術の鍛錬を欠かさず行ってきた。

 全く歯が立たなかったクリスには5割くらい勝てるようになって、背は前世と同じくらいに伸びて160センチくらいだ。

 筋肉もついてきて我ながら、なかなかにいい男になったと思っている。

 髪の毛は入隊前日にバッサリと短く切った。

 ここへ来て5年、まさか自分が騎士団に入っているとは思わなかったが、婿の資格もない僕を息子のように可愛がってくれたシグルスさんや、ソフィア様に少しでも恩返しがしたくて自ら入隊を決めたのだ。


「リリーお兄様髪の毛切ったのね?素敵よ!」

「ありがとうティナ」

 マルティナちゃんは11歳になって、ますます天使エルちゃんに似て来た。

 今では愛称で呼び合う話ほどまで仲良くなれてとても嬉しい。


「スッキリしたな。今日の任務は私も同行するが気を引き締めていけよ」

「はいっ!!ルイーザ隊長!」

 ぱっ、と敬礼をして挨拶をする。

 今回の任務ではルイーザさんの隊に配属されることになり彼女が直属の上司となった。

 ルイーザさんは5年経ちもう立派な大人の女性だ。

 初めて会った日も大人びていたが今はなんと言うか…色気的なものが…いかんいかん。

 多感な時期に入った僕は緩むとすぐ変なことを考えてしまうようになってしまった。


(これが周りに女性が多いパターンの思春期か…)


 前世では経験した事がなかった事なので戸惑いを隠せない。


「お、隊服似合ってるじゃねーか。あんなヒョロガリチビがこんな立派になって俺は嬉しいぜ」

 シグルスさんは5年経っても相変わらずだが、5年間みっちり僕を鍛えてくれた師匠で…こんなことを言って迷惑かもしれないが心の中では父親だと思っている。


「まあ、リリックちゃんすっごく可愛らしいわ!この襟のところピンクにしたらどう?リリックちゃんの綺麗な金髪によく合うと思うわ!」

 ソフィア様は相変わらずのほほんとしていて、5年経っても変わらない…むしろ若返った気すらする。


「お母様、隊服を勝手に変えるのはダメです。」

 ルイーザさんは頭を抱え、やれやれとソフィア様に注意する。

(どっちが親か分からないな…)


 朝食を済ませて騎士団本部前へ集合がかかる。

 入隊初日僕に初任務が与えられるのだ。

 事前に聞いていたから驚きはしない。

 不安はあるが…


「皆も知っていると思うが今日から新しい団員が入った!リリック・エメラルドだ!」

 ルイーザさんは颯爽と壇上に上がり程よく低い声で僕の名前を呼び壇上にあげた。


「本日よりモルガナイト辺境騎士団へ入隊します!リリック・エメラルドです!家名は捨てた身ここに居る間、僕は下っ端です!どうぞリリックとお呼びください!このモルガナイトに命をかける所存でございます!」

 こんな大勢の前で話すなんて事は前世ではあり得ない事だ。

 僕はこの体になってから浮かれて、絶望して、目標を見つけた。

 大嫌いだった自分を少しずつ好きになれてきた。

 このままずっと平和に暮らしていきたい。




























「ルイーザさん!!!!う、うで、うでが…ああああああ!!ど、して…どうして…なんなん、だアレは…」


 暗い洞窟の中少年は涙を溜め嘆きを上げる。

 銀色の剣士の腕は宙を飛び地を赤く染め上げた。

 人語を話す魔物は高らかに笑い怒り狂う。

 「色を返せ」と。


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