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11話 銀髪の女騎士。

 リリックが魔獣討伐を成功させた頃少し離れたところで事の顛末を傍観していたものが1人。


「ほぉ、年齢的に末息子に見えるがあれが我が家に来るのか?」

 騎士服を纏った女性はリリックを見て不敵な笑みを浮かべる。


「はっ、面白い。アイツを送ってくるとはエメラルド家は我が家の存続を望んでないとみた。」


 ―――――――――――――――――――――


 リリックは囲まれていた。

 ものすごい人々に。


『「エメラルド公爵バンザイ!」』

『「エメラルドの宝にバンザイ!」』


 僕の目を見てエメラルド家の者だとバレてしまい、あっという間に囲まれてしまった。

 倒したのは僕なのに家の手柄みたいに言われるのはちょっと不服だ。

 これまでの人生でこんなにも人の注目を浴びた事なんて無かった僕は照れ半分でもう半分は素直に嬉しくてドキドキしていた。


「失礼!通してもらえるかな?事情を伺いたいんだ。」

 人々の向こう側から少し低めの女性の声が聞こえた。

 声は低いがアンジーのように"私、不機嫌です"って感じの声じゃなくて、ハキハキとしたかっこいい声。

 皆、声の主に気づいたのか道を開け集まった人たちは壊された街の修繕に散らばった。

 やってきたのは騎士服を完璧に着こなした美しい銀髪で長身の女性だった。

 歌劇団に居たら間違いなく男役トップスターだろう。

 顎のラインがスッキリしていて瞳の色は薄いピンク。

 陽の光を浴びた桜のような色だ。

 目元は少し吊り上がった猫目で唇が薄くものすごく綺麗な人。

 こんなに綺麗な人は見たことが無くてしばらく見惚れてしまっていた。


「伺っても良いかな?」

 彼女は僕を見て一言声をかけるとニコリと微笑んだ。


「ひゃいっ!何でも聞いてください!」

 慌てて返事をするも声が裏返ってしまって、ものすごく恥ずかしい。


「このレッドベアを討伐したのは君かな?エメラルド家の者と見えるが年はいくつだ?」

 彼女は僕の恥ずかしい裏声に触れる事なく淡々としている。


「あ、はい!僕が倒しました。おっしゃる通り僕はエメラルド公爵家出身のリリック・エメラルド年齢は、じゅっ… コホンッ 8才です。ですがもう時期エメラルド家とは縁が切れると思いますので、実家にこの事を伝えるのは出来れば…その、無しでお願いします。」

 これ以上あの家族と関わりたく無かった僕は深々と頭を下げる。


「失礼。討伐に関係のないことを聞いてしまうが、縁が切れるとはどう言うことか伺っても?」

 彼女は少し眉間を寄せ尋ねきた。

 彼女も貴族であるから、それは気になることだろうとは思っていた。

 だけど、8才の子供に対して真摯に対応してくれる彼女にこれまで雑にしか対応してもらえなかった僕は好感度しかなかった。

 魔力も剣の才能も無くて家族に見限られたことと、これからモルガナイト辺境伯邸で世話になる事を正直に話した。

 すると彼女は突然腹を抱えて笑い出したのだ。


「はっはっはっはっは!それは何の冗談だ?魔力がない?レッドベアを討伐するほどの魔法が打てるのに?エメラルド公爵はよっぽど見る目がないのだな。」

 大きな口を開けて快活に笑う。

 そんな姿ですら美しく見えた。

 ひとしきり笑った彼女は目元の涙を拭ってから


「失礼、自己紹介が遅れたな。私はルイーザ・モルガナイト モルガナイト辺境伯の2番目の娘だ。年はお前の7つ上だ。」

 なにぃー?!

 これからお世話になる所じゃないか!7つ上って15歳?前世の僕より年下じゃん…

 びっくりして口が閉まらない僕をよそに、顎に手を置き続けて


「だが、今日の朝末息子を送ると手紙が届いたばかりなのにもう来たのか?数ヶ月先かと思っていて何も準備できていないぞ?」

「いやま、その色々ありまして…早めに出てきてしまいました…すみません。全然あの気を遣っていただかずとも家の前で野宿とかでもいいので、、どうか不束者ですがよろしくお願いします。」

 滴る汗を拭きながら深々と嫁入りのような挨拶をした。


「ははっ!野宿は流石にさせられんな、とりあえず屋敷に向かおう。お前の馬車はどこだ?」

 辺りを見渡して自分の乗ってきた馬車を探した。


「あれです…」

 恐る恐るその馬車を指差すと不思議そうに「馬はどうした?お前が引いてきたのか?」と言ったが、色々と察してくれたのか"冗談だ、私の馬車で行こう"と続けて言ってくれた。


 誰かが僕を見て笑う時はいつも嘲笑で冷たさしか感じなくて人の笑った顔がすごく嫌いだったのにこの人の笑顔は温かくてずっと見ていたいと思った。


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