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オンナ好きな王子様系女子を壁ドンでわからせる (2000字)

ねぇ、どうしたんだい?


さっきから、ずっと不機嫌そうだけど? 


待ち合わせに遅れたことだったら、さっき謝ったじゃないか。


だって仕方ないだろう。


女の子達に囲まれて、なかなか脱出できなかったんだからさ。


そんな、強引に抜け出すなんて出来ないよ。


もしも、女の子を傷つけてしまったらどうするんだい?


女の子は、みんな、お花なんだから。


折ってしまわないように、優しく、丁寧に扱ってあげないとね。


キミも男だったらさ、ボクのちょっとした失敗ぐらい、笑って許しておくれよ。


その方がイケメンだと思うんだけどな〜。


あ、ひょっとして、ボクが女の子達に、チヤホヤされてることに、嫉妬してるのかな?


キミは、本当にかわいいね。


ボクがオンナ好きだから不安になっちゃった訳だ。


安心して。


たしかに、ボクはオンナの子が大好きだけど、ボクが1番好きなのは、キミなんだからさ。


え? またイケメン台詞で誤魔化そうとしてる?


そんなことないよ。


誤魔化すなんて、とんでもない。


ボクはただ、本心を言っただけなんだからさ。


ん? なんだい?


何か言いたいことがありそうだね?


たまには立場を逆転させたい?


それはつまり、キミがイケメンとして振る舞って、ボクのことをメロメロにしたいのかい??


ふふっ、それは難しいんじゃないかな。


いやいや、キミがイケメンにはなれないと言ってる訳じゃないよ。


ただ、ボクが受けに回るというのが難しいだけさ。


だってボクは、生粋のイケメン王子様女子だからね。


キミに限らず、男の子にカッコイイ台詞を囁かれても『きゅん』みたいには、ならないと思うんだ。


カッコイイ、ボクが『きゅん』ってなってるところ、想像できるかい?


いいよ、じゃあ勝負してみようか。


キミがボクのことを『きゅん』って、させられたら、キミの勝ち。


『きゅん』って、させられなかったら、ボクの勝ち。


どうだい? こんなルールでいいかな?


よし、じゃあ、決まりだ。


早速だけど、勝負を始めようか。


ボクは逃げも隠れもしないよ。


さぁ、どこからでも、かかってきなよ。


……え? もうちょっと壁ぎわに寄って欲しい?


ふぅん。


なるほど、なるほど。


キミの考えていることなんて、全部まるっとお見通しだよ。


キミ、ボクに壁ドンをしようとしてるだろ?


ははっ。そんな顔しちゃダメじゃないか。


ボクの言ったことが『図星です』って白状してるようなものだよ。


女の子を堕とす時はね、ポーカーフェイスを忘れてはいけないよ。


さあ、何をしようとしているかはバレてしまっているわけだけど、まあ、やるだけやってみてごらん。


何事も挑戦と言うからね。


ボクがキミの壁ドンなんかで、「きゅん」ってなる訳はないけど。


ほら、壁ドンやってごらんよ。


ほぅ……。


思ってたより、やるじゃないか。


まぁ、キミにしては、なかなかの壁ドンだったんじゃないかな。


耳元で囁いたセリフも、キミが考えたにしては、なかなか良い言葉だった。


――って! あっ! ちょっと!


それは卑怯じゃないのかい?


いきなり、顎クイするなんて……。


んっ……。


たしかに、女の子をドキドキさせるには不意打ちは効果的だよ?


でも、さっきのは、壁ドンで一度勝負が付いてたわけで……。


それを無理矢理続けるのは、卑怯というか、何というか……。


あっ。やだっ。


キミってば、また顎クイをするなんて。


んっ、そんなっ、強引だよ。


ちっ、違うもんっ。


これは「きゅん」なんかじゃないもんっ。


ボクが「きゅん」って顔になんか、なる訳ないだろっ!


あっ、だめっ、そんなじっくり見ないでよっ!


んっ……もう!


分かったよ。


今日のところは、ボクの負けだ。


まさか、顎クイされるのが、こんなに恥ずかしいなんて……。


……ふぅ。


まぁ、キミも、なかなか、やるじゃないか。


だが、まぁ、壁ドンや顎クイに関して言うと、ボクの方が先輩なんだからね。


だって、そうだろう?


ボクは、もっと前から、女の子に壁ドンや顎クイをしてる訳だから、先輩と言っても問題ないはずさ。


そんな先輩のボクから見ても、キミの顎クイは素晴らしかった。


80点を上げてもいいかな。


いや、別に、上から目線とか、マウントを取っている訳ではないよ。


実際、ボクの方が壁ドン歴や、顎クイ歴は長い訳だし。


だから、先輩としてアドバイスしただけだよ。


ボクが負けず嫌いとか、そういうことは全然関係ないから。


ん? 何をしようとしてるんだい?


おい! もう勝負は、終わってるんだよ!?


今日のところは、ボクの負けだと認めたじゃないか。


だから、顎クイを、もう1回しようとするのはやめるんだっ!


全然照れてないけど、本当にやめてっ!


やっ……だめっ……。


今、耳元で『可愛い』なんて囁いちゃダメだよっ。


こんなことされたら、ボク、「きゅん」ってなっちゃう。


もう、戻れなくなっちゃうよ~。

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