オンナ好きな王子様系女子の弱みを握って猫耳メイドコスプレをさせる (3200字)
おや?
部室に猫さんがいるなんて珍しいね。
首輪をしてるから、野良猫ではないみたいだけど。
うーん。
演劇部の誰かの猫なのかな?
でも、なんで猫さんだけなんだろ?
飼い主は一体、どこに?
ひょっとして、猫さんが、勝手に学校に迷い込んでしまったとか?
(遠くへ呼びかけるように)
おーい、だれかー?
猫さんが、ここにいますよー?
飼い主さん、いませんかー?
……うーん。
やっぱり、誰もいないよね。
でも、これはこれで、チャンスかも。
ほら、おいでおいで。
にゃー。にゃー。
わっ♪ こっち来た♪
にゃー。にゃー。にゃー。
あなたのお名前は、何ですかにゃ〜?
ふふっ、猫さん、可愛い♡
にゃー。にゃー。にゃー。
ちょっと、抱っこさせてね~♡
人懐っこい性格なのかな?
初めましてなのに、全然暴れないや。
これぐらい大人しいなら、猫吸いもできるんじゃ……。
猫さ~ん、ちょっとお腹の匂いを嗅がせて下さいね。
くんくん。くんくん。
あぁ、これこれ、この匂いだよっ♪
すーっ。すーっ。すーっ。
……はぁぁ……幸せぇぇ♡
あっ、猫さん、暴れないでね。
もうちょっと。あとちょっとだけ吸わせてね~。
すーっ。すーっ。すーっ。
……あぁぁ……脳が生き返るぅぅ♡
すーっ。すーっ。すーっ。
はっ! いけない、いけない!
つい猫吸いに夢中になってしまった。
早く部活の準備をしないと……。
……って、キミ、いつの間に!?
ひょっとして、今の、見ていたのかい?
どこから見ていた?
ボクが猫さんに、何をしているところから見てたんだい?
そ、そうか。
ボクが猫さんに『にゃー』『にゃー』と猫語で話しかけるところから、見られていたのか。
それって、もう全部見ていたってことじゃないか……。
まったく、ひどいヤツだな……!
見ていたのなら、声をかけてくれれば良かったのに。
誰にも見られてないと思っていたから、あんな醜態を晒してしまったよ。
なんだい? なぜ、ボクにスマホなんか見せてくるんだい?
えっ……。
その動画は、まさか……。
さっきのボクと猫さんのやり取りを、録画したものかい?
それを、どうするつもりだい?
まさか……このボクのファンの女の子たちに見せるつもりじゃないだろうね……?
そんなことしたら、ボクの、カッコよくて、クールなイメージが壊れてしまうじゃないか!
このボクが猫さんにメロメロになって、『にゃーにゃー』と猫語で話しかけているところや……。
猫さんのお腹に顔をうずめて、『くんくん』して、恍惚な表情を浮かべてるところなんて……。
そんなの、ファンの女の子たちが見たら、きっと彼女たちを傷つけてしまう……。
悲しませてしまう……! そんなの嫌だ。
頼むっ!
それをボクのファンの子たちに見せるのはやめてくれっ。
動画を消してくれるなら、ボクは何でもするから……。
え……あ……そうだよ。
何でもするって、言ったけど……。
一体、ボクに何をさせるつもりだい……?
なんだい、この紙袋は……?
中に入ってるのは……服のようだけど……。
もしかして、ボクに、エッチな格好をさせるつもりかい……。
まさか、キミがそんなゲス野郎だったとは……。
幻滅したよ。
え? エッチな服より、もっと良いもの……?
ちょっと、待ってくれ。
何の服なのか、確認するから……。
これは……猫耳カチューシャとメイド服!?
ファンの子たちから、『イケメン♡』『顔面が良すぎる♡』『ビジュだけは良い♡』と言われる、このボクに、こんな可愛い格好をさせるつもりかい!?
こんな服を着たら、ボクから溢れ出るカッコいいイメージが、台無しになってしまうじゃないか。
ひょっとして、キミはどんな料理にでもマヨネーズをかけるタイプの人なのかい?
たしかにボクは性別的には女だ。
だが、女の子なら、誰でも猫耳メイド服を来たら可愛くなる訳じゃないからなっ!
可愛い服っていうのは、似合う人が着て、初めて可愛くなるんであって……。
はぁ!? 誰でもじゃなくて、『ボク』が可愛い服を着てるのが見たい……?
なっ……。そんなこと言われたの、初めてだよ……。
だいたい、それにしたって用意が良すぎないかい?
なんで、こんな猫耳メイド服なんて、持ち歩いてるんだよ。
……もしかして、この猫さん、ひょっとしてキミの飼い猫かい?
やっぱり!! つまり、キミは、ボクのことをまんまと罠にハメた訳だ。
そこまでして、このボクに、猫耳メイド服を着せたかったのかい?
はぁ……もう呆れたよ……。
まぁ、いいさ。
着てあげるよ、猫耳メイド服。
でも、その動画はちゃんと消してくれよ。
約束さえ守ってくれるなら、文句はないさ。
じゃあ、着替えるから、部室から出て行ってくれるかい?
ボクが着替えてる間は、廊下で待っててくれ。
猫さんも、飼い主さんのとこに、戻ろうね。
一応言っとくけど、着替えてるところ、絶対覗くんじゃないよ?
おーい。
着替え終わったから、部室入っていいよー。
どーだい? 固まってないで、感想ぐらい言いなよ。
まぁ、どうせ、似合ってないと思うけどさ。
はぁ!? 『めちゃめちゃ可愛い』だって!?
そ、そんなはずないだろ!
キミ、眼科に行った方が、いいんじゃないのかい?
なんだよ。
可愛いポーズと、台詞も言って欲しいだって?
そんなの、嫌に決まってるだろっ。
約束は、この服を着るところまでのはずだ。
はぁ!? いやいやいや、別に可愛い演技ができない訳ではないよ??
ボクは、演技力つよつよだよ。
可愛い演技だって、やろうと思えば、もちろんできるさ。
そこで見ていたまえ。
(高い声を出す前の咳払い)
ん……ん……こほん……。
(少し高めの声で)
ご主人しゃま~♡
お帰りなさいませだにゃあ♡
私にご奉仕して欲しいのにゃ?
それなら、カリカリを寄こすにゃ。
高級猫缶でもいいにゃ。
……にゃにゃ!?
マタタビを近づけるのは、やめるにゃ!!
嫌いじゃないけど、フワフワして、変な気分になっちゃうにゃ……。
……ふぅ。
どうだ? これで満足かい?
ちょっと!! 『可愛い』『可愛い』って、あんまり言うなっ!
別に、照れてなんかないしっ!
『可愛い』って、あんまり言われ慣れてないだけだからっ!
ああもう、感想はもういいって!
何でもいいから、さっきの動画を早く消してくれっ!
うん、そうそう、その動画。
ちゃんと削除ボタンを押すところまで見せてくれよ。
ふぅ……良かったぁ。
これで、ボクが『にゃーにゃー』言ってる動画は消えたわけだ。
ボクのクールでカッコいいイメージも、無事守られたね。
ん……? なんだい?
今度は、小悪魔コスプレをして欲しいだと!?
そ、そんなの着る訳ないだろっ!
動画はさっき消してもらったから、もうキミの言いなりに必要はないんだし……。
だいたい、小悪魔コスプレって、どんなコスプレなんだい?
あの、悪魔のツノとか、羽とか、シッポが生えてるやつかい?
スマホに写真があるの?
どれどれ……。
こっ、こんな可愛い服、ボクに似合う訳ないだろっ……!
はぁっ!?
絶対似合うとか、嘘つくなっ!!
こんなの着ても、ボクに似合うはずないしっ……。
絶対可愛いとか、言うなっ。
きっと、キミが変わり者なんだろ。
他の人とは、センスが違うっていうか……。
うぅぅぅ……。
いいよ、そんなに言うんだったら、1回だけなら着てあげてもいいけど……。
でも、もし似合わなくても、キミの責任だからなっ!




