震える
※ホラー要素があります。
「画像検索」は行わないでください。
犯人はヤス。
俺の知る限りだが、人類史上最大のネタバレなセリフなのではないかと思う。
そして今まさにそれを越えんとする壮大なネタバレが起こった。
しかも酷く良く分からないフレーズでだ。
とりあえず「黒い」そう捉えるだけのインパクトがあれにはあった。
つまりな所、そういう事なんだろう。
葉向さんが【墨汁並みに真っ黒になる】であり、
残った【カバンから砂を出す】方が斎場愁なのだ。
さておいて、とりあえず葉向さんである。
山田先輩によるゲリラに近いネタバレのせいか、俺のやる気がありえない程
落ち込んだのを感じているのだろう。先ほどから、苦笑いである。
さて、そこのイケメン。
見せてもらおうか、墨汁並みと津崎に言わせたその能力を・・・!!
「じゃ、いくね」
と、セカンドバックを地面に置き目つぶりだす。
そして、それは起こった。
靴の先から徐々に黒いモヤみたいなものが上へ上へと昇っていく。
足を包み込み、脛へ膝へ。さらに上へ上へと昇っていく。
実は津崎に連れられてファミレスに行く以前に、
【墨汁並みに黒い】とはどんなものだろうと思い、イメージするがてらネットで
ちょちょいと画像検索を行った。
【墨汁並みに黒い】と画像検索を行った際は、イメージとは違った画像が沢山
出てきたりした。その中でも『イカ墨パスタ』や『城の○人ポーン』なんて物をみた際はナンダコレ・・・と、肩すかしをくらった気になったのだ。
これではない。
俺の思い描く黒いもの・・・黒いもの・・・
考えた末に
【黒い影】 と 俺は画像検索にかけた。
昼間で本当に良かったと思う。
明るくてあのインパクトだ。
夜、電気を付けずにあんな事をしたら正直夢にまで見るだろう。
そこまでの衝撃があった。
そして今、目の前に・・・・葉向匠がいる。
全身余す事無く、黒いモヤみたいなのがかかっている。
もぞもぞと動くそれは一種のホラーだ。
なにより、
「やァ、見エテルカナ?まだアカルイからネダイ丈夫だとは思うんダケど」
声色が色々と変化するのだ。
それは高くなり、低くなり、エコーがかかったかと思うと野太くなる。
急にトランス調になったと思ったら地声になる。
正直言って恐ろしい。
思っていた以上の怪奇現象が目の前にある。
山田先輩は見慣れているのか平気なのか、
「流石は我が賢兄・・・すばらしき器よ・・・!!」
と震え
魚は、
「怖く怖くない。あれは匠さんよ匠さん・・・・うぅっ・・」
と震え
それを見た、津崎は
「魚たん・・・震える魚たん可愛いよ・・・・・」
と震え
恍惚とした表情の唯さんは、
「ふふふ、やっぱり匠さんは凄いです」
と震え
斎場兄妹は、
「よっし!!俺の7段ジャンプだぜ!!彗お前は?」
「4つが限界だった・・・また挑戦する!!」
石投げに奮いたっていた。
なるほど、これが漆黒の”混沌”たる無限のなんたらかんたらか。
妙に納得してしまう混沌とした光景がそこに広がっていたのだった。
葉向さんが元に戻った後、なんだ自分でも戻れるんですね。と話しかけ、
ついでに俺が考えていた着ぐるみ説の事を伝えると、
「いや、だったら今でも黒いままな上に着ぐるみ姿じゃない」
完全論破で、震えた。
斎場愁の番となった。
消去法から言って、残るのは1つだ。
彼は【カバンから砂を出す】という能力の持ち主だろう。
妹の彗で大変な目にあったのは、数十分前の事だ。
俺はもうカバンから砂の何かがきても、驚かない。
そう心がまえた瞬間に、彼はこう言った。
「ごめん兄ちゃん、カバン忘れちった・・・・また今度な!!!」
あの無駄に長考した時間は・・・・・お前が原因だったんだぜ・・・・、
震えた。
※ホラー要素があります。
特に夜に「画像検索」は行わないで下さい。
でもイメージとするのはあんな感じですので気になる方は絶対に
「画像検索」を行わないように。
絶対ですよ。