大した事の無い日常を持った俺は、
来た時はある程度明るかった河川敷も、いよいよ陽が地平線ぎりぎりと下りた
為か、川向うの建物の影が伸び辺りを薄暗くしている。
所々建物の隙間から夕日が差し込む光景は、いつも目にする日常の一つだろう。
人差し指から火を出す男子高校生 津崎健次郎
手から水を出す女子高生 魚仁美
下から上へ風を吹かせる変態 山田先輩
髪から砂が出る双子の妹 斎場彗
カバンから砂を出す双子の兄 斎場愁
頭から光を出すシスター 各務唯
墨汁並みに黒くなる大学生 葉向匠
7人が一斉に並ぶその姿は、見た当初のイメージとは違っている。
こいつらはあえてその位置を選んだのだろうか、夕日が背にあたって
彼らの表情は良く見えない、が山田先輩が好きそうな演出となっていた。
彼らはお互いに顔を見合わせた後、意見が合致したらしい。
「「「「「「「ようこそ『We with the extraordinariness which amounts to little!』へ」」」」」」」
一言一句違えず、同時に告げていた。
夕日をバックグラウンドにし、7人が一斉に発言するその姿は、どんなに
残念で使えなくて最悪でも、俺には彼らが格好良く映っていた。
知り合って間も無く、彼らと過ごし彼らの非日常を見せて貰ったこの時間は、濃密で、これまでの生活の中で味わう事の無かった興奮に満ちていた。
昨日までの俺とは明らかに違う俺になっているのがわかる。
目の前で日常生活ではありえない現象を見せられ、今までの常識が崩れたのだ。
昨日までの俺とは違って当たり前だ。
悪い気はしない
彼らと過ごせば、今までにないものが見られるかもしれない。
彼らと過ごせば、日常が非日常へと変わっていくかもしれない。
彼らと過ごせば、今から歩むであったろう道が、大きく変わるかもしれない。
悪い気はしない
ここが分岐点。
俺の日常の分岐点だ。
答えは決まっている。
「いやだ」
日常を手放す?
それを捨てるなんてとんでもない!!
俺はこれからも、大した事の無い日常を歩むのだ。




