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いざ岡山県備前市へ!

 今、俺といずみはファミリーレストランの中にいる。「嘉笑苑」を出たのがだいたい11時30分ごろで、今はちょうど正午ごろだ。お腹が空いてきたのと、今後の打ち合わせのために俺といずみは国道沿いのファミリーレストランに寄ったのだ。


「何にせよ、お腹が空いたわよね。」

「ごもっともです。」

 俺は激しく同意した。今なら、カツカレー10人目くらいは食べられそうなぐらいだ。俺といずみはメニューを見た。どれも美味しそうだった。今日の日替わりのランチは「和風おろしハンバーグと唐揚げ」のセットだった。スープバーとパンまたはライスが付いていた。俺といずみはこのセットにして、別でドリンクバーを頼んだ。

「さて、柊太。今日の宿だけ先に押さえておきましょう。」

いずみがドリンクバーで入れてきたアイスティーを飲みながら言った。

「そうだね。どこら辺がいいかな?」

「そうね。どうせならこちらの方の住所に近いところか、備前市役所に近いところがいいわね。」

「市役所?どうして?市役所に行くことなんかあるかな?」

「行かなくていいなら、それに越したことはないけど、場合によっては市役所の観光部門か、観光案内所を訪ねて行かなくてはいけないと思うわ。」

「それは何故かな?」

「それはね、調査が行き詰まった時に、あの風景写真を見てもらって心当たりがあるかを聞くためよ。」

「なるほどね。分かったよ。条件に近い宿を探してみるよ。」

 俺はスマホを取り出し、検索を始めた。備前市の海沿いに手ごろな値段のリゾートホテルがあった。全室からオーシャンビューを楽しめ、朝夕の2食付きで2名のツインルームで2人で2万円強のところがあった。

「ここはどうかな?」

おれはスマホの画面をいずみに見せた。

「私的にはビジネスホテルでも良かったのだけど、いいかもね。ここを予約しましょう。」

 いずみも同意してくれたので、俺は早速このホテルを予約した。いずみと相談して、今後の展開を考えて一応4泊の予約にしておいた。夕食の方も展開を考えて1日目だけホテルで食べる形にした。

 2日目以降の夕食は基本的に外食とし、もし宿泊の必要がなくなったら、キャンセル料を支払えばいいだろう。現地で、泊まる場所がないよりはマシだ。

「オッケー、予約出来たよ。」

「ありがとう。」

 

 ちょうど料理が来たので俺といずみは食欲を満たすことにした。さっぱりとした大根おろしをあしらったハンバーグと、大き目の唐揚げが3つ乗った鉄板だった。ポン酢も添えられており、ポン酢をかけると、香ばしい香りが楽しめるようになっていた。セットで俺はライスで、いずみはパンを注文していた。

「おいしそうね。いただきます。」

 俺といずみはお腹が空いていたせいもあるのか、ほぼ無言で食べていた。食べ終わって、店員さんがお皿を下げてくれた。

「ごちそうさまでした。おいしかったわね。お腹いっぱいだわ。」

いずみが食後のコーヒーを飲みながら言った。

「そうだね。無心で食べていたね。本当に美味しかった。」

俺もブラックのアイスコーヒーを飲みながら言った。

「さて、この後は、すぐに家に帰って準備をしましょう。それから、岡山に向かって急行ね。」

「分かったよ。」

「今回は何となく、「術」のにおいがするから巾着袋も忘れないでね。」

 このあたりの「術」とか巾着袋の詳細は、「気まぐれヘルパーのちょっと不思議な事件簿①早く逃げなさい!」をご参照ください。とか何とか言って別作品に誘導しようとする作者のセコイ思惑は別として、話を進めていきましょう。

「何か調査で行くんだけれど、旅行気分になっちゃうね。」

「私もそうよ。ある程度羽目を外すのはいいけど、本来の目的を忘れない程度にね。お酒は飲んでもいいけど、ほどほどにね。」

 早速、ジャブを入れられてしまった。藪蛇とはこういうことなのだろう。会計を済ませて、俺たちはファミリーレストランを出た。それからすぐに亀岡から京都市内へと車を走らせた。1時間ほどして俺の家のマンションに到着した。


「そしたら1時間後に来るから、下で待っててね。」

 そう言っていずみの車は走り去った。残された俺は、足早に部屋に戻った。部屋の中はとんでもない暑さだった。俺はすぐにクーラーを入れて準備を始めた。大き目のスポーツバッグに着替えやハンドタオルなどを詰め込んだ。あとは、調査で動き回るだろうから普段使っているリュックも持っていくことにした。スマホや充電器も忘れずに用意し、巾着袋も確認した。

 準備が早めに終わったので、柏原施設長からいただいた資料を確認しようと思ったが、いずみが持っていて見ることができなかった。俺は少しでも何かの足しになるようにスマホで備前市について調べたりしていた。そうこうしているうちに約束の時間になったので、俺はマンションの下に降りて行った。少し早めに降りたのでいずみはまだ来ていなかった。それから、ものの数分でいずみがやってきた。


「ここのところ早く降りてきてるわね。エライぞ、柊太。」

いずみが笑いながら言った。俺は、助手席に乗り込んだ。

「じゃあ出発するわね。」

 いずみが、車を発進させた。京都市内を南下して、京都南インターチェンジから名神高速道路に乗ることにした。その後は、吹田ジャンクションで中国道に入り、神戸ジャンクションから山陽道に入る予定だ。途中のサービスエリアかパーキングエリアで休憩を取りながら、夕食の時間までにホテルに到着出来る予定だ。

 夕食の時間は遅くしてあり、19時30分で予約をしている。部屋食ではなく、ホテル内のレストランでの食事である。着いたらすぐに食事だろうと思われる。

「明日はね、朝の10時に先方様のご自宅に伺うわよ。」

いずみが車を走らせながら言った。

「えっ、いきなり行っても大丈夫かな?」

「私が準備がてらアポを取ったから大丈夫よ。最初は怪しまれたけど、「嘉笑苑」や「柏原施設長」のお名前を言ったり、「寄付していただいたピアノについてお話をお聞きしたい」と言ったら警戒を解いてくれたわよ。」

「そうなんだね。ありがとう。」

「調査期間が移動も含めて5日間しかないから、段取りが命よ。できるだけ、効率的に動いて行きましょう。」


 そのまま車を走らせていて、少し強行軍になったが、中国道が混む恐れがあり早く抜けたかったので、山陽道に入るまでは休憩を我慢した。山陽道に入って淡河パーキングエリアで休憩をとることにした。

 ここは住所で言えば、兵庫県神戸市北区淡河町にあるパーキングエリアだ。ここで、俺といずみはトイレ休憩を取り、少し体を伸ばした。ここからは運転手は俺に交代だ。俺も運転免許は持っているので大丈夫だし、いずみの車の運転をしたり、仕事でも行き先によっては事業所の車を使うこともある。

「さあ、出発するよ。」

「よろしくね。」

 ここからは、兵庫県の三木市や加古川市、姫路市を抜けて岡山県へと向かって行く。時間があったら、姫路城なんかにも寄ってみたいが今回はそうは言っていられない。車は順調に兵庫県内を西進していき、播州の赤穂に差し掛かった。もうすぐで、岡山県に入る。

 やけに静かだなと思ったら、いずみは寝ていた。俺は、いずみを起こさないようにオーディオの音を少し下げた。遂に車は岡山県に入った。俺は少し疲れたのでパーキングエリアに入ることにした。福石パーキングエリアというところがあるので、そこに車を入れることにした。パーキングエリアに入り、車を停めるといずみが起きた。

「あれ?もう着いたの?ごめんね柊太。私、寝ちゃったみたいだわ。」

いずみが伸びをしながら言った。

「ごめん。まだ着いていないんだけど、少し疲れたから休憩しようかと思って。」

「柊太、大丈夫?普段あまり運転しないから無理もないか。ここからは私が運転するわ。」

「いずみこそ大丈夫か?さっきまで寝てたけど。」

「おかげさまで、スッキリよ。少し休憩をしたら出発しましょう。」

俺といずみは少しゆっくりして一息入れた。

「さあ、出発するわよ。」

 目的地は備前市であるが、車は一旦備前市を通り過ぎて和気町に入った。そこにある和気インターチェンジで山陽道を下りた。久々の下道になった。ここからはひたすら海の方に向かって車を走らせた。車はまたすぐに備前市に入った。目的地はもうすぐだ。かなりの時間、車の住人になっていたが、目的地の「備前オーシャンホテル」に到着した。 

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