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次の謎を追って 湯郷温泉①

 レジで会計を済ませて俺たち三人は再び車の人になった。ハンドルは相変わらず俺が握っている。ここからは国道374号線をほぼ真っすぐ北上していくことになる。少しゆっくりできたので、身体は楽になった。

 そこからは、備前市を抜け、和気町を通過して美作市に入った。美作市の湯郷地区に入ったところで昼食を摂ることにした。何か名物はないかと調べてみると、アマゴと素麵がヒットした。ちょうど道なりに定食屋があったのでそこに入ることにした。

 時間は12時半少し前だったので、店内は混んでいた。テーブル席が上手いこと空いていたのでそこに座ることができた。メニューを見ると「アマゴの塩焼き定食」があったので、3人ともそれにすることにした。アマゴの塩焼きに、酢の物、小鉢にみそ汁とごはんがついた定食で、税込み1,300円だった。店員さんに注文をして、今後の行程を検討した。


「まずは、ここから近い「山の湯質店」に行きましょう。」

いずみが言った。

「そうだね。まず、近いところから潰していこう。今度は、いったい何が出てくるのやら。」

俺は独り言のように言った。

「そうね。これで終わりだったらいいんだけど、まだまだとき江さんとのゲームは続くかもしれないわね。」

いずみが肩をすくめるように言った。

「それに、黒焔院や太一郎お兄さんの動きも心配です。」

あずさちゃんも言った。

「なんだか、複雑に絡み合ってきたわね。まあ、今は気にせずにお昼ご飯を食べましょう。」

 ちょうどそこに店員さんが料理を運んできてくれた。お腹が空いていたので、むさぼるように食べてしまった。アマゴはクセがなく、塩加減がちょうど良くてとても美味しかった。3人ともほぼ無言で食べ進めた。

「なんだか夢中で食べちゃったわね。美味しかったわ。」

いずみが口を拭いながら言った。

「本当ですね。川魚はそんなに食べたことがなかったですけど、とても美味しかったです。」

あずさちゃんも同意するように言った。

「さあ、行きましょう。」

いずみが伝票を持って立ち上がった。

「ここは私が払いますよ。昨日から払ってもらってばっかりですから。」

あずさちゃんが慌てていずみから伝票を取り上げようとした。

「いいのよ。あずさちゃんはいっぱい手伝ってくれているから気にしないで。手伝ってくれている間は気にしないでね。」

いずみが優しく言った。

「本当にありがとうございます。ごちそうさまです。」


 俺たち3人は車に戻った。なんと!閉じたはずのミラーが開いているではないか!俺は思わず苦笑した。

「これはまた、随分真っすぐなごあいさつだね。」

「そうね。ということは密陀僧(みつだそう)もこっちに来ているってことだわね。俺たちに手柄をよこせといったところかしら。」

 いずみも苦笑しながら言った。この流れがピンと来ない方は、前作の「気まぐれヘルパーのちょっと不思議な事件簿①早く逃げなさい!」をご参照ください(笑)。

 というような、セコイ作者の思惑は置いておいて話を進めましょう。そうです、次はここから近い「山の湯質店」に向かうところだったのです。

 「山の湯質店」に向かう前に、湯郷温泉について簡単に解説しておきましょう。湯郷温泉は、岡山県の北エリアにある、湯原温泉、奥津温泉と並ぶ美作三湯のひとつであり、岡山県を代表する温泉地である。温泉街には、大小のホテル、旅館、民宿が15軒ほど立ち並ぶほか、無料の足湯や日帰り温泉があり、他にも源泉が湧く塩湯社や湯神社などがあり、さまざまなお客さんで賑わっている。

 

 俺は、ナビを再確認して車を発進させた。そこから15分ほど進んだところに「山の湯質店」はあった。駐車場に車を停め、さっきの「夕立受山」の件があったので、ここでも念のために結界を張る『銀紐の術』を使っておくことにした。「術」が完成してから店内へと入った。

「いらっしゃいませ。どういったご用ですか?」

 店主が警戒しながら聞いてきた。そりゃそうだろう。若い男女3人が来店するなんて滅多にないからなと思った。

「すみません、この質札はこちらのお店の質札ですか?」

いずみが「5」と書かれた木の札を取り出して聞いた。

「いや、違うね。うちのではないね。お客さんたちはいったい何の用だね?」

店主が険しい表情で聞いてきた。

「ここではなかったら結構です。お手数をおかけいたしました。」

 いずみがそう言って、さっさと踝を返した。俺とあずさちゃんもそれに倣い、早々に店の外に出た。

「危ないところだったわね。あまり、長居していると通報されるところだったわよ。」

「俺もそんな気がした。早々に次のところへ行こうか。すぐに車を出すから、ナビの設定をよろしく頼む。」

 俺は全員乗り込んだことを確認して、すぐに車を発進させた。もたもたしていると本当に通報されかねない。こちらに悪い点はないが、いちいち説明している時間がもったいない。

 いずみが設定してくれたナビを頼りに俺は車を進めた。次に行く「湯郷質店」はあと10分ほどだ。それから、すぐに「湯郷質店」に到着した。

 ここで、間違いないと思うが、ここがハズレだったら、一からやり直しになる。それは勘弁してほしいなと思った。ここでも、念のため『銀紐の術』を使っておいた。そして車を降りて、俺たち3人は店内に入った。


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