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18/30

明日に備えて

「そうね。今日、「夕立受山」を見に行っておおよその目星はついたから、明日は穴掘りね。朝一番で、スコップとか軍手を買いに行きましょう。」

いずみが言った。

「その辺りは、私がご主人様にお願いして用意してもらうようにお願いしてみます。ピアノの調査に必要なものだし、ご主人様もあの通りの性格だから喜んで貸してくれると思います。」

あずさちゃんが言った。

「そしたら、お言葉に甘えようかしら。」

いずみが言った。

「分かりました。ご主人様に連絡しておきますね。」

 あずさちゃんはそう言ってスマホを取り出し、連絡を入れていた。しばらくして、返信があったようだ。

「準備しておいて下さるそうです。時間は何時にしますか?」

あずさちゃんが言った。

「そうね。朝早すぎると、朝日を見に来る人がいるし、ご主人にも悪いしね。何時ごろがいいかしら?」

逆にいずみがあずさちゃんに聞いた。

「そうですねえ、朝8時半ごろでいいんじゃないですか?」

「分かったわ。そうしましょう。あずさちゃんはどうする?バイクで来る?迎えに行こうか?」

いずみが聞いた。

「ありがとうございます。迎えに来ていただけますと助かります。」

あずさちゃんが嬉しそうに言った。

「あずさちゃんの住所はどこかしら?」

「はい。私の住所は備前市××「メゾン備前大学」です。そしたら8時15分に建物の前にいますのでよろしくお願いします。」

「分かったわ。8時15分に迎えに行くわね。」

 デザートを食べ終わり、食後のドリンクもいただいた俺たち3人は明日に備えて帰ることにした。

 サービスをしてくれた大将にお礼を言って代金を支払い店を出た。

「本当にごちそうさまでした。」

あずさちゃんが丁寧にお礼を言ってくれた。

「いいのよ。私たちはここの土地勘がないから夕食はどうしようかと思っていたところだから助かったわ。とても美味しかったし、あずさちゃんがいてくれたおかげでいろいろとサービスしてもらえたしね。」

いずみが言った。俺も同感だった。お酒は飲めなかったが、それを超える満足感が味わえた。

「気を付けて帰ってね。明日の朝8時15分に迎えに行くからよろしくね。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」

 あずさちゃんはヘルメットをかぶり、バイクにまたがって帰って行った。俺といずみも車に乗り込んでホテルへと向かった。

「本当に美味しかったわ。また、場合によっては明日の夕食もあずさちゃんにお店を聞こうかしら。」

「そうだね。俺もいずみもこの辺の土地勘がないから助かるね。あずさちゃんがいなかったら無難に全国チェーンのファミレスか何かになっていたと思うしね。」

「同感だわ。」


しばらくしてホテルに戻ってきた。車を停めて、フロントでキーを受け取り部屋に戻った。

「まだ、お風呂は余裕で間に合うわね。私はお風呂に行ってくるわ。柊太はどうする?」

「俺もそうするよ。」

「あら、そうなの。面倒くさいから部屋のシャワーで済ますかと思ったわ。」

「ははは。さすがにホテルの大浴場には行くよ。」

 俺は苦笑いしながら答えた。いったいどこまで面倒くさがりだと思われているのやら。俺といずみはお風呂の準備をして部屋を後にした。間違いなく俺の方が戻ってくるのが早いのでキーは俺が持っていくことにした。

 昨夜と同じ大浴場で、時間が昨夜よりも早いせいか客の数は多かった。それでも、身体をゆっくり伸ばしてお風呂に入ると気持ちよかった。俺にしては長めに浸かっていたが、すぐに飽きてきたので早々に上がることにした。

 部屋に戻る前に、自販機コーナーでジュースとビールとおつまみをいくつか買って部屋に戻った。早速飲みたかったが、いずみが戻ってくるまでは待とうと思った。俺は海の見えるソファーに座ってぼんやりと待っていた。しばらくして、いずみが戻ってきた。

「やっぱり柊太の方が早かったわね。」

いずみが戻ってきて俺の前のソファーに腰かけた。


「あら?こんなところにおつまみがあるわね。ひょっとしてお酒買ってきたの?」

「そうだよ。ビールとジュースを買ってきたよ。冷蔵庫に入れてあるけどどうする?」

「そうね。せっかくだから1本だけいただきましょう。柊太ももちろん飲むでしょ?」

いずみが聞くまでもないという風に言った。

「そりゃそうだよ。でも控え目にしておくね。明日も朝が早いからね。」

そう言って俺は冷蔵庫からビールを2本持ってきた。

「ありがと。乾杯しましょう。」

「今日もお疲れさまでした。」

俺はフタを開け、ゴクゴクとビールを喉に流し込んだ。この感覚がたまらない。

「おいしいわね。今日もいろいろあったわね。」

いずみが今日一日を振り返るように言った。

「そうだね。でも、調査が着々と進んでいるから良かったよ。あずさちゃんには驚かされたけど。」

「そうね。迂闊だったわ。あずさちゃんの言う通り、明日からはもっと用心して行きましょう。」

 明日以降の朝食は一番早い時間が7時からなので、その時間でお願いしている。明日は朝食を食べたらほどなくしてホテルを出て、あずさちゃんを迎えに行かなくてはならない。俺は今のうちに地図の確認をしておいた。

「明日はどんな展開になるんでしょうね。」

いずみがビールを傾けながら言った。

「そうだね。今日以上のことは起こらないように祈るしかないね。」

俺はできるだけ穏やかな日になるように祈った。

「今日も早めに寝ましょう。明日は動き回る服装にして、あと、汗もかくでしょうからタオルや水分も用意しておかないとダメよね。」

いずみが、ゴソゴソとカバンをいじりながら言った。

「そうだね。俺も準備しておこう。」

 俺といずみは明日の準備をして、早々にベッドに入った。俺は疲れていたのか、さほど飲んでいないにも関わらずすぐに寝入った。


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