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銀の弾丸《シルバーバレット》  作者: オーコ
1章プロローグ『episode:dreamer』

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6/10

1-4  『もし、願いが叶うなら』

戦闘描写は難しい。一撃が重いならなおさら。

時間を遡り約1時間前、虎の獣人ーーリベルについて話そう。


「なぁ、聞いてたか?リベル」


「……すまん、聞いてなかった」


ある虎の獣人は友人である狐の獣人の言葉を上の空で聞いていた。

というのも、リベルは少し前に愛好していた大剣がへし折れてしまい、かつ「修復不可」と言われてしまったのだ。

 戦う者にとって武器は自身の一部とも言うべき大切なもの。それが折られるという事は自身の心も折られるに等しいのだ。


「やっぱ怒ってる?」


「……?怒ってはねーぞ。ただお前を助けるために犠牲になった武器が寂しいなぁーーつって」


「やっぱ怒って!えーー……ないな。お前が嘘つけるタチじゃないし。……ありがと」


「どういたしまして」


 2人はバディを組んでおり、先ほど上からの命令で依頼をこなして来たところだった。


「上の人もケチだよなぁ。なんで仕事で使う武器に補助費が出ねぇんだよ」


「あの大剣一個作るのにどんだけの給料吸われてるの?実際気になる」


 リベルの手に持っていたフォークを相手に向けて、少し呆れた物言いで言い放つ。


「お前の給料半年分」


「……はあ!?そんなにかかるのかよ!?」


「小さいもん振り回してもすぐ壊れるからな。耐久性を考えると良いモノを大量に使わないといけないだ」


「こんの馬鹿力がよぉ……」


「お前らが弱すぎるだけだ」


「まあ」


「とりあえず」


「「乾杯!!」」カンッッ!!






「はぁ~~飲んだ飲んだ。……ッチ、あいつは完全につぶれてるし、もういいか。勘定を……」




 その時、虎の獣人は()()。それはあの時のヴォルガードと同様の、視覚だけでなく聴覚、触覚、その他多種多様な感覚が優れた獣人だから出来る、相手を察知する能力。例えば、相手の嘘を見抜いたり、動揺を見抜いたり……そして、大きな感情すらも見抜く事が出来る。

 彼が見たのは、ただの人間が……そう、現在寝ている零が発していたものは、今まで見た全ての生物より禍々しく、そして強大な【殺意】。


 これはリベルの名誉のために言うが、決してその敵意に恐れおののいたわけではない、むしろその逆。大勢の人がいるこの食堂において、その強大な敵意は一般人を萎縮させる。つまり、他人に迷惑をかけておいてのうのうとしているのが気に入らなかったのだ。

 しかし、それを伝えなければ結局意味はない。さらに、酔って能がないなら悪手にも働いてしまうのだった。




「気に食わねぇ、その我が物顔してるところが気に入らねぇ!!」


 振り上げられた拳は、そのまま真っ直ぐ零に殴りかかってくる。受け止める?いや反応がすでに遅れている。相手は上から拳を振り上げてきているのだ、腕でガードしようにも間に合わない。椅子に座っているから屈んで回避は難しい。ならば、


「っつ!!」


 座っていた椅子から、体は反りつつ腕や足に全力で力を込めて前進する。それは傍から見れば椅子から滑り落ちる様な動き。落ちるということはつまり体が低くなる。


「んなっーー」


 つまり、ギリギリで回避ができるということだ。だが拳の周りにできる強烈な風圧を感じた。「もし当たっていたら」なんて想像したら背筋が凍る。


「んぐっーーお返しだよ!!」


 自身の右足で虎獣人の右足に蹴りを入れる。


「ぐわっ!?」


 想像より簡単に転げてしまい少し拍子抜けする。が、事態が好転したわけではない。冷静に立ち上がり、そして距離を取り状況を整理する。


 まずはあの虎の獣人。軽く見ただけだが得物はなく拳のみで戦おうとしてくる。酔ってるからなのか、大振りだったりバランスが悪く崩れやすいのが幸いだ。運がいいのか悪いのか、合わせて悪運が強く働いたのが今生きている要因だ。だが獣人であるというのが怖い。子供であるフギンですら速度や膂力で負けているのだ、こいつ相手だと力はすべての面で確実に負ける未来しか見えない。

 距離を取れている以上、逃げる……というのは無理だ。未だフギンが寝ているため店から離れることはできない。置いていくなんてことは絶対にやりたくない。


「戦う……しかないのか」


 周りを見るとさっきまでいた人たちが離れている。目線から察するに大体の状況は理解してくれてそう……だが手出しはしたくないという感じだろうか。変に手出しが来ないだけマシと考えよう。


ゴッ


「何か当たっ……刀…………」


 瞬刻、伸ばした手を止める。これは自分のものではない、誰かの持ち物だ。だが、この場を切り抜けるためには武器がなければいけない。武器無しでこの相手に勝つ想像が一切できない以上はマストアイテムなのだ。


「ーーッッ!!すみません見ず知らずの方!借りますよ!」


「へぇ、あいつ相手に怖気ずかないか。いいだろう!貸してやるよ」


 声が来た方向へ振り向くと、そこには1人だけ椅子に座り呑気に飲んでいる獣人がいた。しゃがれた声でおそらく老人のように思えるが、なぜか全容が見えない。


「今は目の前に集中……」


「準備はいいのか?来るぞ」


「グルルル……」


 人というより獣に近くなっている。人間らしさを感じられない動きに少したじろぎしつつ、あのときの思い出がフラッシュバックする。そうそれは、()()()()のーー


「そういった奴らとは何度も死闘をしたんだ。これくらいで止まっていられないんだよ」


 そう啖呵を切り、戦闘体制に入る。刀の柄に手を添えるように持つ。右手を前に、少し間を空けて左手を後ろに。そのまま刃を上にする形で頭の横まで持ってくることで構えが完成する。


「……その構え……」


 老人はその構えに何を思ったのかのか、今はわからない。

 ただ、一つだけ感じた。


()()()

 


創作意欲が湧きすぎて逆に作れないときってあるよね。今そんな感じになっています。

という訳で(?)あとがきで設定暴露

・獣人がする「視る」について

___「獣人特有の命を知覚する能力を持つ。別の言葉で言うなら”魂が見える”と表現できる力がある。

人でも動物でも、命ある限りそれは必ず魂を持つ。そして生物は魂から生成されるエネルギーにより生きていけるわけだが、その性質はとても特殊。


まず、魂ごとに性質が異なる。ここに関しては「同一の魂は存在しない」とだけ理解してれば今はいい。

次が大切で、本人の強い感情や強靭な意思に合わせて強くエネルギーが発せられること。

このエネルギーを何らかの形で物質化したり、具現化することができればなにかに活かせそうだが……まあ、そこは今は関係ない。


獣人はそのエネルギーを知覚することができ、感情によってエネルギー量は変わる……なら、そのエネルギーを判別できれば逆説的に相手の感情を見抜くことが出来るということだ。

感覚的な話になるので分からないかもしれないが、獣人にはそのエネルギーが色のように見えるらしい。

明るい感情ほど明度と彩度が高くなり、暗い感情ほど逆に低くなる。そうやって感情を見分けることが出来る。

親子だったり、性格が似ていると色も似るのは、魂が似ているということだろう。


つまり魂ってのは俺達の意思『そのもの』……?いや、意識というのは脳にあるんじゃないのか……?もしもこれが合っているなら、魂を入れ替えれば意識を入れ替えることだって可能……なのか……?」

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