1-2.5 『すれ違う思い、大切な事』
この世界の価値観は現代日本と通ずる所はありますが、要所要所で異なるところがあります。
「なぜそうなったのか」を考えるともっと面白くなるかもしれません
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明日香は〈雇用手続〉なるものに署名し、ヴォルフガードへ返却。
「【柊】とな。知らない名前だ。それはどんな組織だ?」
「え、組織?私はリベリカという組織に入ってるけど……」
「リベリカ?ヒイラギ?どちらが本当か?」
明らかに行き違いをしている感じがする。苗字とは家系や血族のことを表すのではないのか?しかし、異世界。つまり文化や伝統も異なっているのが普通なのだ。なぜか日本語を話すし書いているが……
考えようとして目をそらすと本しか目に入らない。無意識的に本の背表紙を見る。
「(これも日本語で書いてある!?)」
質問したいのは山々だが、聞いたとしても「そういう文化だから」で終わる話だ。意味がない。日本語は一度例外処理と考えよう。今行っているのは日本語の話ではなく、苗字の話だ。
「多分、私とあなたでは苗字の役割が違う⋯⋯と、思うの。教えて、この世界の苗字はどんな意味があるの?」
「ふむ……そうだな。単純に言うなら、所属している組織を表している。私なら【カルロフ・ヴォルガード】のカルロフがそれに当たるだろう。」
つまり、自己紹介で「私は〇〇所属の〇〇です」という文章の〇〇部分だけ取り出した感じになると。
今の私は正式なのかよく分からないけど、一応カルロフ家に属している状態。ということはつまり、「カルロフ・明日香」になるのか?それは明日香からすれば、言語化できない歯切れの悪さを感じた。
「今の私って、カルロフ家に雇われた人間……なの?」
「いいや、違う」
彼は立ち上がり、本棚に近づく。ずらっと並んだ本の背表紙を撫でるように指でなぞりつつ、流すように見て探す。そのまま私に語りかけてきた。
「説明すると、私個人が雇った従者という所だ。カルロフ家を介していない以上はカルロフの姓を名乗る必要はない。カルロフ家は新しく入ってくるものに厳しくてな。総合的に見て私の名が使える立場が一番使えると判断させてもらった」
「私の名が使える」その言葉をグラシルの一番上が言ったらグラシル全ての場所を使えると言っているようなものではないか?淡々とした説明が逆に明日香の理解を阻んでくる。なぜ?どうしてそこまで?
「ありがとうございます。……なぜ、見ず知らずの私に対してそこまでの事をしてくれるんですか?」
「それについて話すためには長い時間が必要になる。今話すには十分とは言えないだろう。……端的に言うなら、別の世界から転移してきた事が関わっている」
話すのは今ではないと言われた以上は言及するのをやめておく。ニュアンス的に説明しなければならない要素が多いのだろう、今話されたら確実に混乱する。
「……そうだな、こちらからも質問だ。逆にそちらの世界における【苗字】は何を意味するんだ?」
ヴォルガードはようやく見つけた本を読みながら質問してくる。
「血縁関係や家系を名前で表したもの……って言ったら似てるわね。違うとしたらこっちはより個人の名前という言い回しが強いわ」
「つまり、零と言う人物とはそういう関係なのか?」
「そういう……んなっっ……いやっ、違うわよ!」
赤面しつつ答える。つまりその言葉に説得力など微塵も存在しないのだ。
ここで明日香は感づく。この人、零と似たタイプなのだ。一度自分の中で結論を出した後に聞いてくるタイプ。しかも1を10にも100にもしてくるので余計にタチが悪い。
「零は……昔、身寄りのない時期があってね。両親共々、事件で死んじゃったの」
ヴォルガードは何も言わずに耳を立て、明日香の方を向いて話を聞く。
「それからも、境遇が悪すぎて一人で生活できる目途が一切立たなかった。……だから、私のところで引き取ったの」
「……そうか。すまなかった」
「……いいの。いつか話すことだと思ってたから」
その後、空気が悪くなりすぎて2.30分ほど話さない時間が続いた。
ヴォルガードが読んでいた本は簡単に言うと「ブラックリスト入りした人物の名簿」です。
念のため精査しようとしていたんですよね。
キャラの容姿に関してですが、現状確定していない現状です。決まり次第活動報告とそういう描写を入れていきます。




