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異世界盗賊は現代最強のトレジャーハンターになれますか?  作者: 須藤 蓮司


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85.~創世神話~ オルテックス事変⑧

「…畜生っ!そんなのアリかよ!!」


 マリアの奴…直接攻撃が無効化されたからか、警戒して戦法を変えやがった。


 距離をとったマリアが、何処からか取り出した新たなナイフを真横に振るう。

 慌ててしゃがみ込んだ俺の背後で、壁に横一文字の亀裂が走る…!


 …なんなんだよこの攻撃!?飛ぶ斬撃か!?

 くそっ…【鑑定】が使えれば正体も分かるんだが…。


 …それにしたって、()()は道理が通らんぞ…!?


 俺は自身の頬に刻まれた()()を指でなぞる。

 …幸い、薄皮一枚。出血も僅かだ。

 …【危険察知】が反応しなかったら死んでたな、マジで。


 だが、そもそもがおかしいんだよ。

 俺はアグニの【奇御魂(くしみたま)】に守られていたハズだ。

 【アヴァロン・レイヤー】の頭部装甲は開いている状態だったが…それでも、さっき直接ナイフで刺された時は【奇御魂(くしみたま)】が反応し、その刃を溶かし尽くした。


 …一体何が、俺の頬に傷をつけたんだ…?


 …分からない事を考えていても仕方ない。

 受けに回ったら危険だ。

 ここは牽制…いや、反撃だ!


 マリアの姿は既に先程の場所に無い。

 …アイツ、攻撃する瞬間だけ現れて、すぐに姿を消しやがる。

 これは魔道兵装の力…いや、()()()()()()持つ力か?


 奴は自身を【APOSTLESアポサルズ】のオリジナル…造られた人間(デザインヒューマン)だと言っていた。

 マリアが…あのバケモンのオリジナル?

 造られた人間(デザインヒューマン)って…オルテックスらしい倫理観度外視のパワーワードだなぁ…。

 …つまり、【異星人の遺骸】とやらを元に作られ、色々な能力が高くなるように科学的な調整を加えられた人間って解釈でいいのか?

 

 思考しながらも【錬金術師(アルケミスト)驚異の部屋(ヴンダーカンマー)】を開き、反撃の為のアノマリーを取り出す。

 …そして【アヴァロン・レイヤー】の頭部装甲を下ろし、【索敵】を使用する。

 頭部装甲内に表示されるレーダーマップ…中央の点が俺で、周囲に敵の反応は…今の所、無い。


 …何処に消えた?


 …何故表示されない?


 …いや、プシュパカは確かに【アヴァロン・レイヤー】の【索敵】に例外は無いと言っていた。

 プシュパカを信じて、今はアノマリーを構えて待とう。


 

 …赤い光点!!


 俺の後方、約10m…!!


 俺は即座に振り返り、腰だめ構えた【隕鉄のランス】の狙いを定める。


『…そこだっ!【メテオランス】っ!!』


 【隕鉄のランス】から発射される「実体を持った虚像」…魔法スキル【メテオランス】が、驚愕に目を見開いたマリアへと迫る…!


 だが――


『…少し、驚いた。…私の場所、良く分かったな?』


 燃え盛る騎槍の虚像は、確かにマリアの胴体を貫いた。

 …だが、貫かれた本人は意に介することなく…無傷。

 

『その強化服…優秀な索敵機能でも搭載しているのか?…興味深い、是非分解したい…。』


『ちっ、これも駄目か…。』


 【隕鉄のランス】は効かない、ならば【エーテルボルト】の火球や雷、氷矢も駄目だろうな…そもそも奴等から奪った魔道兵装だし。

 

 …一体、何なら奴に有効打を与えられる…?


 再びマリアがナイフを振る。

 縦に振られた、その直線上から逃れるように真横に飛び退くと、先程まで俺の居た場所の地面に深い亀裂が走った。


 マリアの姿は既に無い。

 だが…床の亀裂を見て気が付いた。


 …これ、斬撃を飛ばしてるんじゃあ無いな。

 そうだったらマリアから俺まで、一直線に亀裂が走ってるハズだ。

 …少しだけ謎が解けて来た…のか?


 そんな事を考えながら、新たなアノマリーを【錬金術師(アルケミスト)驚異の部屋(ヴンダーカンマー)】から取り出し、マリアの再出現に備える。


 ……来たっ!また後ろだっ!!


 狙いもつけず、振り向きざまに重いトリガーを引いた。

 悲鳴に似た発射音とともに、青白い閃光…【シャンカラの瞳】の分子崩壊光線を喰らえっ!!

 


『…チェレンコフ放射光に似た色の光…荷電粒子?…これも、面白い…。』


 …背後に空いた大穴を見ることも無く、マリアが呟く。


 コレも駄目か…って、あちちっ!

 そうだった、忘れてたけど発射後は【シャンカラの瞳】の砲身自体が分子崩壊するんだったな…。


 …!?


 マリアが消えていない!?

 何か考え込んでいるような…いや、今はそんな事どうでも良い!!

 咄嗟に目についたページを広げ、【錬金術師(アルケミスト)驚異の部屋(ヴンダーカンマー)】をマリアへ向ける!


『…頼んだぞ「百日(モモカ)」っ!!』


 開いたページが眩しく輝き、十メートル級の白い巨体が飛び出す!!

 「無垢なる水の地下洞」の元・主にして、正式名称ラケルタウス・アルビオルニスこと百日(モモカ)だ!


『ゴオァァァァァァッ!!』


 大顎を開け、目の前の獲物に喰らいつこうと咆哮をあげる!



『…ワニ?…少し違う。…五月蠅いっ!!』


 すれ違うように百日(モモカ)の懐に潜り込んだマリアの拳が、百日(モモカ)の腹を突き上げる。


『ギョアァァァァァ…!』


『あぁ!?もっ、百日(モモカ)ぁ~っ!!』


 轟音を上げて天井に激突、そのまま垂直落下した百日(モモカ)は…白目を剥いて動かなくなった。

 …畜生っ、マリアの奴…動物愛護の心は無いのかっ!?

 …いや、百日(モモカ)の方が畜生ではあるんだけど…!


『…意外と、皮膚が硬い?…貫くつもりだったのに。』


 …あの細腕で、何か恐ろしい事を言ってるぞ…?

 …多分、本当に殺るつもりだったんだろうなぁ…流石、造られた人間(デザインヒューマン)…。

 

 魔法武器の【隕鉄のランス】も駄目、【シャンカラの瞳】の分子崩壊光線も駄目、百日(モモカ)…は、正直最初からあんまり期待してなかったんだけれど…。


 コイツ…マジで攻略方法あるのか?

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