9、レベリング
朝になり神殿の外に出る、今日はレベリングで試したい事がある
その前にゲームでRPGをプレイした経験はあるだろうか?
コマンド式の普通のRPG、アクションRPG、シミュレーションRPGなどあるが
楽しみ方は人それぞれだろう
ストーリー重視で楽しむ者、強敵とのギリギリの戦いに興奮する者、いかに早くクリア出来るかをタイムアタックする者、何等かの縛りプレイを楽しむ者、様々だろう
さて俺はというと、可能な限り序盤で強くし圧倒的な強さでストーリーをゆっくりと進めて行くことを好む
ストーリー上は強敵で会話も敵が尊大に振る舞う中、いざ戦闘になると撫でるだけで敵を倒せるという感じだ
弱い者をいたぶることに快感を覚える変態じゃないか?っと思うかも知れないが
単純に労力を掛け強くした力で強敵を圧倒的に粉砕するのに快感を覚える
言い直したが弱者をいたぶり優越感に浸ることに快感を抱く変態なのかもしれない
ある格闘技をやっている知人が、己の肉体と技術を磨いた上で、同じように磨いた相手との試合で、力と技を比べ合い、切磋琢磨しあい相手から受ける痛みすら楽しいと語っていた
そういうものかと相槌はうったが、俺なら相手にだけ痛みを与え如何に相手の力を出させないかを考える
つまり強くなる努力と労力は惜しまないが、力が拮抗していることになんら魅力を感じないのだ
ライバルなどと言うものには虫ずが走るしライバルとはつまる所ただの敵だと認識している
さて近辺の敵との差がおおよそ解った所でゲームで言う所の序盤での過剰な戦力強化を試すとしよう
ストレージから帰還の札とは違う札を取りだし前方に投げる
すると札は宙で止まり、砕けて消え赤い粒子となって周囲の森へ散っていった
「ソフィア、魔物寄せの札を使用した、この地でも効果があれば周辺の魔物が大量に押し寄せて来るはずだ、魔法も、ある程度好きに使い殲滅するぞ、薬品は惜しむことなく使え、俺も適度に戦闘に加わる」
『了解致しました』
俺はソフィアにアブソルトウイナーを掛け敵に備える、そして10分程立っただろうか森の各所から雄叫びや押し寄せる音が無数に近づいてくる、森の各所から鳥が飛び立ち騒然とした空気の中次々と魔物が広場に飛び出してきた
「ソフィア!来るぞ!」
そう俺が声をかけると同時に正面の狼の大群に光の槍が無慈悲に投擲される
そして狼や猪の魔物に加え鳥タイプの魔物なども全方位から雪崩れこんで来る
ソフィアは神槍と美しく流れるような剣技で次々と敵を殲滅して行く
俺の方はそのうち漏らしを一体づつ剣で両断していった
何度目かのアブソルトウイナーをソフィアにかけ直した瞬間、真後ろに気配を感じ、即座に振り向くと
巨大な蛇が今まさに俺を頭から丸のみにしようとする所だった
音も無くこの巨体で近寄れるとは、焦り剣で蛇の首を飛ばそうとするが間に合わん、周辺の敵を侮りすぎたか
次の瞬間、大蛇の頭に赤紫の炎が流れ落ち、俺を飲もうとしていた大蛇を炎が丸飲みにすると縮み球体になり消えて行く
「ふぅ」と息をつく、ソフィアの神炎か、良く見ているさすがゲームの中での話とはいえ一人で前衛をこなして来ただけはある
その後は敵の数も徐々に減って行き、やがて魔物寄せの札の効果が切れたのか森はまた静寂に包まれた
日は落ちかけており、食事も取らずに8時間近くも戦い続けたということか
これがステータスの影響なのか疲労は一切感じていなかった
戦いが終わり神殿で食事を済ませ一息つく
「ソフィア、大蛇の時は助かった油断し過ぎたようだ」
『とんでも御座いません、私の殲滅が遅いためレオン様に敵の接近を許すなど申し訳ありません』
「ソフィアは良くやってくれている、本来後衛の俺が無理を押して戦っているのだ、当然ああなることもある」
「それよりも疲労は平気か?札の効果が此処までとは思わず日暮れまで戦い通しになってしまった、すまなかったなソフィア」
ソフィアは慌てた様子で
『なっ何をおっしゃいますか、この程度何でも御座いません!』
『そっそれに今までの討伐で何日間も寝ずにレオン様と私で狩り続けることも数多くあったではないですか!』
と慌てた様子で言葉を続けたのだが、ソフィアなりのフォローなのだろう
いや、ほんとすまん、ゲーム内の話だがオートでマクロを組み何日間も放置もざらでした
本当にごめんなさい、会社なら組合に通報の営業停止もあるところだ、ブラックにも程あるわ
とは言える訳もなく
「そうだったな、あの時は少しでも早く魔物を討伐し人々に笑顔を取り戻したく私も焦っていたのかもしれん」
ほんとごめんね早く転生の繰り返しをしたかったのと敵も独占できてドロップが美味しかったのよね
「今後は睡眠も取らず昼夜戦い続けることは無い、暫くは今日の札で狩りを続けるが、疲労がたまったら行ってくれ、翌日は静養を取る」
『御気遣いありがとう御座います』
その後は消費した薬品などの確認などをし、翌日から10日間、魔物寄せの札にてレベリングをひたすら続けた
そして11日目、今現在レベルは互いにレベル19になった、昨日はレベルが上がらなかったので今日中にレベル20に到達するだろう
そして今日も魔物を呼び寄せ狩りをしていると、いつものようにソフィアが神槍を放とうとする
しかし槍は放たれず宙に留まったままだ、すると巨大な光の槍は縮む、それでも人の振るうにはでかすぎるが
その光の槍をソフィアが左手で握り、右手に持つ剣を鞘にしまうと、その光の槍を両手で握り、舞いを舞うように敵に振るい始めた
槍に横凪ぎにされた魔物はその部位は消滅し貫かれた箇所には、ポッカリと空洞となって殲滅していく
その美しい舞いに暫し見惚れていたが、その後も無事魔物を殲滅し今日のレベリングを終える
神殿に足早に戻りステータスを確認する
俺の方は、レベル20 HPMP共に4000 他ステータスは600all 剣術は2→4に上がって、戦神魔法は1→2に上がっていた
ソフィアの方は、レベル20 HPMP共に12000 他ステータスは1200all 神剣術は1→5 神聖魔法2→3 神炎魔法1→2になっていた
よしよしソフィアのステータスは以前を上回った、この森で最早敵はいまい
ってまてまてまて、おいカンスト越えとるわ!
落ち着け俺、ひょっとしてこの世界はカンストは無いのか?
ゲームなら俺だけがカンストの壁を越えて更なる強さを求められると歓喜物だが
ゲームでは敵のHPMPは膨大でカンストは無かったが基礎ステータス自体は敵も999でカンストだった、チートクラスの武具などを持ってはいたが天井はしれていたし、ラスボスの狂った戦神などがいい例だ
つまりこの世界の敵もカンストはなく際限の無い怪物がいる可能性が高い
それに加えてこのままレベルが上がっていくと、俺とソフィアの差は広がる一方で、いずれ追い付き並ぶということは無いだろう
俺の身代わりの指輪は、この二つしか残してないのだ、ちなみに使役クリーチャー蘇生の魔石は上限の10個がストレージにある
何等かの事態で指輪が消費、破損などしたら保険はなくなり、この限界を越えた怪物を抑える術は無くなる
此処まで共にし、非常に好意的に従順であり、およそ牙を俺に向けるとは思えないがより注意が必要になった
取り敢えずこの件は置いておき、神槍の変化について考える
レベル20になったからなのかスキルレベルが3に上がった効果なのかだがスキルレベルの影響だろう
放つだけで威力過多で燃費は悪かったが槍として振るえ触れれば魔法効果も発揮し、投擲することで以前のように消滅の効果が発生するのは、相当な強化だろう、剣などの物理攻撃の効かない敵にも燃費よく戦えるだろう
それから4日ほど同様に狩りをしたがレベルもスキルも一切上がることはなかった
ゲームでも敵とのレベル差で経験値が減って行き最終的に1しか入らなくなった
ここで永遠狩りを続ければ何時か上がるだろうが、さすがに効率が悪るすぎる
魔物寄せの札も残り35枚程だ、無駄に消費することは避けたい
神殿を大きく離れるべきだな、いざというときはリターンがある
ソフィアにも伝え、明日から神殿を離れ夜営を繰り返し探索を始めることとした




