76、願い
倒れたシアを抱え、ステータスを確認すると、HPMP共にフル、状態異常の類いも一切ない
変化があったのはレベルだ、30から40に上がっていた、俺のステータスを確認すると、レベルに変化が無い
つまり以前の様に、使徒から得られる経験値を、シアがほぼ一人で得たという事だ、その辺りの影響か
取り敢えずはソファーに寝かせ、様子を見る事にする
トカゲについては保留にしておき、夫人も落ち着きを取り戻した所で、俺もソファーに腰掛け、仮眠を取ることにした
ゴゴゴ、と床から音が鳴り、目を覚ますと、床がズレ、地下へと続く階段が開く
一様の警戒をしていると、ソフィアを先頭に、ランギール、そしてブリュッセル家の者達が上がって来る
『只今戻りました、レオン様』
「ああ、方は付いたか?」
『はい、問題無く、シアに何かありましたか?』
「ああ、互いに詳細を報告するか」
そこから互いの情報を交換する
『では、レベルアップの影響の可能性が高いと、神龍は如何なさいますか?』
微妙な表情で問うて来るソフィアに
「シアは様子を見るしかないだろう、トカゲは保留だ、但しこのまま連れて行く気は無いがな」
細かい話は、休息後にするとして、各自部屋に案内されるが、廊下に出た地点で、使用人達の悲鳴を聞く羽目になったが、廊下に無数に転がる死体や残骸の掃除は、ブリュッセル家の人間に任せ休む事にした
夜が明け始めた所だが、案内された部屋にて仮眠を取っていると、体を揺すられ意識が戻る
『レオン様、シアが』
体を起こし横を見ると、シアも目を覚ました様だ
「シア、体調はどうだ?」
シアはまだ意識がはっきりしていないのか、天井をボーッと見つめている
『シア、大丈夫ですか?』
「大丈夫なの、ありがとうママ」
そう言い体を起こすシアは、辺りを確認している
「安心しろ、お前のペットは保留にした、殺さず俺の拠点に置いてくるつもりだ、姿が見えないのは、お前に会わす顔が無いんだろう」
「ありがとう、パパ」
「まだ休んでおくと良い、ランギールとの話は俺だけで行って来る、ソフィアもシアとゆっくりしていると良い」
それから俺はランギールと、今後について話すため応接室に行くと、そこにはギーがおり、ランギールに報告をしていた
ギーの報告は、連合軍の勝利で終わり、双方の被害は想定より少なく、明日には、マリーを含めたランギールの兵の2割、ジギールとジギール軍の2割が王都へ到着する予定との事で、残りの8割の兵士達は、自領へ帰還、王国軍の1割程はマリー達と共に王都へと先行して帰還し、民兵含めた残りは、遅れて帰還するとの事だ
それを踏まえて、今後について話し合うが、正直どうでも良い話だ、勝手に決めてくれと言うのが本音だ
ギーの報告により、マリーの父親、ブリュッセル侯爵も無事との事で、具体的な事は、民兵達が帰還してになるが、流れとして、ランギールをジギール、ブリュッセル、両名が王として認める形で戴冠式を行い、民にも大々的に見せ、ランギールの下、新王国誕生を高らかに宣言する茶番を行うと、ギーが預かったジギールの書面には書いてあったらしく、ランギールとしてもそのつもりだった様だ
丁度良い、その茶番に色を添えてやるか
そして翌日の昼頃に、マリー達が到着したとの報告を受け、マリー達が待機する王都の入り口へと全員で向かう
シアは体調は戻った様だが、何時ものテンションとは違い、大人しくしている
入り口へと到着すると、先頭で待機しているマリー、ジギールに加え、パワーレベリングをした騎士達だろうか、集団が真っ先に俺の元へ来て、膝を付き礼をする
「上手くやった様だな、無事で何よりだ」
短く返事を返す面々だが、先頭に3人が膝を付き、その後ろに騎士も同様に膝を付いているが、先頭の三人、マリー、ジギールに見たことないおっさんが一人いるが、、顔をよく見ると、成る程、これがマリーの父親か、母親の方に何処と無く面影があったが、マリーは父親似の様だ
「何時まで膝を付いているつもりだ? それに膝を付き礼をするならば、そこにいる新国王にしてやれ」
こうして合流し、ランギールの旗の元、王宮へと入る事となったが、ランギールにマリー、そこにソフィアも加わり、談笑をしている、以前より打ち解けたか、何があったかは知らんが、行動を共にさせて正解か
「俺とシアは後からゆっくりと王宮へと行く、ソフィアはマリー達と先に行っていると良い」
ソフィアは少し考えた後、頷き、王宮へと向かった
「さてシア、俺達はゆっくりと王宮へ向かうか、体調はどうだ?」
「もう大丈夫なの、ありがとうパパ」
シアの手を取り、ゆっくりと王宮へと歩き出した所で、本題に入る
「それで記憶は戻ったと言うことで良いのか?」
シアはビクンと反応した後、口を開く
「ごめんなさい、本当なら直ぐに言うべき事だったの、記憶が混乱しててなの、、」
「別に良いさ、混乱と言うことは、シアとして俺達との記憶も有るということか?」
「そうなの、まだ本来の記憶は完全ではないの、パ、レオンさん達と共にしたシアのまま、そこに本来の記憶が加わった感じなの、、です」
「それならば、今まで通りで良いさ、呼び方もしゃべり方も、無理に変える必要は無い」
「ありがとうなの、パパ」
「それで敵の戦神の場所は分かるか?」
「はいなの、多分、シアの本拠地、システムの中枢、大樹に居ると思うの、あそこは膨大な量の力が集まっているの、力を集めるならあそこが一番なの」
「成る程、しかしそれだと、奴は何故俺達からも力を集め様とした?」
「多分、いくら私の力を取り込んでも、効率よく力を吸い上げる事が出来ない筈なの、他所から力を集めるのはついでで、パパ達の足止めが目的だったと思うの」
「時間稼ぎか、その中で、シアが存在を取り戻し、また回収しに来たという事か、それでその大樹とは何処に?」
「パパ達が降り立った神殿の、北に行った森なの」
「北か、魔法王国だったか」
「多分そうなの、大樹の森はエルフ達も住んでる場所なの」
「エルフか、勝手に行っても良いんだが、可能ならばランギールに手配させるか、それにエルフならあの残念エルフからも情報を得られるか、それと確認したい事が二つある」
「はいなの」
「戦神を倒せば、俺達は元の世界に帰還出来るか?」
「はいなの、大樹のシステムにシアの力が戻れば出来るの」
「もう一つは、今のシアが産まれる切っ掛けとなった使徒が言っていた事だが、可能な範囲で願いを叶えると言ったのは奴の戯れ言か?」
「パパとママには、いっぱい迷惑を掛けているの、私で出来る範囲なら出来ると思うの」
「そうか、ならば今俺が考えている望みは叶えられるか?」
シアは俺の目を見つめ、難しい顔をした後、口を開く
「パパの願いは無理なの、沢山の事をねじ曲げないとダメなの、叶えるなら力がいっぱい必要なの」
「そうか、大量の力があれば可能か、当てならば有る、力を用意出来たら頼めるか?」
「約束は出来ないの、パパにはいっぱい助けてもらってるの、でもそれはママも同じなの、、」
「まぁ、そうなるよな、そこはシアに任せる、俺はお前を元へと戻し、力を用意するつもりだ」
「分かったの、でもパパの願いは、望まれて無いかもなの、だから、、」
「そんな事は分かっている、それでも俺は願いを叶える為に最善を尽くすだけだ」
「はいなの」
「今も側にいるか?」
シアにでは無く、周囲に目を向けて言うと、直ぐに返事が返ってくる
「グワァ」
「コイツの事は俺が預かるが良いか?」
「パパ、許してあげて欲しいの」
「前にも言ったが、殺す事はやめだ、だが今のままで連れて行くことは無理だ、コイツが本当に無能ならば、連れて行って、ヘマをされても問題無いが、コイツには足を引っ張れるだけの能力がある、近く俺は一人で拠点へ行く、その時にコイツに選ばせる、拠点で大人しく待つか、全てを投げ出しても、シアを元に戻す助けになりたいのかをな」
「分かったの、ガーちゃんはパパの言うことを聞くの」
「グワァ」
「決まりだな、それと俺はガーと呼ぶからな、ちゃんを付けろと駄々を捏ねるなよ、シア」
「はーいなの」
と口を尖らせ渋々返事をするシアを連れ、俺達も王宮へと向かった




