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「レオン殿、昨日から気になってはいたが、その幼子は一体?」
こめかみをピクピクさせ問うてくるランギールに、シャドウボクシングの様にランギールに向けて拳を突きだし威嚇するシア
リーリエの時も酷かったが、ランギールに対しては更に当たりが強いな
シアの態度は、ソフィアの心情をダイレクトに反映させる事が多い、明確な敵に対する事には意見や反論するソフィアも、それ以外は俺に意見する事は少ない、口には出さなかったが、話す機会の多いランギールを面白く思って無かったのだろう
「シアなの! パパとママのこどもなの!」
「シアという名なのか? 何を言っておるのだ?」
シアの唐突な言葉に困惑するランギールに、後ろに控えていたギーが口を開くと
「無礼者が! ここに御座す方は我等の神、リーシア様だ!」
熱くなるギーに、益々困惑ランギール、どこぞのドラマで印籠を取り出す時に聞いた様な物言いだな
手を振りギーを制止し、シアを俺の膝の上に抱えあげる
「この獣人はギーと言い、ジギール領からそれほど遠くない位置にあるリーシアの森に住まう民の族長だ、そしてこの子供はシアと言い、亜種族が信仰する太古の神だそうだ、色々あって今はその神の保護者代わりだ」
ランギールがリーリエに顔を向けると、リーリエは深く頷いた
「気にするな、と言うのは無理な話か、ランギール、お前はこの国の病巣を取り除き、国の為、民の為に王になるという選択をしたな?」
「その通りだが、それと神の話は、、」
「俺とソフィアはシアに頼まれ、この星の為に病巣を取り除く事に力を貸している、その病巣が俺達に因縁のある相手の様なのでな、それとシアだがその病巣のせいで今はこんななりだが、お前達の言う神、正確にはこの星のバランスを保つ管理者と言った所だろう」
「シアはとってもえらいの! おばさんはあがめるといいの!」
「お、おば」
「まぁお前は国の事を考えていれば良い、こちらの目的にお前達の直接的な力を借りる気も、当てにもしていない」
「承知した、分は弁える事にしよう、、しかしおばさんはやめて欲しいのだが、、」
「後で菓子で機嫌でも取っておけ、それより今後についてだ、王都とやり合うでいいな?」
「情報を集めている段階だが、現状得た情報から判断するに、遠くない未来そうなるだろう」
「そうか、ならば事を構える前にやるべき事がある」
「なんであろうか?」
「力だ、お前達には力が足らん、いやランギール、特にお前が弱すぎる」
「レオン殿、ソフィア殿から見れば当然だろうが、その様な事は言っていないのだろうな」
「そうだ、例の魔戦兵に対してだ、現状対処可能なのは、リーリエ、ギー、それと御荷物を気にしなけばマリーもか、但しお前から報告のあった帝国にいた魔戦兵を考えると、全てが自爆可能では無いのだろうが、使えるとして行動したほうが良いだろう」
自分を庇ったマリーを思い、苦い表情のランギールに俺は続ける
「時間を作れ、なるべく早くにな、マリーをそうした様に、ランギールお前を強化してやる、ついでに50、いや100人程同様に強化する」
「期間はどれ程だろうか?」
「一ヶ月は欲しい所だな」
「流石に一ヶ月私が町を開ける事は無理だ、その半分ならば可能だが、情報の収集から戦の準備、ジギール侯爵との連携など様々ある」
流石に無理があるか、鍛える兵を減らすか、パワーレベリングさせるにも手間がかかる、それとも半分に分けて鍛えるか、水龍の事を考えるとこちらも時間を掛けすぎる事は出来ない、魔物寄せの札なら大量に集められるが、都合良く倒させる前に、被害の方が多くなるだろうしな、どうしたものか
「パパ、シアにまかせるの! シアはばわーあっぷなの、パパが集めてシアがくるくるでどかーんなの!」
意味が分からないが、シアのステータスを確認すると、レベルが10上昇し、スキルも1づつ上がっている
「いつの間に上がっていた? 任せると言うのは、複数を拘束か無力化が出来るのか?」
「そうなの! シーちゃんがいっぱいかえしてくれたの、わるいこはまとめてくるくるなの!」
シアはお気に入りの杖を、俺の膝の上に座りながら、得意気に振り回している
木々の枝を伸ばし、拘束したあれを複数出来るのか? シアは満足気に頷いているから可能と言うことか、ならば短縮出来るか、大量に集め、拘束し倒させる、フォローは俺もすれば良いとして、指導はソフィアに任せれば問題無いか
「ランギール、2週間時間を作れ、兵も100で良い」
「了解した、各方面の準備を進め時間を作ろう、しかしそれだけで対処は可能だろうか?」
「自爆については、もう一つ考えがある、お前達の鍛練が終わり次第、耐火性の高い素材を取りに行くつもりだ、但し確実では無い上に、掛かる期間も不明だ、鍛練が早く済めばその分時間を素材集めに回せる、直ぐに装備作成が出来る手配はしておけ」
「分かった、数日後には用意をしよう、鍛練する兵への要望はあるだろうか?」
「特に無いが、当然だがお前が信用出来る者、後は成長を望めぬ者は除け」
「心得た、では数日の内に急場の事案は済まし、兵の選別をする」
こうして強化計画は決まり、準備が整う数日の間は、俺達は城や町でのんびり休息を取る事にした
それから3日間は、俺、ソフィア、シアで町に繰り出すなどして束の間の休日を過ごしていた
ソフィアは合間に、マリーとギーに稽古を付けてやっていたが、明日にはランギールと兵を連れて、死の森でパワーレベリングを開始する
今は、俺、ソフィア、シア、ギーの四人で中庭にあるソフィアの花壇にいる
「大分成長したな」
『はい、世話を任せっきりで少々心苦しいですが』
「そうだな、もう少し時間を作れれば良かったんだがな、すまんな」
『いいえ、とんでもございません』
「庭師に聞いたところ、花が咲くのは数ヶ月後らしい、その頃には今の面倒事も片付いているだろう、満開の花を三人で見るのを楽しみにしておくか」
『はい、必ず』
ソフィアはシアを連れて花壇に水をやっているが
「ママ、このこたちはおなかいっぱいなの、おみずそんなあげたらだめなの!」
『そんな水の要らない花なのね、気を付けるわシア』
「それよりママ、このちいさいのをとるの、ほらギーもてつだうの!」
とソフィアもタジタジだ
明日からまた忙しくなる、こんな休日も悪くないな
「ほらパパもなの! てつだうの!」
「ああ、今行くよ」
翌朝訓練所に向かうと、そこには既にランギール、リーリエ、騎士達が整列している
その中には傭兵のライラに、ダン達4人も混ざっていた
「傭兵からも呼んだのか?」
「信用出来る者で、成長を見込める者との事だったのでな、問題有るだろうか?」
「いや、無いさ、用意が出来ているなら直ぐに行くぞ」
「了解だ、馬は使わず徒歩で良いのだな?」
ああ転移の事は知らなかったか
俺は整列した者達を囲うように魔石を配置する
それを見る兵士達がざわざわと騒がしくなり
「こ、これは?」と帝国の戦を思い出したのか、ランギールが尋ねてくる
「心配するな、これから転移をするが、効果を広げる為の物だ」
「転移と言うと」説明を求めようとするランギールに被せる様に
「転移じゃと!! それは」
そうリーリエが言い終わる前に、俺は札を起動させた
視界は歪み、その歪みが収まると、俺達と訓練所にいた兵士約100名程は、一瞬にして死の森の神殿前の広場へ転移した
兵士達は突然の転移に動揺し、パニックになりかけていたが、ランギールが一喝し、直ぐに収めていた
これからパワーレベリングを開始するが、少し楽しみにしている自分がいる、幼少時好んでプレイしたシュミレーションRPGをやる感覚に近いな
俺にとっては弱兵士を一気にレベリングするゲーム、ランギールと兵士達に取っては地獄の鍛練の二週間が開始する




