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55、パワーレベリング再び

さて始めるか、先ず兵士達を神殿入り口まで下がらせる


「パパ、いつでもおっけーなの、ばっちこいなの!」


ふんすふんすと杖を振り回し、準備万端なシアだが、バッチコイとか久し振りに聞いたな、この翻訳の腕輪のセンスを疑わざるえないが


「シア、開始から大量には呼び寄せはしないぞ、最初はランギール、ギーにやらせる、いきなり大量に呼び寄せてパニックならば未だしも、辺りが尿まみれになっては堪らんからな、ソフィア頼む」


『はい、行って参ります』



暫く待つとソフィアが魔物を二匹担ぎ上げ戻って来る


一匹は見馴れた黒狼、もう片方も熊型の魔物で見馴れたタイプなのだが、、デカイな体長4メールはあるか


後ろから微かな悲鳴が聞こえる


ランギールとギーを此方に呼び寄せる


「あれを二人には殺ってもらう」


「ハッ」


と短く返事をするギーとは対象的にランギールが


「ここは死の森の様だが、あの巨大な魔物は一体? 私が勝てる様な相手とは到底思えぬのだが、、」


「ここは死の森の最深部だ、あのデカブツが何なのか等は知らん、熊と狼だろ、何も殺り合えとは言ってない、シア出来るか?」


「はいなの!」


シアが杖を掲げくるくると回すと、地面から木の枝が無数に突き出し、ソフィアの担ぎ上げる魔物に巻き付くと、絡め取り目の前に拘束して見せた


蔓の様に巻き付く枝に拘束された魔物はピクリとも動けないが、最後の抵抗か、息を大きく吸い込み咆哮を上げようとするが、枝は魔物の口に猿轡を噛ます様に伸び、それを許さなかった


先ずはギーに狼の方を殺らせてみる、ギーは奥の手の雷撃を身に纏うと、身動きの取れぬ狼の頭部に向け拳を撃ち込んで行く


狼には雷撃が効きづらいのか、5分程撃ち込み続けた所で、狼は飛散し消えていく


大きく肩で息をするギーだが、まぁ上出来か、マリーの時は瀕死にさせた上で相当な時間がかかった事と比べると、無傷から5分程で倒せたと言うのは優秀なのだろう


「もっとこうばーんでどーんなの!」と何やらシアがギーに指導ゴッコをしているが、ギーは真剣に聞いているしほっておくか


「次はランギール、お前だ」


ランギールは無言で頷くと、腰にある細剣を抜き、熊の眉間へと突き立てる


「ギィーーン、ギギ」と金属同士がぶつかる様な音が鳴るが熊は無傷だ


確かランギールの剣も俺が譲った素材で作った物だったな、剣が折れない所を見るに、強度は負けてはいないがステータスが足らないか


「ソフィア、眉間に傷を入れてやれ」


「レオン殿、少し待って欲しい」


ランギールはそう言うと、姿勢を低くし、何やら呟くと、細剣が薄い光に包まれる


ランギールは先程より鋭く踏み込み、眉間に細剣を突き立てるが同様に金属音が鳴り、攻撃は通らない


これは長くなるか、と思って見ていると、三度目の攻撃で熊の眉間から血が吹き上がる


そこから更に二度の攻撃で、細剣は熊の頭部を貫通し、飛散し消えていった



『効果は低いですが聖魔法で攻撃を高めた様ですね、動きは未熟ですが装備品の性能に助けられましたね』


ソフィアはゲーム時、聖魔法を使用していたが、直接的な効果がある物だった、対してこの世界では間接的、付与系の物が多いな、直接的な魔法で十分な効果を出すことは困難故の工夫と言ったところか、しかしギー、ランギール共に、身動きを封じた上で無防備な急所にデカイモーションの攻撃を複数入れてやっとだ、普通に殺り合えば到底勝てないな



「二人ともレベルはどうだ?」


ランギールとギーがコンソールを出し確認し、共に大きく頷いた


「よし、では纏めて行くぞ、シアは可能な限り拘束をして後方へ連れていけ」


「あいあいさーなの!」


「ソフィアは俺と拘束しきれん敵をかたす」


『はい、レオン様』


俺が魔物寄せの札を使うと、森がざわめき、暫く待つと大量の魔物が広場へ雪崩れ込んで来る


押し寄せる魔物を見て、ランギール、ギーは固まり呆然としている、兵士達に至っては腰を抜かす者や悲鳴を上げる者とパニックに陥っているが、マリーが平然と兵士達に声を掛けて落ち着かせ、只の鉄の棒を淡々と配布している


大量に押し寄せる魔物達、取り敢えず100程度と言ったところか? その半分程度がシアによって拘束され、後方へと運ばれる、拘束漏れを俺とソフィアで次々かたして行く


後方に運ばれた魔物は、マリーが鉄の棒で頭部を粉砕し、実演と指導をしながら兵士達に魔物に攻撃をさせている


兵士達はその恐怖からか、この現実離れしている光景に半狂乱状態で魔物に攻撃を加えていた


そんなカオスな状況の中で、落ち着きを取り戻したランギールとギーは、次々と魔物を討伐して行く


兵士達の効率は著しく悪いが、その中の傭兵、ライラとダン達は鉄の棒に魔法を付与しつつ効率良く討伐をしている


そんな中、笑い声が聞こえる


「ハッハッハッ、これは興味深い! どっせーい!!」


と嬉々としてリーリエが鉄の棒で魔物を滅多撃ちしているが、お前は魔法を使え! このポンコツが!



そこから日の暮れるまで、この流れ作業を永遠続ける、およそ9、10時間だろうか、次第に押し寄せる魔物は減り、札の効果が終わったのか魔物の姿が消える、今日はここまでかと思っていると、森から巨大な影が俺に向かって飛び出してくる


直ぐに処理しようとするソフィアを制止し、俺は飛び込んで来た魔物の頭を手で掴み、地面に叩き付け押さえ付ける


「久し振りだな、またPOPしたのか?」


押さえ付けられもがく魔物は、グゥォォと力なく呻く


その魔物は体長約5メートル程、赤く光る目は4つ有り、狼の頭部にゴリラの様な胸部に熊の様な腕、そう転移し最初に遭遇した魔物その物だった


最初の邂逅時、恐怖しすくみ、身動き一つ取れなかったが、今では動きも遅く感じ、威圧感も微塵も受けない


押さえ付ける手に力を込めると、メキメキという音と共に、魔物は泣く様な、か細く弱い悲鳴を上げる


このまま潰しても良いが、ここではマリーは成長限界が近かったな、俺は首を持ち悲鳴を上げる魔物を引きずりながらマリーの元へ行き、魔物の頭をマリーに向け、地に押さえ込む


「丁度いい獲物が来たな、マリーお前が仕留めろ」


「ハッ」と短く返事をしたマリーはストレージから斧を取り出し、渾身の力で魔物の頭部へ斧を降り下ろし、5度降り下ろした所で魔物は飛散し消えて行った




さて初日はこんなものか、兵士達は皆倒れ込み身動き出来ぬ程疲労が見え、ランギールやライラ達も疲労困憊で地に座り込んでいる


ギーはシアの前で膝を付き、「流石はリーシア様です」とシアを持ち上げているが、余り持ち上げるな、調子に乗らせてもろくなことにならん


リーリエはメモ帳の様な物を取り出し、ぶつぶつと独り言を言いながら何か書き込んでいるが、タフになったな強行軍でスタミナでもついたのか?



マリーは流石に馴れているのか、ソフィアに何か尋ねている様だった


ここで一つ問題が浮かんだ、この100人以上で寝る場所を考えていなかった


広場はもし敵襲があった場合、大量の死人が出る、神殿内は狭い、通路含めて無理矢理押し込めば入れるだろうが、まともな休息をとれるとは到底思えん、どうしたものかと思案しているとソフィアから声が掛かる


『如何なさいましたか、何か問題でも?』


「ああ、兵士達の休息を取る場合を考慮してなかった、どうしたものかと思ってな」


『え?』


「ん?」


『ああ、流石御優しいレオン様です、一晩は休息を与えてやるのですね、しかし先の事ですし、7日後には多少強さも上がりましょう、一晩程なら広場でも問題無いかと』



え? ソフィアさん、休憩どころか一睡もさせずに2週間ぶっ通しのつもりだったんですか? 死んじゃうよそれ?


そのソフィアの言葉が届いた者達がプルプルと震え出し、涙が流れ出す者や嗚咽が聞こえ出す


しかし何て言えば良いんだ、ソフィアの記憶はゲーム時の物だ、つまりマクロでノンストップの狩りをソフィアにさせて来たのは俺だ、、



「ママ、よわいこたちはしんじゃうのそれ、シアにまかせるの!」


おーー、シアナイス! できる子だな!


『分かったわシア、では初日は特別休みましょう、その後は間を開けて二晩は休ませましょう』


「それならおっけーなの! ママはやさしいの!」


いやいやいや、全然オッケーじゃ無いだろう、、周囲の嗚咽の音が酷くなるが、まぁ仕方無いか、薬漬けにすりゃ生きてるだろう


「それでシア、どうするつもりだ? 」


「パパとママだけついてくるの!」


てくてくと神殿に向かうシアを、ギーとリーリエに周囲の警戒を頼み、後を追う


シアを先頭に、俺とソフィアが続き神殿内に入ると、薄暗く微かに壁が発光する程度の通路が、まるで電源を入れたように各所に光りが灯った

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